大坂なおみ選手が全豪オープンで優勝した。これは全米オープンに続いてのことなので、まぐれでもなんでもなく、彼女の実力が世界のトップレベルだということだ。ところが、彼女の優勝は二度目にも関わらず、それをとりまく日本人の反応は三流国家のままである。
まず、彼女のスポンサーである日清が、彼女の肌を白く描いたアニメCMを製作して公式サイトに掲載し、すぐに削除する事態に見舞われた。
日清食品が大坂なおみの肌を白く描いたアニメ広告問題が世界中に波紋!
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190124-00010001-wordleafs-spo&p=1
広告制作サイドの意向はさっぱり理解不能だが、日本人は大部分が肌の色がほとんど同じ国民なので、これといった問題意識もないままに、錦織選手と同じ色にしたのかもしれない。これは国際的にも顰蹙だが、大坂選手に対しても失礼な話である。なぜありのままではダメだったのか。
また、この件について大坂選手本人にコメントを取ったら、今度は朝日新聞がその内容について我田引水の誤訳をやらかして、謝罪した。
大坂なおみ選手「なぜ騒いでいるのか分からない」は誤訳 日清のCMめぐる国内報道
https://www.buzzfeed.com/jp/saoriibuki/osaka-goyaku
朝日新聞はほぼ真逆の意味に誤訳して報道しており、こんなバカでも朝日新聞社には入社できるんだな、と驚いた。
次に、彼女の二重国籍問題。
二重国籍の大坂なおみが日本登録で出場する理由とは
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190127-00460516-nksports-spo
彼女がこれから片方の国籍を放棄するのか、そのまま放置するのかは彼女次第である。
世界で見ると二重国籍を認めていない国はバーレーン、サウジアラビア、オマーンなどの中東諸国、ボツワナ、エチオピア、ジンバブエなどのアフリカ諸国ぐらいで、条件はそれぞれだが、二重国籍を認めている国の方が主流である。日本の場合は二重国籍は禁止になっているが、日本国籍を選択した場合に他の国籍を離脱する努力は義務付けられているが、離脱する必要はない。
こうした中、大坂選手に日本国籍の選択を希望する声が聞こえてくる。彼らは大坂選手が日本国籍を選ばなかった場合には、大坂選手を応援しないのかもしれない。はたして、スポーツ選手の国籍とはそんなに大切なものなのだろうか。僕は2018年の全米オープンの決勝戦をスタンドから観戦したのだが、大坂選手を応援していたのは日本人だけではなかった。いや、日本人以外のファンの方が圧倒的に多かったかもしれない。また、米国人であっても、大坂選手を応援しているテニスファンは存在した。選手を応援する根拠は、国籍一辺倒ではなく、プレイスタイルを含めた選手の個性である。
オリンピックに、米国の選手として出場したら、応援しないのか?少なくとも、僕は応援する。
それから、言葉の問題。大坂選手が日本語が上手でないのは日本人なら誰でも知っている。それにも関わらず、日本のメディアは会見で「日本語で答えてくれ」と要望しているらしい。
大坂なおみ、「日本語で答えて欲しい」との質問に「英語で言わせていただきます」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190127-00000058-sph-spo
それなら、まずお前らが英語で質問しろ、という話である。なぜ日本語にこだわるのか、さっぱり理解できない。世界的に見れば、日本語を話す人間よりも英語を話す人間の方が圧倒的に多い。マイナーな言語であるにも関わらず、「日本語で」と求めるのは、このインタビューを聞く日本人の貧弱な英語力に配慮してのことかもしれないが、彼女の発音は非常にクリアで、中学、高校まで英語を勉強した人間ならかなりの程度まで聞き取れるはずだ。それが無理だとしても、英語の字幕を作れば済む話である。
また、これは記事にはなっていないのだが、NHKの中継もひどかった。表彰式でマイクを持った人間が英語で喋っている最中に、日本語で実況をかぶせていた。お前が英語が理解できないのは勝手だが、人の話はちゃんと聞けよ、ということである。
日本のマスコミにとっては、英語は雑音でしかないのかもしれない。こんな国だから、プーチンとの会談にも通訳が必要なバカが総理大臣になって、世界的に恥をかくのだ。「あの国の総理大臣は英語すらできないようだ」と。
「日本人」のアイデンティティを、肌や目の色、第一言語と信じるのは時代遅れだ。日本人なんだから日本語以外はわからなくて当然、という状況でもなくなってきている。英語でのコミュニケーションぐらいは、できた方が良い。また、国籍で人間を区別するのも同じである。黒い目、黒い髪、日本語。日本人ならこれで当たり前、と考えるのは、大坂選手の活躍をきっかけにして、過去のものとなって欲しい。
大坂選手は、この一年強の間に長足の進歩を遂げた。日本人は、取り残されつつある。