2015年07月18日

河端理恵子さんの赫焉赤絵黒粒花詰九谷焼玉盃

僕は九谷の赤絵が大好きで、武山さんのバルタン星人も、有生さんのカブトムシも持っているのだけれど、赤絵の問題点は個性を出しにくいこと。去年の秋に銀座三越で開催された福島武山一門展でまとめてみた時にはなるほどなー、と個性がわかったのだけれど、そういう風に比較できる機会はあまりない。ぽんと目の前に置かれて「さぁ、だーれだ?」と問われた時に、すぐに「◯◯さん」と出てくるだけの個性があって欲しい。その点で、河端さんの作品は一目瞭然。作品は素晴らしいまでの個性が輝いていて、個人的には赤絵の若手では一番好きな作家さんである。

今回は、まず玉杯を捕獲。

全体像はこんな感じ。



蓋をあけるとこう。



下を上からみるとこう。



アップにするとこう。



大きさがわからないとこの凄さがわかんないかも、と思って、綿棒を置いてみた(僕は非喫煙者なのでマッチ棒がないのである)。



精緻さ、わかりましたか?

さて、横からみるとこう。



下から覗くとこう。



もう、全く手抜きがない。

それで、蓋。ぽんとおくとこう。



黒でのぺっとしているかと思ったら、全部粒が打ってある。もう許して。

180度回転するとこう。



蓋をひっくり返すと、ここにも絵が(笑)。



これ、異常に凄くない?????これひとつ描くのに、どのくらいの時間がかかるんだろう??この作品一つもため息が出るほどに凄いと思うけれど、この表現を可能にした、今までの努力もきっと凄いんだと思う。才能があって、努力があって、先人たちの積み重ねをきちんと理解・消化して、さらにそこに積み重ねたアイデアとオリジナリティがある。それで、この小さい玉杯に、ブラックホールのように詰め込めるだけ詰め込んでる。まさに、傑作。これを買わずして何を買うのか。



この記事へのトラックバックURL