2021年05月28日

加守田章二 天極をさす

コレクター仲間がTwitterで絶賛していたので、益子陶芸美術館へ観に行ってみた。

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いやーーー、これはすごい。数年ごとに作風がガラッと変わるのだけれど、そのそれぞれの意匠と、それを実体化させる技術がすごい。天才が複数でそれぞれの作風を担当しているのではないかと思ってしまう。

まず、若い頃の作品がすごい。飴釉をこんな風に操れたら楽しくて仕方ないだろうな、と思わされた直後に、異常なまでに大胆で、かつ計算された面取花瓶に圧倒される。

立体の構造に対するセンスと、その立体に模様をつけるセンスと、両方がすごい。そして、そのセンスは最後まで衰えることがない。

小さい高台と、そこへと誘導する造形の素晴らしさには感心するばかり。その一端はチラシに使われている皿の写真からも垣間見ることができるかもしれない。とにかくかっこいい。

特に壺に好きな作品が多かった。

焼き物の自分なりの評価の基準は「自分でも模倣品を作れるか」というのがある。見ても真似できないものは素晴らしいと思う。そして、加守田作品は、そのほとんどが「これは真似できない」という作品だった。それも、いざやってみたら難しかった、というものではなく、ひとめ見て「これは無理」という作品ばかりなのだ。

いやぁ、すごい人がいたもんだ。

「天極をさす」というタイトルも良い。

なお、写真撮影不可というのは残念でならない。焼き物なので、壺のような大きな作品以外は本当は手に持たせて欲しかったけれど、それが無理だとしても、写真ぐらいは好きな角度から撮影させて欲しかった。