2017年10月10日

Blade Runner 2049

ブレードランナー2049をIMAX 2Dで観てきた。米国では大コケという記事があったのだが、

映画「ブレードランナー」続編が大コケ 中年にしか受けない説
https://forbesjapan.com/articles/detail/18025

実際には映画館の窓口はスターウォーズでもできなかった行列ができていて、その構成は主に若い女性だった。

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第1作は公開直後はイマイチの人気だったものの、その後、徐々にSFファンの口コミによって人気が出てきて、今では知らない映画ファンはいないほどの名作と言われている。支持されてきた経緯は宮崎駿の「カリオストロの城」に良く似ている。

その続編ということで、ファンの期待は嫌でも高まる。これは監督もやりにくい。こんな状況に挑んだのは、「Arrival」(邦題:メッセージ)で独特な世界観を見せることに成功したドゥニ・ヴィルヌーヴ、50歳。中学生の頃に第1作を観た計算である。そして、主演は「ラ・ラ・ランド」のライアン・ゴズリン。

ブレードランナーはオープニングから観るものを圧倒したが、その点は2049も同じ。2019年のロスが2049年にはどうなっているのか、誰もが気になるところだが、それを見事に表現していた。ブレードランナーの世界観は多くの映画制作者に影響を与えたので、たとえばちょっと古くはスピルバーグの「A.I.」、最近だと先日公開された「Ghost in the Shell」などでも、ブレードランナー後の世界を想像することができたのだが、そうした作品で観てきた「ブレードランナー後」とは全く異なる世界を観ることができた。スクリーンの上に存在したものは、間違いなく「あれ」の30年後だった。

そうした下敷きの上にのせられたのは、本作でも人工物の心である。このテーマはオリジナルと変わらない。しかし、描かれている心象は、街と同じく30年の時間を経ている。この辺から、脚本がじっくりと練り上げられていることを感じる。

続編が前作を乗り越えるのはとても難しい。過去を振り返ってみても、ゴッドファーザーパート2、トイストーリー3、ダークナイトなど、ごくわずかである。その上、ブレードランナーはすでに最高ともいえる評価を受けている作品だ。だから、これを抜くのは至難の業だし、正直、僕もそれを抜くことは期待していなかった。どうしたって、先駆者の偉大さを追い抜くことは尋常ではできない。多分、全てを加味すると、超えてはいないのだろう。しかし、それでもなお、作品は見事だったと思う。きちんとオリジナルを踏襲し、その30年後として違和感のない範囲で、かつ見たこともない世界を描き出していた。誰もが知りたかったデッカードとレイチェルの「その後」を提示した。そして、これまでのいくつかの作品で語られてきた、人工的知能の死と愛を描ききっていたと思う。

主役のライアン・ゴズリンの前では、今や重鎮となったハリソン・フォードも霞んでみえる。しかし、それは演出ゆえだろう。

映像、キャスト、ストーリー、音楽、それらについて全てきちんと上書きして、30年後にアップデートしてくれたこの作品に感謝したい。この時代に生きていて良かったと思うことの一つになった。

本作の鑑賞にあたっては、オリジナルのファイナル・カット版の鑑賞を強く推奨する。