ところが、日本は、ILOが採択した189条約のうち、わずか4分の1しか批准しておらず(主要国の批准数は(日本48、ドイツ83、イギリス86、スウェーデン92、フィンランド98、オランダ106、ノルウェー107、フランス123、スペイン133)、ILO憲章(フィラデルフィア宣言)の前文に明記されている「いずれかの国が人道的な労働条件を採用しないことは、自国における労働条件の改善を希望する他の国の障害となる」という基本姿勢に対して明確に反しており、自国のみならず、ILO加盟各国にも迷惑をかけている状態です。
ILO憲章との齟齬として最大で、かつ国内的にも経済停滞の大きな足かせになっているものが「同一労働同一賃金」に関する問題です。前述のILO憲章前文にも「同一価値の労働に対する同一報酬の原則の承認」が急務であると明記されているにも関わらず、日本の労働基準法第三条および四条で、国籍、信条、身分、性別による差別的取り扱いを限定列挙して禁止しているだけで、学歴、勤続年数、雇用形態などを理由とした差別的扱いは合法とされています。
(均等待遇)
第三条 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。
(男女同一賃金の原則)
第四条 使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。
安倍内閣がデフレ脱却のための3本目の矢を放とうとするなら、やることは同一労働同一賃金の実現しかありません。逆に言えば、これをできないのなら、日本経済の復活は、未来永劫実現しないというのが私の考えです。ILO憲章の冒頭に書かれているのは、
世界の永続する平和は、社会正義を基礎としてのみ確立することができる
です。日本は、この社会正義すら実現できないでいる後進国なのです。そして、残念ながら、先進国の仲間入りできそうな気配はまだありません。