宮駿氏が引退を表明してから最初のジブリ作品。公開前の宣伝はかぐや姫の物語と同様、イメージシーンを集めて主題歌を流すといった、内容が良くわからない性質のものだった。ベースは海外の児童文学のようだが、未読。ということで、ほとんど白紙の状態での鑑賞だった。
ストーリーは良くあるタイプの喪失と再生を描いたもので、札幌に住む喘息の子どもが夏休みに道東で療養した時のできごとを淡々と描いている。比較的新しい視点だったのはヒロインに絡むマーニーの位置づけ。ネタバレになるから詳しくは書かないけれど、ファンタジーとは多少毛色が変わったものだった。あちこちにわかりやすい伏線を張ってあるので、ラストの前には観客はみんなマーニーが誰なのかわかってしまうのだが、それでも明智小五郎よろしく丁寧に解説するあたりが子供向けの映画っぽい。小学校高学年か、中学生あたりがターゲットなのだろうか。夏休みの公開なので、時期的にはぴったりである。
セリフを聞き落としたり、アイテムを見逃したりするとわけわからないかも知れないが、その方が逆に楽しめるかも知れない。
非常に気になったのは主人公の独白の部分で、かなり特殊な録音をしているようだった。その音声がめちゃくちゃ違和感があって、なぜこんな音にしたのか、小一時間問い詰めたい気分になった。もしかしたら、映画館の音響設備との相性が悪かったのかも知れないが(鑑賞はシネプレックス新座の2番)、それにしても酷かった。
評価は☆1つ半。最近のジブリらしい映画だが、もっと単純に楽しめる冒険活劇もやってくれないかなぁ、と思う。
ところで全然関係ないんだけど、予告編の短い映像だけでも大根役者であることを伝えることができる広末涼子は偉大だと思った。