
敗戦間際の杉並を舞台に、妻子を疎開させた男性と、隣家に住む若い女性の交流を描いた作品。戦争らしさは親戚が焼け出されるとか、知人が招集されるとか、空襲警報が発令されるとか、全て間接的に描かれていて、直接的な表現は一切ない。おかげで、戦時中を描いているのに、戦争っぽさは希薄である。むしろ淡々と不倫を描いている感じ。
では、否応なく戦争に巻き込まれた一般市民の悲哀を描けているかというと、それも正直微妙。庶民にしてはかなり恵まれている印象の家族が中心なので、緊張感がなく、「あんまり戦争っぽくないなぁ」と思ってしまう。唯一余裕の無さを感じさせるのは川での行水で見せるワキ毛ぐらいだろうか。
一番違和感があったのは二階堂ふみのセリフの演出。どうしてあんな感じの棒読みティストにするのだろうか。当然何かの意図があるんだと思うのだが、その意図が汲み取れない。
あと、ラスト。あれは文字じゃなくてセリフで表現するべきだと思う。映画なんだから。
評価は☆1つ。なんか、色々もったいない映画だった。