2017年09月03日

かつ濱

「とんかつ評論家で、著作もある」という話をすると良く「あそこはどうだ」「ここはどうだ」と言われるのだが、それは米国にいても同じで、違う二人の人からニューヨークの「かつ濱」はどうだと聞かれたので、食べないわけにはいかない。正直、どうせ大したことはないだろうと思っていたのだが、米国は肉だけは安くても高品質なので、侮れない。

22時過ぎという遅い時間の入店だったのだが、店は日本人を中心にそこそこ繁盛している。メニューを見て、ヒレカツと黒豚ロースカツを注文した。

まず、味噌汁と漬物が到着。




続いてカツが来たのだが、暗い店内で写真は手ブレ。残念。まず、ヒレカツから食べてみた。

ヒレカツはかなり薄めに切られていて、一方で衣は厚め。おかげで、カツレツみたいな食感になっている。揚げている油の温度は標準的な温度と思われるが、油のキレは悪く、カラッと揚がっている感じではない。また、揚げ時間が長いのか、肉のジューシーなところが失われているのが残念。

ご飯は部分的にのり状になっていて、臭いも感じられた。不味い部類。夜遅くに入店したので炊いてから時間が経っていたのだろうが、それにしてもこれは酷い。味噌汁はぎりぎり許容範囲、漬物は出来合いだろう。良くも悪くもない。

続いて、黒豚のロースカツ。カツは厚みがあって脂がある分、ヒレカツよりもジューシーと感じるものの、肉汁の美味しさは希薄。下味がきっちり付いているのでソース無しでもそこそこ美味しく食べることができるところは良いのだが、これは調味料を味わっているのであって、肉のうまさを満喫しているのとは違う。

ということで、ヒレ、ロースともに、米国にあってもリピートしたくなる質ではない。ただ、価格的にはラーメンより5ドルぐらい高いだけなので、不味いラーメンを食べるぐらいならこちらの方が良いかもしれない。僕なら不味いラーメンも、この店のとんかつも、両方食べないけれど。

ということで、とんかつ本に掲載するほどの味ではなかった。今後は「ニューヨークのかつ濱は美味しいですよ」と言われても、「あぁ、食べましたけど、僕の基準では二度と食べないレベルですね」と答えることができる。







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