2015年03月04日

伊勢丹新宿店、Go!Go!Go!

そもそもの発端は、偶然にも雑誌で九谷焼きウルトラマンアートシリーズの特集記事を見かけたことである。このシリーズの焼き物、これまでも何度か見かけていて、去年の九谷茶碗まつりでも何点か見ていたし、茶碗まつりで限定販売されていた「ブースカ」が一体、我が家にある。ちなみに、ブースカと言っても侮れない。去年金沢で買った一番高い焼き物がブースカだ。ただ、新聞記事や広告に掲載されている、武山さんのバルタン星人や錦玉さんのウルトラマンはどうなっているのだろうと疑問に感じていた。その一品モノ達が、伊勢丹新宿店のイベントで販売されるという内容だった。これは何としても手に入れなければならない。

まず最初にやったことは、伊勢丹への問い合わせである。人気商品を売りに出すときは、初日に整理券を配布したり、抽選になったりするものだ。過去に何度か、行ってみたらもう抽選が終了していた、というケースがあったので、今回はちゃんと事前にどういう販売形式になるのか確認したのである。すると、担当者の返答は「今回は特別な対応は一切ないので、欲しいものがあれば初日に買いに来て欲しい」というものだった。つまり、開店ダッシュをかけろ、ということだ。体力勝負には自信がある。ただ、体力だけではダメだ。持てる力を総動員する必要がある。

次にやったのは、伊勢丹新宿店のどこで販売するかの確認である。いくつかの記事を総合すると、どうやら5階のウェストパークのようである。ネットを調べる限りではこれ以上の情報は得られなかったが、開店ダッシュに当たって、おおよその場所を把握しておくことは重要だ。

場所がわかれば、次は5階ウェストパークへのアプローチ方法の検討である。店内の地図をチェックしたところ、アプローチ方法は駐車場ビックロ側から入店し、正面のエスカレーターを利用するルート、同じ入り口から右に行ったところにあるエレベーターを利用するルート、そして、エレベーター横にある階段を利用するルートである。この中で、一番速そうで、逆にリスクが高いのがエレベーターだ。開店時のエレベーターのスタートが1階とも限らず、また5階より低層で降りたがる客がいるかも知れない。1階からダイレクトに向かえるなら最速だが、様々な思惑の人がいれば、その分目的地への到着時間が遅くなる。そして、そのリスクは極めて高く、また自力ではどうにもならない。だから、エレベーターは検討から外すことにした。残る手段はエスカレーターか階段か、だが、エスカレーターは追い抜きが極めて困難で、モナコ・グランプリと同じく、最高のグリッドについて、瞬発ダッシュで最初に駆け込む必要がある。一方、階段は僕のように階段駆け上がり力に自信のある人間には最適だが、エスカレーター利用者にはどうしたってかなわない。色々悩んだが、ここは助っ人を頼んで、エスカレーターと階段の両面作戦とした。恐らく、エスカレーターの利用が最速だが、何が起きるかわからない。店員に「走らないでください」と制止されてしまう可能性もあるのだ。そこで、保険の意味で階段ダッシュも配置する。とにかく、考えられる失敗要因は全て排除し、ベストを尽くす必要がある。

そして迎えた今朝である。僕たちは朝8:30に新宿に集合した。若干早すぎるが、伊勢丹までの間に人身事故でも起ころうものなら、何もしないうちに敗戦が確定する。普通に新宿に到着すると、伊勢丹の向かいの丸井の2階に朝7時から営業しているスタバがあるので、そのカウンター席に陣取った。ここからは伊勢丹の正面口が一望できる。同じ目的の人がいないか、入念にチェックした。まるで、刑事ドラマの主人公のようだ。

開店時間は10:30だが、10時には人が集まり始めた。ここではマラソンと同じく、スタートのポジショニングが大切だ。開店まではまだ時間があったのだが、この時点でスタバを出て、予定の入口へと向かった。

到着してみると、そこにはすでに人が集まっていた。何やら整理券も配布されていたので、それがウルトラマンのものではないことを確認した上で、ドアの最前列に陣取った。開店次第、僕はドア右のエレベーターの脇から階段を駆け登り、助っ人はエスカレーターへ直進である。エスカレーターを5階まで駆け登れば、すぐ右手に目的の売り場があるはず。一方、階段はちょっと売り場まで迷いそうだったが、道順を何度も頭の中でシミュレートした。これは、スキーのスラローム競技で何度もやったことなので全く問題ない。入念な思考実験の繰り返しで、ルートを頭に叩き込んだ。

そして、いよいよ開店である。僕は助っ人の動きには目もくれず、一目散に階段に向かった。一瞬、エレベーターをチェックすると、予想通りエレベーターは全機地下1階にいた。エレベーターを選んでいたら、この時点でジ・エンドだった。すかさず僕は階段を駆け登った。途中、4階で始業準備中の店員達が行く手を阻んだのだが、これまたスラロームの要領で5人ぐらいの店員をかわし、5階に到着した。そして、売り場へ直行すると、予定通り、助っ人が売り場の一番前に並んでいた。助っ人はこれまた予定通り、何も見ないうちに「錦玉さんのウルトラマンと武山さんのバルタン星人を買います」と伝えていた。完璧だ。全ては思惑通り。後ろでは年配の男性が携帯で「申し訳ない。ウルトラマンはもう売れちゃってた」と話している。普段なら「じゃぁ、どうぞ」と優しい声をかける場面だが、今日の僕は修羅である。勝利の女神は、最後までベストを尽くした人間にだけ微笑むのだ。

こうして、今日は三体の一品モノ九谷焼きウルトラマンシリーズをゲットした。仲田錦玉さんのウルトラマン、福島武山さんのバルタン星人、そして中村陶志人さんのカネゴン、3つとも名品である。これでまた一歩、お宝鑑定団出場に近づいたのだ。

え?いくらしたんだって?それは聞かないお約束(笑)。まぁ、東京マラソンを3回ぐらい確実に走ることができるかな?

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