色々なところがわざとチープに作られていて、その雰囲気が「ムーンライズ・キングダム」と似ている。つまり、絵本を映画にしたような見せ方だが、内容はこちらの方がずっとわかりやすい。
舞台は欧州の東の端にある仮想国ズブロッカで、ブダペストという名前と併せるとハンガリーとか、オーストリアとか、その近所の国をイメージしているのだろう。ナチスをイメージするような組織が出てきたりもする。
ミステリー調で話は進むのだが、何か謎があるということではなく、順番にストーリーを追っていくことになる。「一体どうなるんだ!!??」とハラハラドキドキするわけでもなく、淡々と進んでいくところが逆に新鮮である。ところどころで挟まれるブラック・ジョークが小気味良く、それを楽しめるのなら退屈はしないだろう。
とはいえ、演出や小ネタは楽しいのだが、全体のストーリーとなるとやや散漫だったのが残念だった。背後に忍ばせてあるアンチ・ファシズムの主張を有効に見せるためにも、メインストリームにもう一工夫あれば良かったのに、と思った。ただ、極東の国の住民にはなかなか理解できない欧州の事情というのもあると思う。そのあたりを読み取るには相当の教養が必要で、少なくとも僕にはそのあたりが十分に理解できなかった。
評価は☆2つ。