多少の波はあるものの、ダメな脚本家ばかりのテレビ脚本家の中ではかなり良い本を書く大森美香脚本で、内容は最近たくさん集めている浮世絵がテーマとあって、早速観てみた。
野田秀樹がチョイ役で出ているとか、いくつか放送前に話題になっていたことはあったのだが、観ている最中から気になったのは、脚本とか、役者とかではなく、映像の表現方法。彩度を落として、赤とか、緑とか、場面によって特定の色だけ強調する表現が印象に残った。これが良いとか、悪いとかの印象は特にないのだが、あぁ、「シンドラーのリスト」でスピルバーグがやったようなことが、今はこんな低予算(かどうかは、正確にはわからないが)のテレビ番組でできちゃうんだなぁ、と思った。作画シーンでの工夫とかも含め、演出面での工夫が目についた。
ただ、僕としては「あぁ、ここは筆には水だけつけて、下にあらかじめ絵を配置しておいて、水で湿らせて下絵を浮き出させたのかな」といった技術的なところについつい目がいってしまい、その演出の良い悪いは、正直良くわからなかった。
もともとの話がそこそこ面白いので、作品自体も楽しめた。ただ、北斎が小布施に行ったところとかは省かれていて、歴史との整合性はいまひとつに感じた。ドラマの尺が短くて、言及する余裕がなかったのだろう。
役者の演技は良かったと思う。