2014年12月11日

フューリー

fury


第二次世界大戦末期のドイツにおける米軍戦車部隊の活躍を描いた作品、と書くと、あぁ、またか、という感じなのだが、この映画が新しいところは、米軍を美化しすぎていないこと。もちろん基本的には「英雄」として描かれているのだけれど、同時に「ヒーローがこんなことをやっちゃって良いの?」と思うような行動を取るので、観ている方は「やはり、戦争は悲惨なものだ」という認識を新たにする。敗戦国である日本ではそれほど珍しくない描写だと思うのだが、戦勝国である米国でこういう映画が撮られたことはなかなか興味深い。

大戦末期ということもあって、両軍とも兵士が不足しており、米国は数週間の訓練を施しただけの事務職員を戦車の乗員として派兵する。戦争の素人を戦場のど真ん中に配置することによって、観る人間を同じように戦場に引きずり込む。対するドイツも女性や子供を兵隊として採用していて、ちょっとでも隙を見せればやられてしまう。こうした緊張感の中で、迫力のある戦闘を描いているので観ていて飽きることはない。

上層部の出す無理難題に応えつつ、部下の命を背負って奮闘する中間管理職をブラピが好演している。他にも、戦闘で疲弊した兵隊たちを脇役たちも見事に演じている。ただ、色々かわいそうな場面が出てくるので、戦争映画が苦手な人にはお勧めできない。逆に、戦車が大好き、みたいな層には面白いのかも知れない。

松浦美奈さんの字幕なので、違和感なく観ることができる。

評価は☆2つ半。

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