この作品は学校(芸大)の卒業制作で撮ったものである。制作にあたって、「どういうものが撮れるか」を考えたが、普通なら予算の制約があるところ、お金はそこそこ学校からもらえたので、撮りたいものを撮ることができた。
映画には犬が出てくる。私は出身が静岡の田舎だが、そのとき犬を飼っていた。Googleのストリートビューのサービスが始まる2年前に飼い犬が死んだのだが、死んだはずの犬が、ストリートビューには写っていた。今はもう存在していない犬が、ストリートビューを通じた世界では存在しているという不思議な感覚がこの作品を制作したモチベーションである。
スカラ座で上映できるのが、映画とリンクしていて面白いと思う。
さて、本編。イマドキの若者たちの二日間を淡々と描いている。イベントらしいイベントはイヌが迷いこむことと、幽霊がふらふらするぐらい。あとはほとんど何の変哲もない日常である。それを通じて、監督が何を伝えたかったのか。正直に言って、何も伝わってこなかった(笑)。「映画の良さが理解できないとは、馬鹿者だ」と思われてしまうことを承知で書くけれど、あーーー、つまらない映画だったなぁ、というのがストレートな感想だった。
監督が言うところの、すでに存在しない犬がストリートビューでは存在することの不思議さや、スカラ座とのリンクや、何もかもが理解不能。一体、何を観て、何を感じれば良かったのだろう?評価は☆ゼロ。