2016年06月14日

猿の目

陶芸コレクション仲間のキングかすさんに書名を教えてもらったので購入してみた。



月刊誌の連載をまとめたものなので、分量は少なめ。しかも、猿之助氏が途中で骨董の収集に飽きてきてしまったようで、文章とコレクションの関係性も徐々に失われていく(笑)。最初の勢いで全部書ききれたら良かったのにと思うのだが、長期間の連載だとこういうこともあるだろう。

文章は齢不相応に大人びていて、ちょっと(かなり)背伸びが感じられる。ここは編集者の意向が強く反映されているのかもしれない。猿之助氏自身は自分でも素人と認めていて、背後に相談役がいることもきちんと表明している。この相談役が有能なのか、なんなのか、僕は全く判断がつかず、この本で取り上げられている器についても半分以上はその価値がわからない(笑)。ともあれ、そこは日本の伝統芸能に携わる人なので、良い相談役には恵まれているだろうし、実際に良い骨董に触れる機会も僕とは比べ物にならないくらい多いはず。そうやって、違いのわかる目が育っていくのだろう。

陶芸については猿之助氏以上にど素人なので本書の良し悪しもまたわからないのだが、さっと読めてしまう本なので骨董ファンと猿之助ファンには良いかもしれない。ちょっと高いけど。

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