2014年02月20日

ジョバンニの島

試写会で鑑賞。

終戦前後の色丹島を舞台に、幼い兄弟の生活を描いている。終戦から後の色丹島の人々を描くという、ありそうであまりない設定が新鮮だった。

ソ連と日本の子供を中心とした親密な交流が描かれている。ソ連と日本という国家同士の関係は常にギスギスしていた印象があるけれど、軍人でなければ、生活者たちの交流はこんなものだったのかも知れない。今の日韓や日中の関係も、国家レベルの関係と、民間レベルのそれとではかなり大きな温度差があると思うのだが、当時の色丹の住民が置かれていた状況も同じなのかな、と思った。

映画自体は、キャラクターや声優を含め、絵作りとしてはそれほど新しいものが感じられなかった。何か新しい表現を見せよう、という野心は感じられず、あくまでもストーリー勝負ということだったのかも知れない。

音楽では、北海道を舞台にするとどうしてこう北の国から調の音になるのかなぁと思っていたのだが、テロップを見たら作曲しているのがさだまさしなので当たり前だった。

宮沢賢治の銀河鉄道の夜を素材にしつつ物語が進むので、久しぶりにまた小説を読み返してみたくなった。

色丹の歴史を良く知らない人には勉強になると思う(僕もそのひとり)ので観ておいたほうが良いとは思うのだが、わざわざ映画館で観なくても良いかな?というのが正直なところ。内容自体は教養として役立つので、テレビ放映の時に観ておくか、レンタルでの鑑賞を推奨。

評価は☆1つ半。

この記事へのトラックバックURL