2020年02月08日

パラサイト 半地下の家族

キャッツに対する酷評に反比例するように、僕の周囲ではすこぶる評判が良かったので、観てきた。

前半、「起」と「承」はコメディ。昔の日本のコメディって、こういう正統派の面白さがあったよなぁ、と思い出すような楽しさ。

「転」からは、突然の大雨からの急転直下を描いている。ここからは腕時計の進み具合から目を離せなくなる。そして、ラスト。

全体として、確かに良くできている。韓国の階級社会を地下、半地下、地上の住民を通して象徴的に描いて、上流階級への皮肉も忘れていない。コメディは徹底的に楽しく、サスペンス部分は画面に見入ってしまう。

ただ、マイナス要素もなくはない。まず、効果音。いかにもな音楽が設定されるので、逆に醒めてしまう。それから、ラスト。タランティーノ的な仕上げ方は構わないのだが、そこへの繋ぎがどうも不自然に感じる。いや、自然過ぎる。それなら、こうなるよね、という、展開が予想できてしまうのが惜しい。昨年公開されたタランティーノの「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」は、その部分が絶妙だった。

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」は、つまらない前半、中盤を我慢していると、最後にとんでもない爆笑場面が展開される。本作は、ずっと楽しくて、中盤で怪しくなって、徐々にラストへつながっていく。やはり、ずっと我慢して、最後に大爆発するほうが爽快感がある。

とはいえ、良くできた脚本だった。評価は☆2つ半。暴力的な映画が嫌いじゃなければ楽しめると思う。