2015年04月21日

ブログでバイオ 「科学的知識がないとコロッと騙される!新・三大インチキ健康食品」

まず有権者に訴えたいことは、健康食品のほとんどは、効かないから健康食品なのであって、もし本当に効果があるなら、薬として販売されているということなのです。効果のある成分が単離されているにも関わらず、それが薬品として販売されていないということは、すなわち、効果が認められないということにほかならないのであります。

(1)コラーゲン
こんなもの、食べてもなんの役にも立たない。というか、普通に食事していれば嫌でも口に入ってくるもので、むしろ食べないでいることの方が難しいくらいにありふれたタンパク質である。「コラーゲンが豊富」と言っているのは「塩分が豊富」とか、「水分が豊富」とアピールしているのと何ら変わりがないと書けば、馬鹿さ具合がわかっていただけるだろうか?料理評論家や飲食店がコラーゲンに言及していたら、馬鹿か無知か悪意があるかのどれかで、どれにしても三流の証拠である。詳細は拙著「コラーゲン食って肌がぷりぷりになるわけねーだろ」参照のこと。


(2)ウコン
良く二日酔い対策として使用されるウコンだが、ウコンの有効性が確認されているのは消化不良に対する効果のみ*1で、二日酔いの予防や改善に関する科学的根拠は皆無である。二日酔いの防止・対応方法は1.空腹時の飲酒を避ける、2.飲酒前だけでなく、食べながら飲む、3.飲み過ぎない、4.二日酔いになったらスポーツドリンクで水分を補給する、の4つで、空腹を避けたり、水分を補給するといった二次的(空腹ではない状態にする)、三次的目的(ウコンを飲むのに水を使う)でウコンを服用することはあり得るものの、わざわざウコンを摂取する積極的根拠は見当たらない。それが証拠に、みなさんが二日酔いで病院に行っても、ブドウ糖、あるいはそれにミネラルやビタミンを配合した点滴をして、水分を補給、代謝を促進してくれるだけ。間違っても、ウコンを処方されることはない。

(3)コンドロイチン
コンドロイチン硫酸は軟骨のクッション性に重要な役割を果たしている物質で、関節痛に効果があると誤解することを期待したインチキコマーシャルが散見される。しかし、コンドロイチンを経口摂取しても何の効果も見込めない。なぜなら、関節軟骨には血管が存在しないため、消化管から吸収されたコンドロイチンが関節内に移行できないからである。また、変形性関節症に対するコンドロイチン硫酸の効果についてのランダム化比較試験の報告はポジティブ・ネガティブ両方が存在し*2,*3,*4、結論は出ていない。

*1 Randomized double blind study of Curcuma domestica Val. for dyspepsia.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2699615?dopt=Abstract

*2 Long-term effects of chondroitins 4 and 6 sulfate on knee osteoarthritis: the study on osteoarthritis progression prevention, a two-year, randomized, double-blind, placebo-controlled trial.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19180484?dopt=Abstract

*3 Effect of a dietary supplement containing glucosamine hydrochloride, chondroitin sulfate and quercetin glycosides on symptomatic knee osteoarthritis: a randomized, double-blind, placebo-controlled study.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21969261?dopt=Abstract

*4 Glucosamine, chondroitin sulfate, and the two in combination for painful knee osteoarthritis.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16495392?dopt=Abstract


おまけ 微妙な健康食品 グルコサミン
動物の皮膚や軟骨、カニやエビの甲羅に含まれる。経口摂取の場合、効果はポジティブ、ネガティブ、両方の論文が存在し、効果についての結論は出ていない。

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