知人に誘われて、ALOKアトリエ公演「ばく クリスマスバージョン」を観てきた。
セリフのないダンスパフォーマンスということで、どんなのかなぁ、と思っていたのだけれど、開演直後はかなり不安な感じ。すぐにスキンヘッドのお兄さんがこの劇団(?)の全てを取り仕切っているんだな、というのがわかるくらいに全てにおいて力量に差がある。加えて、他の劇団員も、数名のバレエ経験者と思しき女性と、その他の登場人物の間で、やはり踊りの技術に差がある。特に、集団で一緒になって踊るときに上手い、下手がはっきりわかってしまうので、観ていてこちらの不安がどんどん大きくなる。
ただ、そこから先は、そこそこに楽しめた。ストーリーがわかりやすいので、セリフがなくても内容把握という点からは大きな問題はない。
そして、そのままラストまで踊り続ける。
登場人物たちにはそれぞれに見せ場が割り当てられていて、誰のファンが観ても、それなりに楽しめるようなつくりになっている。ただ、手放しで褒めることができるかと言えば、そんなこともない。まず、ストーリーが面白くない(笑)。わかりやすいにはわかりやすいのだが、別に面白いわけでもなく、大きなひねりがあるわけでもなく、加えて後味が悪い。
また、セリフがない分は他の何かで観る人を圧倒する必要があると思うのだが、ダンスでそれができるのは多分劇団主宰者であるスキンヘッドの男性のみ。同じくらいに踊ることができる人があと3、4人、それが贅沢なら、女性一人でもいればまた話は違うのだろうが、一人で全部引っ張っていくのはさすがに無理だ。
ということで、大きなマイナスポイントはないけれど、これといって大きな魅力もなく、これならスキンヘッドのお兄さんが一人で踊りまくったほうが楽しめると思った。セリフ無しで全部やる、というのは挑戦としては面白いと思うけれど、今はまだダンスが上手な人が一人いるだけ。あと数名のレベルの高いダンサーとストーリー構築者が必要だろう。コンスタントにお客を呼べるようになるまでにはまだ長い道のりがありそうだ。
28日まで、新大久保のアロック新宿スタジオにて。