2021年06月03日

今日のアメノオト

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いつも「つけ麺は構造的な問題があっておいしく食べることはまず不可能なので、滅多に注文しない」と表明しているのだけれど、この店に来るのはかれこれ7、8回ぐらいになる(僕としては破格に多い数字である)ので、意を決して「昆布水醤油つけそば」を注文してみた。

つけ麺の構造的問題とはつけだれが食べるに従って薄くなることと、温度が低くなることの二点である。特に味が薄くなることは深刻で、舌が味に慣れてだんだん濃い味が欲しくなるのに、つけだれは味が薄くなって、最後まで楽しむことができなくなる。超濃厚タイプのつけだれで提供するのがひとつの解決策なのだが、これで成功した店は数えるぐらいしかない。昔だと志木のうえだ、朝霞の一本気だろうか。また、日本そばのように「濃口で作ってあります。少しだけ麺をつけてお召し上がりください」という手もあって、この成功例として桐生の芝浜をあげることができる。しかし、こうした成功例は滅多にお目にかかることがなく、つけ麺は味噌ラーメンと同様、プロ的にはとても難しい食品ということができる。

さて、アメノオトは、既存の成功例と一部に通じるところがあるものの、新しい提案で、それは麺を昆布のだし汁につけておくというものだ。このおかげで、つけだれにはだんだんと昆布だしが追加されていくことになって、味が変容していく。これがなかなか面白い。

メニューには「美味しい食べ方」が解説してあって、”まず藻塩で食べて、次につけだれに麺を半分ぐらいつけて食べて、途中でレモンや穂紫蘇で変化をつけて、締めは残った昆布水でつけだれを割って飲んでくれ”という旨が書いてある。この順番で食べてみると、確かに最後まで変化を楽しめる。

個人的な好みは藻塩で食べることだが、つけだれにつけて食べても美味しい。ただ、やはり麺を食べさせるには少々力不足で、ついついどぶんと麺をつけだれに沈めてしまいたくなる。というか、後半はやってしまった。そうすれば、なかなか美味しいつけそばである。塩分が薄くなる問題は麺に藻塩をぱらぱらとふりかけることでクリアした。

ということで、つけ麺の構造的な問題点をクリアする手段としては、万全ではないものの、とても興味深い提案と受け止めた。これを実現するためには昆布水に長時間浸かっていても麺の表面が劣化してこないような工夫があるはずで、単に昆布ダシにつけてみました、ということではないだろう。

夏の暑い時期などは特に良いと思う。

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