福田さんとは、日の出テレビを一緒にやっていた時からの仲である。当時は、自民党が冬の時代で、彼の周囲には数名の落選議員がいた。彼らを集めて、自民党市議会議員を含め、神奈川県自民党の議員、元議員による「日の出テレビ」を立ち上げていた。
僕は、福田さんと新横浜で実施されていた勉強会に参加していて(講師だったか、賑やかしだったかは失念)、その時に「議員は自分が語りたいことを喋るだけで面白くない。視聴率を上げるために、元木さんのような政治家ではない人間にも参加してほしい」と要望を出され、日の出テレビに参加した。
以後、週一回〜二回の放送を続けたので、そこそこの期間、日の出テレビに参加し、キャスターとしてだけではなく、運営も手伝ったことになる。また、日の出テレビが解散した後も、福田さんは僕の実家の選挙区の政治家なので、その活動を色々見てきた。まず、福田さんの代表的アクティビティだった日の出テレビと、議員としての活動の印象をざっと書いておきたい。
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(1)日の出テレビ運営会議
月に一度だったか、運営会議が行われていた。この会議できちんと発言していたのは僕と山際大志郎氏(衆議院議員)、山下正人氏(横浜市会議員)の3人で、福田さんは議長的な役割で打ち合わせをハンドリングしていた。
(2)日の出テレビ運営会議参加者
僕は、運営会議は全て出席した。福田さんも、記憶している限りは欠席がなかった。逆に、牧島かれん氏はとうとう一度も顔を合わせた記憶がない。
(3)放送内容
僕以外は、視聴者が何を観たいかには興味がなく、ほぼ全ての出演者が、自分が喋りたいことを喋っていた。
(4)アシスタント
福田さんはずっと女性アシスタントをつけて放送していた。僕もその形式を踏襲したのだが、僕と福田さんの相違点はアシスタントに給料を払ったかどうかである。僕はボランティアという制度が嫌いで、デフレ誘引の一つの原因となると考えていたので、最後までアシスタントに出演料を払い続け、また、帰りが遅くなる場合には家まで車で送り届けた(番組の開始が23時だったりしたので、毎回神奈川県や千葉県の家まで送り届けた。なお、当時の僕の自宅は朝霞市だった)。この辺については、僕の番組の歴代アシスタントたちに聞いてみてもらっても良い。一方で、福田さんは「アシスタントはボランティア」という立場で、給料は支払っていなかったようだ。
(5)当選後
民主党が自滅して、自民党が勢いを取り戻したため、日の出テレビに参加していた自民党の落選議員たちは軒並み当選して議員に復職した。忙しくなってテレビ運営どころではなくなり、日の出テレビは解散した。この時の会議の様子は全部記録してあるのだが、私的な会議なので議事録の公開は避ける。取り立てて問題となるような発言はなく、「続けたいけど続けられない人」と「あまり意味がないので、途中からやる気はなくなっていた人」に分かれていたことが印象的だった。
(6)福田さんについて
個人的な感想を言うなら、「良い人」である。Facebookの記事などを読んでいると、誤字が多く、国語の成績は良くなさそうに感じる。政治的立ち位置はやや不明確で、他の議員たちよりは個性がなく感じられた。たとえば山際氏は小泉進次郎や、入閣前の河野太郎、他党でいえば江田憲司などに近く、山下氏は非常に常識的な人物ではあるものの、いわゆる右翼的な保守思想の持ち主で、根っこのところでは同意できないことが多々あった。例えば山下氏は安倍晋三に最大限の敬語を使っていて、それを指摘すると「一国の総理大臣なので当たり前」と答えていたのだが、それなら民進党や共産党の総理大臣が誕生しても、そういう言葉を使うのだろうかと感じた。福田さんは、そうしたカラーが色濃く感じられなかった。詳しく見ていくと、山際氏ほどではないものの、小泉進次郎や江田憲司に近いカラーだが、良くも悪くも、それが希薄である。結局、今後どんなブレインがつくか次第だろう。
このところ水素社会の確立に注力していたようで、この辺が今後の活動の核になってくるのかもしれない。ただ、水素周辺は水素水のようなトンデモ業者も存在するので、注意が必要だと思う。
(7)離党について
福田さんが離党する前は、彼のFacebookに「自民党の支持率が下落傾向にある今、江田さんに勝つことは難しく、また復活当選も難しいのではないか。落選したら、また一緒に日の出テレビをやりましょうか。ワシントンDCから参加しますよ。ただし、反アベノミクスですが」といった内容のことを書き込もうと思っていた。
神奈川8区は、河野太郎氏の15区ほどではないにしても、江田憲司氏が磐石の選挙戦を見せる選挙区で、神奈川県では河野太郎氏か小泉進次郎氏以外は太刀打ちできないことが予想される。そういった苦しい立場での離党なので、きちんとした説明がないと「復活当選が難しくなったので離党した」と言われるだろう。
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さて、次に、僕が約2ヶ月前に書いたこちらのエントリーを読んでみて欲しい。ちょうど、福田さんにも言及している。
政治家を育てるのは有権者である
http://buu.blog.jp/archives/51550167.html
このエントリーで書いたことは、「政治家は有権者が育てなくてはならない」ということだ。政治家は、最初から有能なことは滅多にない。まず、性格が良くて、人柄が信頼できることが重要で、あとは優秀なブレインを見つけた方が良いのである。そうでないなら、映画俳優が米国大統領になったりはできない。また、最初から有能でも、人柄が悪ければとんでもないことになってしまうのは、豊田真由子議員の例を見れば明らかだろう。少なくとも、福田さんの人柄は問題がないと感じる。
今回、なぜ福田さんが離党という決断を下したのかはまだわからない。まずはそこを聞いてみたいのだが、せっかく離党するなら、僕がずっと主張してきている「労働力の流動化による景気回復」を目指して欲しいと思っている。
参考:ジョブ・キャリアの分割と、高度プロフェッショナル制度
http://buu.blog.jp/archives/51550477.html
なお、これは余談だが、このエントリーに登場した江田憲司氏、小泉進次郎氏、山際大志郎氏、福田峰之さん、そして入閣する前の河野太郎氏は、安倍晋三とはかなり距離のある主張の議員なので、さっさと新党を作れば良いのに、と思っていた。