また出た、「◯◯と××の△△」タイトルである。バカの一つ覚えというに相応しいのだが、この作品のタイトルが最悪なのは、全く内容を表していない点である。マダム・マロリーは確かに重要な役ではあるけれど、映画の中ではナンバー3、4あたりの位置づけだ。それに、魔法のスパイスなんていうのも全く重要な役を果たしていない。確かに登場こそするものの、スパイスはタイトルにするほどのものではない。また、このタイトルでは魔法のスパイスとマロリーが関係ありそうに聞こえるが、両者は全く関係がない。この手法が許されるなら、「るろうに剣心」は「女医・高荷と京都の火事」になってしまう。そのくらいに的はずれなタイトルである。馬鹿なの?
しかし、この邦題の馬鹿さ加減とは反比例して、内容はなかなかのものである。インドからロンドンを経由して南フランスの田舎町にやってきた料理屋ファミリーが、道を挟んで営業しているミシュラン・レストランと敵対する、というグルメ対決もの。そこに、いい具合にフランス魂を盛り込んだりする。店の店主同士は敵対しているけれど、シェフは交流があったりする。やがて二つの文化が融合して新しい価値が生み出されていく様を爽やかに描いている。人間の嫌な部分もそこそこに盛り込んではいたけれど、最後まで安心して観ていられるのが良い。これは、時々登場する脇役の町長が良い役割を演じていたからかも知れない。
ところでちょっと前にも分子料理が登場したけれど、分子料理って、今も流行っているんだろうか?マンダリンにモラキュラーバーがあったと思うので、今度行ってみようかな?
評価は☆2つ半。デートで観て、お腹が減ったところで食事へ、というのがオススメ。