参院選の合区 多くの知事が「解消目指すべき」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160728/k10010612691000.html
だいぶ前に、個人的に選挙区について考えたことがあるのですが、
総統閣下はお怒りです「鳥取対神奈川の決闘」
http://buu.blog.jp/archives/51365663.html
これ、算数の知識とエクセルの利用方法さえわかっていれば結構簡単に机上実験できるので、興味がある人は実際にやってみて欲しいのです。本当に難しいです。まず、参議院の改選が半数ずつというのがネックになります。議員の半分しか改選されないので、是正が困難になります。もう一つのネックが、人口格差が開きすぎていることです。
ものすごく極端な例で説明してみます。日本が東京都と鳥取県の二つだけだと考えてみてください。それぞれの有権者数が100万人と1000人だったとします。
東京 1000000人
鳥取 1000人
さて、参議院議員の定数が100人だとします。単純化のために、半数改選というのもlなしにします。ここで議員を東京から99人、鳥取から1人選出するとしたら、議員一人当たりの有権者数は次のようになります。
東京 10101人
鳥取 1000人
一票の格差を議員一人当たりの有権者数の差と定義するなら、この国の東京と鳥取の格差は10.1倍になります。この格差の是正を図るには、方法は常識的にはたった二つしかありません。議員の定数を増やすか、東京と鳥取の人口格差を是正するかです。仮に議員定数が1000人なら、東京から999人、鳥取から1人とすれば良いのです。そうすれば、議員一人当たりの有権者数は次のようになります。
東京 1001人
鳥取 1000人
これで立派に合憲になりました。ただ、議員総数は10倍になりましたから、単純に考えれば議員の人件費だけでも10倍になります。そこまでのコストをかけて鳥取に便宜を図るべきなのかは議論のあるところでしょう。だいたい、議員数に999倍の開きがあれば、鳥取選出の議員の意見など、無に等しくなります。個人的には、議員は0にして、鳥取の意見は鳥取県知事に頑張って主張してもらったらどうかと思います。
さて、ここまで極端な例でわかりやすく説明してみましたが、日本で起きているのはこれと同じことです。日本の現状の場合、上の思考実験の他にあと2つ解決策があって、そのうちの1つが合区、もう1つが簡単のために排除した「半数改選」です。全部で4つですね。整理すれば、
1.半数改選をやめる
2.合区
3.議員総数を増やす
4.人口格差を解消する
となります。
田舎の(?)知事たちはそのうちの合区を解消すべしと言っているわけですが、そうすると、残された方策は3つしかありません。半数改選を辞めてしまうのは一つの有効な手段です。憲法46条を改正しなくてはなりませんが。ただし、これだけではおそらく十分ではありません。議員数を減らせという意見はあっても議員数を増やせという意見はさすがにマイノリティですし、上の思考実験でも、議員数の増加による議員の確保は必ずしも地方の意見を届けることにはなりませんから、最終的かつ抜本的な対策は「都道府県間の人口数格差を解消せよ、東京一極集中を改善せよ」という話に行き着くわけです。
では、これは難しいことかと言えば、実はそうでもありません。いくつかの比較的簡単で即効性のある方法があります。それを列挙してみましょう。
(1)大都市圏の法人税率を極端にアップさせる
法人税率がアップすると企業の収益を直撃します。社員の給与にも反映されるので、企業にとっては一大事。みんな、対象となる都道府県からは逃げ出します。
(2)消費税に都道府県格差を設け、大都市圏を高く設定する
上と同じです。古くからその地域に住んでいる人は安易に逃げ出すこともできず、影響は少なくありません。
(3)主要な国家機関(財務省とか、経産省とか)を僻地に移転する
民間にだけ負担を押し付けるのは良くないですね。消費者庁なんていうしょぼい役所じゃなくて、もっとずっと大切な役所を移転しましょう。この場合、聖域は宮内庁ぐらいです。
個人的な意見を述べるなら、税制というのは公平性が第一で、安易に手を出すべきところではないと思っています。とはいえ、憲法改正の必要はないので、参議院の半数改選よりはずっと楽に対応できます。米国で言えば、消費税率は州によって違うので、日本で導入してもそれほど大きな混乱はなさそうです。企業の税務処理はものすごく煩雑になるでしょうが、税務関係の雇用が拡大するといったメリットもあるといえばあります。
さて、限られてはいるものの、解決策が存在する問題に対して、田舎の(?)知事たちは解決すべきと問題提起したわけですが、彼らは一体どういった解決策をもって臨むべしと考えているのか、非常に興味があります。まさかなんの腹案もなしに「合区はけしからんから解消すべし、方策は知らん」ということではないでしょう。
ちょっと鳥取県知事のページなどを調べた限りではこんな考えのようですが、
私はもちろん単独には、明日[7月26日]、関係先の方に働きかけ、要請活動をしたいと思っておりますが、1県だけの問題ではないと思っています。全国知事会の場でもこの議論を取り上げるべきだと思います。と申しますのは、今、合区をした結果での格差、投票価値の格差は3倍というかたちで残っているわけですね、衆議院の方のこの1票の価値についての最高裁判断等々からしますと、2倍以内というのが本来、理論的な相場でありまして、実は3倍以内というのを目標にするというのは、よく合意性が分からないところがあります。それを突き詰めていった場合、合区が許されるのであればどんどんとこの合区できるところ広げていって、投票価値を2倍以内にしろという議論は容易に予想できるわけです。それで、仮に2倍以内ということになりますと、幾何級数的に合区するところが増えてくるわけであります。そうなりますと、鳥取、島根、高知、徳島の問題だけに止まらないのは火を見るより明らかでございまして、知事会全体で果たして都道府県が我が国の民主主義の中でどういう役割を果たしてきたのか、これをもう一度、考えていただいてこの都道府県というユニットごとに代表を選出する仕組みというのを我が国としては考えるべきではないか、こんな議論につなげるべきだと私は思います。出来れば、そうした観点でのアピールが望ましいと思っておりまして、恐らく、賛同される県も少なからずいらっしゃると思いますので、議論はしてまいりたいと思います。
出典:知事定例記者会見(2016年7月25日)
http://www.pref.tottori.lg.jp/257449.htm#1
具体策は読み取れません。あるいは島根県知事もこんな感じで、
合区選挙自身の問題でありますけども、その前の段階として、いろんな地方の行政がやはり現実の問題として都道府県単位で行われるわけですね。いろんな、それは法律の定めによって、県ごとにこういう計画をつくりなさいとか、そういうことが現実にあるわけですから、それを踏まえた、やはり選挙制度というのが必要なんじゃないかというのが私の基礎にある考えですね。それで、それに加えて、今回のように広い選挙区になりますと、候補者と選挙民の方々がお互いに話し、聞き合う時間がなかなかとれないといった問題が明らかになったと、こういうことでしょう。
出典:7月13日質問事項1
http://www.pref.shimane.lg.jp/admin/seisaku/koho/kaiken/28/0713QA1.html
やはり具体策を読み取ることができません。
#どなたか、この手の情報をもしご存知でしたら教えていただければ幸甚に存じます。
ひょっとして、田舎の(?)知事って馬鹿ばっかりなのかも知れませんが・・・・。文句を言うだけで地元の評価が得られるなら、こんな楽な商売もないですよね。