2020年12月17日

オーディオで経済を回してわかったこと

コロナで経済が冷え切っている。こんなとき自分では何ができるだろうかと考えて、オーディオで経済を回すことにした。

まず、最初に断っておくと、僕はオーディオおたくではない。

高校生の時、お年玉や小遣いを何年もかけて貯めて、セパレートのステレオを購入したのが最初である。その時のコンポーネントは、

アンプ ヤマハ A -7a
スピーカー パイオニア S -180A
プレイヤー パイオニア PL-88F
デッキ ソニー TC-FX1010
チューナー ビクター T-X55
CDプレイヤー テクニクス SL-P3

といった感じで、総額50万円(定価で。実際は4割引ぐらいで買ったと思う)ぐらいだったと思う。

その後、大学院生時代にスキーで大怪我をした時に多額の保険がおりて、アンプをAVアンプにして、スピーカーをオンキヨーにして、CDプレイヤーをヤマハにして、と、多少のグレードアップがあったのだが、大きなステップアップはないままに2020年になった。

そして、コロナである。家にいる時間が格段に長くなったので、家で音楽を楽しむのが良いと考えて、少しずつバージョンアップを進めてきた。それがようやく完了した。今のラインナップは、

メイン
アンプ ヤマハ A -S3000
CDプレイヤー ヤマハ CD-S3000
スピーカー TAD TAD-CE1

サブ
アンプ ヤマハ A-S1100
USB DAC マランツ HD DAC1
スピーカー B&W805マトリックス
ヘッドフォン ゼンハイザーHD800S

である。CD-S3000にはUSB DAC機能が付いているので、メイン、サブともにアップルの「ミュージック」にAIFFでリッピングしたデータを聴くことが多い。

TADはパイオニアのハイエンドブランドで、結局子供の頃からヤマハ−パイオニアを聴いていることになる。

定価ベースでは子供の頃に買ったステレオは総額50万円ほどで、そのクオリティで35年ぐらい聴き続けてきたことになるのだが、大人になった今、揃えたオーディオはメインだけでも約300万円になる。この価格差は音質にどの程度の差を生むのか。

最初に書いた通り、僕は別にオーディオおたくではない。特段のこだわりがあるわけではなく、ケーブルも5000円程度である。スピーカーもスパイクを使うわけでもない。こんなもんかな、と適当に置いただけだ。それでも、音質の違いは良くわかる。それだけでなく、Amazon Music、Amazon Music HD、CDの音源の違いによる音の違いも良くわかってしまう。特に影響が大きいのはスピーカーで、TADにしたら、あぁ、これはコンサートホールのような音だな、これは目の前で歌っているような音だな、という録音の違いまでわかってしまった。サブのB&Wは良い録音も悪い録音もそれなりに聴かせるのだが、TADは良いものは良く、ダメなものはダメなように鳴らす。この辺が面白い。

おかげで、長いあいだ、30年以上も聴いてきた中島みゆきの音が、全く違うものだったと気が付いてしまった。今まで一塊だった音が、全部バラバラに分解されて、その一つ一つが調和して聴こえてきたのである。僕は、持っている全てのCDを聴き直したくなってしまった。枚数的にはおそらく500枚以上あるので、一日一枚聴いても1年以上は楽しめる計算である。経済を回すはずがこれでは引きこもり確定である。しかし、やむを得ない。

300万円あれば、中島みゆきのコンサートには300回行ける。あるいは、これから20年間毎日1時間ずつ聴いたとして、一日あたりの費用は約411円。そこそこの金額である。でも、それに見合うだけの気持ちの豊かさは得られそうだ。

一枚のCDにこんなにもすごい音が収録されていたとは。おそらく、ほとんどの人がそのことに気がついていない。