2021年05月31日

HOKUSAI

版画コレクターとしては見逃せない一本なので、公開からすぐに観てきた。

結論から言えば決して悪くない出来だったけれど、マイナスポイントも色々ある。

まず、四部構成にしてしまったのが良くなかった。2時間前後の作品で四部構成はそれぞれが短すぎる。脚本家に絶大なパワーがあるならともかく、普通の筆力で四部構成はなんとも苦しい。

監督力もそれほど高いとは言えず、妙なところでこだわったと思えば、塗料で真っ青になったはずの顔が次の場面ではすっきり洗い流されていたりして気持ち悪い。歌麿や写楽には色々言及するのに広重は全く出てこないのも奇異に感じる。若いパートと老年のパートをふたつに分けたところも、これといって良い効果が上がっていない。単にぶつ切りにしただけ。せめて前編・後編の二本立てにできたら良かったと思うけれど、そこまでの予算が取れなかったということか。それでも、若い北斎のパートでヒットさせて、その勢いで後編を製作するという思い切りが欲しかった。なぜなら、北斎を主人公に大河ドラマを作ってもおかしくないくらいの時代と登場人物たちだからだ。

素材の良さは疑いようがない。プロデューサー、監督、脚本家、特にプロデューサーが力不足。

評価は☆2つ。