2016年04月04日

あさが来た 完結後の感想

作品完結前に感想を書いてしまった「あさが来た」が完結した。中盤で書いた感想は次の通りだが、

あさが来た 12月初旬の感想
http://buu.blog.jp/archives/51512054.html

この感想に何か付け加えるべきことは、ドラマの質とは別に、まず下のエントリーに書いたような、明治の偉人たちの偉業と、それに対する現代のていたらくっぷりである。

さよなら、ニッポン
http://buu.blog.jp/archives/51520775.html

出自には無関係に、勉強すればきちんと世にでることができると述べて作った慶應義塾大学が、今では家族主義の最も顕著な大学となっているのは皮肉としか言いようがない。ドラマの質とは関係ないけど。

「まれ」みたいな、見ていて気分が悪くなってくるようなクソドラマではなかったことはとてもありがたかったのだが、あえて付け足すなら、残念だったのは脚本部分よりも制作部分だったと思う。登場人物たちは40年経っても髪が白くなる以外に何の老化現象も起きず、60歳を過ぎているはずなのに20代の見た目だった。また、榮三郎役の役者はどこで拾ってきたのか知らないが大根役者っぷりを遺憾なく発揮していて、いつまで経っても学生のような立ち居振る舞いに終始した。大根役者と言えば成澤泉役の男優も酷い演技だった。基本的に良い役者が顔を揃えていたのに、重要な役でいくつか大きな穴を開けて観る側を白けさせたのは、制作者の手腕の問題だろう。

前作が酷すぎたので相対的に良い印象が残ったけれど、数年後にタイトルを思い出すほどの秀作とはならなかった。位置付けとしてはあまちゃんのちょっと上ぐらいだろう。

ちりとてちん>>>>風のハルカ>あさが来た>あまちゃん>>>>>>まれ

それにしても、このドラマで一番大きな役割を果たしたのは、脚本家の大森美香でもなければ好演技で脇を固めた宮崎あおいでもなく、主題歌の歌い出し部分だろう。ドラマの展開に合わせて挿入を3パターン用意し、非常に効果的な導入を実現した。6小節目からは凡庸な詩とメロディで全体としては魅力のない曲ではあったものの、「いちにちがー」まででカネの取れる仕事だった。15分の番組の1分以上が主題歌で、それが毎回流れるのだから、主演女優よりも何よりも大切な役割を果たすのかもしれない。そういえば、「まれ」の主題歌は内容に輪をかけて最悪なものだった。もしかしたら、主題歌を聞けば、ドラマの質はある程度のところまで推測できるのかも知れない。

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