僕が、出版されるほぼ全ての小説を読んでいる数少ない作家の一人が殊能将之である。ただ、初版でこの作家の作品を読むのはこれが最後だと思う。なぜなら、殊能氏は、5年前に
殊能将之@m_shunouんじゃまた
2013/02/07 15:25:48
というつぶやきを最後に、この世を去ってしまったからだ。この本は、彼の死後、段ボール箱の中から発掘された未発表短編小説を集めたものである。
「犬がこわい」「鬼ごっこ」「精霊もどし」の3編と、ハサミ男の秘密の日記」の合計4作が収録されている。どれも簡単に読み終わるので、殊能氏の作風を簡単に感じることができるだろう。豊富なミステリーに関する知識をベースにして、読者の期待と予想の上を行こうとする彼の企みが伝わってくる。面白いとか、面白くないとかではなく、彼の逝去が本当に惜しまれる。「精霊もどし」の秘術が欲しくなる。