アカデミー賞14部門にノミネートということだったので、映画の日(?)にジョージタウンで観て来た。才能はあるのに運に恵まれず埋もれていたジャズ・ミュージシャンと女優のラブストーリー。ところどころに過去の名画の名シーンのパロディを盛り込んでいる。監督は『セッション』で一躍注目を浴びたデミアン・チャゼル(Damien Chazelle)、主演は良く知らない男優(笑)と、『アメィジング・スパイダーマン』、『マジック・イン・ムーンライト』、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』のエマ・ストーン。
冒頭の高速道路のシーンでいきなり「これ、どうやって撮ったんだろう」という絵が展開されるのだが、以後もたびたび良く効果のわからない長回しが出てくる。この辺りは出来上がった作品で表現された効果以上に、役者や編集者に負担がかかったはずで、お疲れ様としか言いようがない。長回しやノーカットは最近の流行りのようだ。
ストーリーは良くある話で、確かにラスト・シーンは良かったと思うのだが、こういう表情ってどこかで観たよな、と思って思い返してみたらトイ・ストーリー3のラストだった。あっちは人間じゃないし、そもそもCGアニメだけど。
決してつまらない映画ではないし、正直、面白かったけれど、アカデミー賞にノミネートされるような作品かと問われると激しく疑問だったりする。一番「これ、どうなんだろう」と思ったのは、多分、映画で観るよりも本で読んだ方が感動しそうだと感じてしまったことである。そりゃ、俳優が演じていた方がリアルだし、音楽があるのも映画ならでは。過去の名画へのオマージュなんかも書籍では無理なんだけど、どうも、何かが足りない感じがした。でも、それは字幕なしで観たからかもしれない。
米国人はこういう映画が好きなのかな。僕は『Arrival』の方が好き。