2014年10月21日

総統閣下はお怒りです 「豚牧場」

モリタック 昨日の焼き肉、美味しかったですね!!

ヒロッコ 私は、もうそろそろああいう脂たっぷりの肉よりも、赤味肉のほうがありがたいわね。

モリタック マジっすか??差し入り最高ですよ!!

ヒロッコ そのうち、そうとも言ってられなくなってくるものよ。

閣下 俺もそろそろ、胃もたれする年頃だな。

モリタック お二人の分までガンガン食べますよ。

ヒロッコ 今日は、随分と威勢がいいわねぇ。

モリタック 当然です。お二人が弱っている場面なんて滅多にありませんから。弱点見たり、という感じですよっ!!

閣下 それ以上デブらないように気をつけろよ?我が国は、デブは健康保険不適用だからな。

ヒロッコ 自己管理ができない人の健康保険まで面倒見ていたら、財政が破綻しますからね(笑)

#注釈:日本のことではありません。日本はデブでも今のところ皆保険です。

閣下 全くだな。ところで、中学・高校の友人がこんな研究成果を出したんだった。

筋ジストロフィーの症状を再現したラットを作製 − 筋ジストロフィー研究に新たなモデル動物 −
http://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2014/20140710-1.html


モリタック この話が、焼き肉と関係あるんですか?

ヒロッコ 私にもわかりませんが・・・解説をお願いします。

閣下 10年ぐらい前かなぁ。この、山内という東大農学部獣医学専攻の友人のところに遊びに行って、「どんな研究をしているんだ?」と聞いたら、「豚肉に差しを入れる研究をしている」と教えてくれたんだ。へぇ、面白いことをやっているんだなぁ、と思いつつ帰ってきたんだが、その後、東大ブランドで新しい銘柄豚が生まれたという話も聞かず、どうしているんだろうと思っていたわけだ。そうこうしているうちにこの論文が出たので、「なぁんだ、豚に差しを入れるんじゃなくて、筋ジスの研究をしていたのか」と思ったわけだ。

ヒロッコ はい・・・

閣下 山内ともしばらくご無沙汰だったので、先日、本郷の東大農学部に遊びに行ってみたわけだ。

モリタック 凄いところに遊びに行きますね・・・

閣下 それで、研究の話を聞いてみたわけだ。豚肉に差しを入れる研究をしているものとばかり思っていたら、筋ジストロフィーの研究をしていたんだな!と。

ヒロッコ ちなみに、筋ジストロフィーとはこんな病気らしいです。

筋ジストロフィー(ウィキペディア)
http://ow.ly/D4A37

モリタック 読んでも理解できません。

閣下 俺も良くわからなかったんだが、山内に教えてもらったよ。要は、筋ジスとは、筋肉の細胞が死んでしまい、そこに脂肪の塊ができてしまう病気らしい。

ヒロッコ そうなんですか!!ウィキペディアを読んでも、全くわかりませんでした!

閣下 こういう話は、専門家に解説してもらうに限る。それでだ、山内に言わせると、筋ジストロフィーのモデル動物を創出することは、つまり、筋肉の中に脂肪の塊ができてしまう動物を創り出すことと同じということなんだな。

ヒロッコ なるほど!ようやく分かりました。

モリタック もちろん・・・・わかりません(汗)まず、モデル動物って何ですか?

閣下 研究用の動物のことだ。例えばがんの研究をするとき、ヒトで研究すると手間もかかるし、倫理的な問題もある。だから、まずはネズミとか、ウサギ、イヌ、ブタなど、飼育が簡単な動物を使って実験するんだ。

ヒロッコ 今回の論文では、ラットの遺伝子を改変して、ヒトの筋ジストロフィーと同じ症状を示す系統を創り出すことに成功したのよ。

閣下 これまでもマウスやイヌで創られていたようだが、症状が軽かったり、飼育に時間がかかったりと、不便だったようだな。

ヒロッコ そして、今回はラットでの成果だけど、同じようにして先天的に筋ジストロフィーになってしまう豚を創ることができれば、それがそのまま、差しの入った銘柄豚になるかも知れないのよ。

モリタック なるほど!!!で、でも、筋ジスの豚なんか、食べても大丈夫なんですか?

ヒロッコ 差しが入っている家畜は、それだけ病的ってことなんじゃないの?

モリタック ええっ???マジっすか???僕たちはそんな牛を、いつもありがたがって食べてるんですか?

閣下 筋ジスの牛を食べているわけではないが、差しの入った牛が健康的かどうかと言われると、確かにちょっと疑問が残る。牛に差しを入れるために、その飼育に際しては、飼料からビタミンAを極端に減らしている。差しの入った牛は、ビタミンA欠乏症といっても良い。人間だと、視力関係の障害が色々出てきてしまうのだが、牛の場合は差しが入るようだ。

モリタック なんか、かわいそうですね・・・それなら、モデル牛を作って、普通に飼ってあげた方が良いような気もしてきます。

閣下 まずは豚なのかも知れないけどな。牛は、飼育技術によって差しを入れることができるからな。

ヒロッコ 実際に筋ジスモデル豚ができて、それを食用の銘柄豚として家畜化するとすれば、相応の安全性試験は行われるんでしょうね。

閣下 それは当然だろう。今回の成果と同じ手法を豚に転用するなら、ジストロフィンというたんぱく質を発現できないようにするので、特殊なたんぱく質の遺伝子を挿入したケースよりはずっと安全性の確認が簡単そうだけどな。

ヒロッコ 余計なものを追加したのではなく、必要な物をなくしたわけですからね。

閣下 ともあれ、ヒトにおける筋ジストロフィーの治療法発見を目的として筋ジストロフィーのモデル動物を創ることが、差しの入った高級家畜を創ることと、実質的・内容的に同じというのが、面白いなぁと感心したわけだよ。

モリタック なるほどぉ。なんか、これから、差しの入った肉を見る目が変わってきそうです。

閣下 お前の場合は、まず自分の体に差しがはいってしまっていて、他人の見る目が変わってしまっていることを反省しろ。

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