岡さんの作品は、なぜか四輪車である。これだけでまず出オチ的な楽しさがある。次に、岡さんの頭の中に浮かんだ面白おかしいイメージがそのまま具象化されたキャラクターが面白い。昭和の漫画やアニメのような、邪気のない表情が良い。そのキャラクターについて書かれているストーリーが良い。あと、決して忘れてはならないのが、そういった魅力的なキャラクターたちを表現するための、しっかりした技術力である。その技術は、今回で言うと野菜シリーズなどからも見て取ることができた。
岡モータースの最大の魅力は、見る人全てを幸せにしてしまうところだろう。「なんじゃこりゃ」と思いつつ、手に取るだけで口元が緩んでしまう。まさに、曇りときどき晴れの日差しのような、本当にちょっとした安らぎなのである。
さっと見て、気に入ったのはこんな作品。
ストーリーすら見当たらないパールボーイ
ウルトラセブンに出てきそうな謎の石
なぜかバルーンアーティストを目指しているうに
服は赤でもなく青でもないけれどナウシカっぽい自然派
一度は何も買わずに帰ったのだけれど、翌日に再訪。それで買ったのが次のふたつ。
「門野クリニック」門野正平
パールボーイ
門野正平は、最近高齢で入院することの多い叔父さんにプレゼントした。小児科だけど。叔父さんだけではなく、病院にお見舞いにきた人や、医者・看護師なども「これ、なんですか?」と顔をほころばせるに違いない。殺風景になりがちな病室にはぴったりだと思う。
パールボーイは、手荷物で飛行機に持ち込んで渡米、今は僕のコレクション机の上に並んでいる。彼のストーリーはこんな具合だ。
ポジティブで強かな彼。たとえピンチが訪れても、取り込んでチャンスにしてしまう。まさに真珠のような精神を持っている。そんな明るい彼に周りは『いったいどういう頭の中なの?』と聞いてしまうのだが、その度に『頭の中はパールだよ』と返している。
岡さんの素直さと人を見る優しさがそのまま伝わってくる。自分の机の上にひとつ。そして、身の回りの親しい人にもひとつプレゼントしたくなるような作品たちである。
実は、事前に松本氏からは「お叱りを受けないか心配ですが、、」と言われていたのだけれど、とんでもない。いつまでも、岡モータースの作品の良さがわかるような人間でありたい。
なお、10日、11日は作家の岡さんも在廊とのこと。
岡モータース展 人生曇りときどき晴れ
2016年 9月3日(土)〜11日(日)
営業時間 11時〜18時
作家在廊日 9月3日(土)・4日(日)・10日(土)・11日(日)
ギャラリーうつわノート(埼玉県川越市)