NYに一蘭が米1号店、豚骨ラーメン1杯「2千円弱」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160930-00010001-qbiz-bus_all
まず、一蘭についてだが、福岡発祥の九州系とんこつ、細麺、辛味ダレ、お一人様味集中システム、お好みオーダーシートシステムといった特徴がある店で、福岡で多店舗展開したあと、2001年に六本木、その後上野、池袋、新宿といった商業地を中心に東京進出を図り成功を収めたラーメンチェーン店である。六本木や上野店あたりまではきちんとクオリティ・コントロールがされていたのだが、徐々に味を落とし、新宿店などはひどい有様なのだが、中国人を中心とした外人層にはウケが良いらしく、店はそこそこ繁盛しているようだ。
次に、米国のラーメン事情。今の所ワシントンDCを中心にして食べているが、西山製麺所が頑張っているのか、北海道系の店に勢いがある。外人が作るラーメンなんて、と思いがちだが、いくつかの店は東京でやっても繁盛店になりそうなくらいに味は良い。もちろん、ダメな店の方が多いのだが。北海道系の他は、熊本系に思える九州とんこつが支持されている。しかし、一番美味しいのは担々麺系の辛味スープで、次点がとんこつスープである。味噌は当然のようにイマイチ。価格はワシントンで13ドル程度(約1300円)、ニューヨークの方が多少安くて、だいたい12ドル、安い店だと8ドル程度である。米国は最低賃金が時給15ドル前後ということもあってか、人件費がかかるファストフードの価格が高く、マクドのビッグマックでも約5ドル(約500円)するので、13ドルぐらいだと「まぁ、こんなもんかな」、8ドルだと「結構安いじゃん」と感じる。
ということで、一蘭の米国進出なのだが、
日本と同じ味のラーメンを1杯2千円弱で提供する
とのこと。味だけで言えば、日本の旗艦店と同じくらいの質をキープできるなら、十分に受け入れられるだろう。新宿店みたいな劣化バージョンでも、初めのうちは集客できるかもしれない。問題は価格競争力で、ただのラーメンを20ドル弱というのは、ちょっと高い印象を受ける。マンハッタンでも一定のコスト感覚はあるし、マクドやサブウェイといったファストフードも揃っている。とはいえ、先行出店している一風堂がラーメンで14ドル、チャーシュー麺で17ドルぐらいでそこそこ成功しているので(日本人で、知人の米国人を案内するといった特段の理由もなしにこの値段で食べる馬鹿はいないだろうが)、ぎりぎりいけるかな?というラインである。ただ、一風堂はラーメンの他におつまみやアルコール類が充実している。滞留時間を長くしてでも、客単価を上げる戦略だ。この辺は、一蘭がどういう戦略に出るのか、ちょっとだけ興味深い。
エンパイア・ステート・ビルそばのユニクロがガラガラなのを見てもわかるように、日本からの海外進出が必ずしも成功するわけではない。しかし、過当競争になり、高齢化で脂分の多い食事は好まれず、おまけに国民は貧乏暮しまっしぐらという斜陽国で競っていても将来はないので、悪いチャレンジではないだろう。
成功するかどうかは、現地の状態に応じてきちんとした経営戦略を立てられるかどうかにかかっている。開店当初はともかく、ブームがいち段落したあとに、客足を見つつどうやって調整していくか、である。少なくとも、僕は20ドルもするなら、当然他のものを食べる。