行列が大嫌いなラーメン評論家なので、金曜日限定のこの店の鴨ラーメンは一生食べることがないだろうな、と思っていたのだけれど、池袋の西武でイベント出店、行列なしだったので食べてみた。以下、評価。
名称:紫 くろ喜
種類:独自
場所:池袋
注文:鴨そば 醤油 +トッピング
評価:6/AB-
2014.5.1.
コメント:まず、ぱっと丼の形状を見て、スープをケチっているんだな、とわかる。ケチるのは別に構わないのだが、必然的に熱容量が不足してしまい、冷めやすくなる。丼を手で触ってみても温かみは感じないので、これは素早く食べる必要がありそうだ。また、スープの表面積が小さくなるので、スープの表面に形成される脂の層が厚くなる。当然、スープが麺に絡みにくくなるので、スープの味付けにはかなりの工夫が要求される。これは結構難しそうだな、と思いつつ、食べてみた。
麺は細めで弱く縮れたもの。例によって効果のほどは不明だが、全粒子を使っている。コシは良好。しかし、想像通り脂が邪魔して、麺に味が絡んでこない。
スープは鶏(鴨?)ベースの醤油味。かなりデリケートに仕上げてあるスープなので、表面に浮かぶ脂によって味がボケてしまう。この辺りは鴨南蛮そばあたりも同様の弱点を持っているのだけれど、あちらは味が濃いので対応可能だ。こちらはダシ中心の味付けなので苦戦している。加えて、醤油からと思われる苦味が感じられるのが残念。苦味が嫌なら西武限定の塩を食え、ということかも知れないので塩も食べてみたのだが、塩は苦味こそ感じられないものの、一層味が足らず、麺を食べさせるだけのパワーがない。先日、九代目けいすけでも鴨ラーメンを食べたが、やはり上手に調理しているとは言えなかった。要すれば、鴨は、スープ単品としては美味しくても、ラーメンのスープの食材としては非常に難しく、目新しさは追求できるものの、完成度の高いものに仕上げるのはかなり難しいのだと思う。
鴨のチャーシューはきちんと処理されていて食べやすく、なかなか良かった。
珍しい食材を使うことによって素人の人気は得ることができるかも知れないが、このスープが10年、20年後に残っているかと言えばかなり疑問である。が、味噌もまともに使いこなしている店はほとんどないのに、今でもかなりの数のラーメン店が味噌を提供しているので、このレベルのスープでも残るのかも知れない。
こちらは西武限定の塩
店名 紫 くろ喜
TEL 03-3863-7117
住所 東京都千代田区神田和泉町2-15 四連ビル3号館 1F
営業時間 [金]11:00〜14:30 18:00〜20:30
定休日 月・火・水・木・土・日