2016年05月25日

第2回 吉島信広 立体展

吉島さんの個展が松坂屋名古屋店で始まったので、開店ダッシュしてみた。無事、一番乗り。







今回は、これまでずっと使い続けてきた転写をほとんどの作品で使っていないこと。転写は書き直しが効くので一発勝負ではなくなる。作品の完成度を安定させることができるので制作上は大きなメリットがあると思うし、吉島作品のカラーを決める大きな要素でもあったのだが、かなり勇気を持った決断を下したようだ。転写の紋様に代わって作品に纏わされたものは釉薬。こちらは完全に一発勝負だし、焼いてみないとわからないところもあるから、かなりリスキーだと想像する。そのリスクを排除するために、色々なテストを積み重ねたのではないだろうか。

たとえばこの蛇と梟の、梟本体の表現が面白い。










ふわふわとした質感が焼き物で表現されている。

かと思えば、こちらのヤモリでは鱗が表現されている。







そして、ハクタク。










ボディが志野のかいらぎっぽく仕上げてあって、これが非常に良い味を出している。ちょっと残念だったのは展示で、三つ目のはずなのに向こう側にあるもう一つの目が見えない。そのせいで、顔がゆがんでいるように見えてしまう。ぐるっと回り込むことができる形で展示されていれば作品から受ける印象が大きく変わるだろう。

そして、鳳凰。







華やかな色味の釉薬を上手に使って、鳳凰らしさを表現している。重量がかかるはずの尾の部分にすかしを用いているところも焼き物の構造を知り尽くした吉島さんならでは。

原型師として様々な立体の原型を手がけている吉島さんなので、造形の腕は超一流。その造形にどんな服を着させるかが彼の持ち味であり特徴でもあるのだが、そこに偶然性の高い「釉薬」を用いたところが意欲的だった。もちろん、これだけ大きな作品に適用しているので、完成品の背後には大量のテストが積み重ねられているのだろう。

期間 5月25日(水)〜31日(火)
場所 松坂屋名古屋店

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