異常に混雑しているというので本当は行きたくなかったのだが、メトロポリタンにいつ戻ってくるかもわからず、何よりもうチケットを買ってしまっていたので、行かないわけにもいかない。
色々と情報を収集したところ、比較的空いているのは夕方ということだったので、日が陰るくらいの15時ごろに折りたたみ椅子持参で行ってみた。待ち時間の札は90分。これでもマシな部類らしい。入場がエスカレーターのため、行列がじりじり進むのが椅子持参の人間にはちょっと不便。結局、70分ぐらいの行列で展示室に入ることができたのだが、こちらも大混雑。じっくり見るのは構わないけど、ずっと動かない人がいると行列がフリーズする。イヤホンガイドを聞きながらだからか、こういう立ち止まって動こうとしない客が結構いた。しかし、これはまだ序の口。上のフロアにあがるととんでもない。円形の部屋にぐるりと30本の軸をかけたのは壮観といえば壮観だが、それはあくまでも鑑賞者が少ない場合。今回は外に大行列しているのだから、中だって大混雑。「もみじの絵は混雑しているので、先に正面を見るのがオススメです」とかアナウンスしているけれど、よそを見たら当然もみじに戻ってくるので、いつまで経っても大混雑が緩和しない。端から順に見ている人がいて、その行列のところどころへ他の絵を見てきた人が横入りしてくる。とはいえ、その見方を美術館側が推奨しているのだから仕方ない。端から順番にみる方式にすればこんな混乱にはならなかったと思う。こんなひどい運用しかできないなら、六本木のサントリーか国立新美術館あたりでやってくれれば良かったのに。
肝心の絵だけど、彩度があまり落ちていないようで、赤や緑がきれい。ただ、絵の描写はどうなんだろう。河鍋暁斎よりは100年ほど前の人なので、どうしても落ちる部分はあるのだろう。蛙にしても、猛禽にしても、虎にしても、もう一歩な感じ。鶏はさすがに看板なので上手だし、想像を含んだ象は面白かった。彩度が落ちてない点を褒めたこととは背反するが、色数が減った方が作品としてのクオリティは高いと思う。ということで、もちろん面白いとは思うのだが、3〜5時間も行列する価値があるかどうか。てか、なんでこんな大混雑になっちゃったの?宣伝がうまかったのかな???
日本の美術鑑賞環境ってものすごく劣悪なので、ちゃんと見てみたかったら海外で見た方が良いと思うのだけれど、若冲にしても、あるいは去年大変だった琳派にしても、一番良いのはどうしても日本にあるので、どうしようもない。
せめて、整理券を配るとかして、見る前から疲れてしまうようなやり方は改めて欲しい。せっかくオンラインチケットも販売しているのだから、時間指定のチケット販売だって可能だと思うのだけれど、知事が馬鹿だから無理な注文かな。