2016年02月26日

カービングスキーのレーシングテクニック

カービングスキーが登場して、もう20年以上かも知れない。そのおかげで、レーシングテクニックは一変してしまった。それからの5年ぐらいはマテリアルの試行錯誤の時代。そのあとの5年ぐらいは技術の試行錯誤の時代だったと思う。しかし、今はその両方がほぼ結論に到達した感がある。

ところが、レーサーの対応はそれぞれだ。僕はその中でも一番遅れている部類の人間で、いまだにカービングスキーに順応できないでいる。しかし、マテリアルも、技術も成熟しつつある今、古い技術で滑っていてはタイム差が開く一方である。特に規制の少ないスラロームでその差は顕著で、簡単に10%ぐらいのタイム差がついてしまう。これでは、やっていてもつまらない。何はともあれ、昔の技術の先に素晴らしい結果はついてこないのだ。ならば、最新の(今となっては、ちっとも最新ではないのだが)技術をきちんと身につけなくてはならない。そういうわけで、今シーズンの課題は「きちんとカービングスキーを使いこなす」ということだった。

では、どうしたら良いのか。その目指すべきテクニックがようやく頭と体で理解できてきた。

まず、大事なことは「常に前傾姿勢でいること」である。板の前方向にプレッシャーを与えることができるポジションを維持する必要がある。

次に、正確な外脚荷重が必要である。特にターンマキシマムから切り替えに至るターン後半での外脚荷重が重要だ。

それから、外向。結果的には外向になるのだが、自分からその姿勢を作るのではなく、最大傾斜線方向に腰の向きを維持していれば、板がまわってくることによって自然に外向姿勢になる。

この3要素は、実は古い技術と何ら変わりがない。重要な変更ポイントはターン後半、外脚で正確に、斜面垂直に立つことだ。これは低速で練習すると難しいし、この動作だけを切り出してきて練習するのも難しい。ところが、それなりのスピードで滑っていると、板の返しを使ってとても簡単に実現できる。

その上で、切り替えが完了した直後に、体を重力方向へ落とし、さっきまでの外脚をたたんでやる。これによって、体軸が大きく傾く。体が傾くことによって板のたわみが増し、急激で減速のないターンが実現する。

これらを正確にリズムよく滑らかに続けていくと、タイムが出るはずだ。

この技術、実はもう10年ぐらい前に当時日本の最先端にいた原田彦氏が語り、彼とベラークで仲が良かった石川好之氏がその話を聞いて、僕に教えてくれたものである。でも、今年になるまで、その意味がわからないでいた。「ようやく」である。

次の写真は水曜日の試合の大回転の一コマだが、




ここでは左足に荷重していて、右足が浮いている。つまり、左足(それまでの外脚)できちんとターンを仕上げていたということだ。タイムは散々だったけれど、やろうとしていることが少しはできつつあるようだ。ただ、写真で見ても、ポジションが明らかに後ろである。もっと前傾しないとダメだと思う。でも、いきなり全部は無理。ひとつずつ、理想に近づけないと。

これで少しは速くなるかな?

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