原作未読。
以下、ネタバレを含む感想なので、ネタバレがいやな人はさようなら。観てから読んでください。
まず、編集が拙い。第一話、第二話という感じでエピソードがあっては終わり、あっては終わりしていく。実際には同時並行だったはずで、いちいち風呂敷を畳んでは次の風呂敷に移っていく様は何の工夫も感じられない。
設定もすごい。70代後半の救命医って、15分戦った後のウルトラマンみたいな非現実感がある。映画上では60歳前後かもしれないけれど。
脚本上もおかしいところが散見される。「オヤジ!」と叫ぶあたりは素で笑ってしまったし、「罪はありません」って、罪はあるでしょ。そこは「責任はありません」であるべき。余命訊かれて「永遠」はないだろう。明白な嘘はダメだよ。
金沢の街の観光映画にしたかったのか、場所のつながりがないのも違和感を持った。梅の橋界隈と主計町はすぐ近所だからおかしくないけれど、西茶屋街が出てくるのはどうなのだろう。
僕の記憶が確かなら、父親とご飯を食べていたところは割烹ではなく寿司屋の2階だと思う。
八郎すしで香箱ガニを食べた件
http://buu.blog.jp/archives/51556681.html
寿司屋は寿司屋として使うべきで、景色だけ拝借するのは行儀が悪い。まぁ、多分次に行った時は八郎すしには吉永小百合のサインが燦然と輝いているのだろう。
それで、肺がんなのに喫煙をやめず、それでもラストまで元気な芸者さんのエピソードも何だかなぁ、という感じだし、コメディになってしまった官僚のエピソードも変。それなりに時間を取っていたのに、セリフで片付けられてしまうエピソードもあった。伊勢谷さーん。痛くて眠れないなら鎮静剤入れようよ、と思う。
わざわざハンディカメラを使ったのに、これといって効果的なアングルで撮っていた感じもないし、頻繁にスモークがかかったような表現になっていたのはあれは何だったんだろう。マスクのせいで眼鏡が曇ったのか、元々眼鏡が汚れているのかと思って、予備の眼鏡にかけかえてしまった。
何日も話し合って結論を出したのに、雪で考えを変えてしまったのもちょっと説得力に欠けるし、そもそも痛みはどうなったんだ?
ラスト近く、金沢市内のあちこちに顧客を抱えていたようだが、訪問診療は訪問は16キロを超えると保険適用外になる。その外に広がっていなかった?ちゃんと測ってないけれど。
監督、脚本(脚色)、編集が下手で、役者の演技を無駄にしてしまった印象。「オヤジーーー」は今思い出しても笑える。「息子は俺のことをパパと呼んでいた。お前は詐欺師だな?」と問い詰められても文句は言えない。
客は僕を除くと全員高齢の女性。吉永小百合を見て「相変わらずきれいねぇ」と話してもらうのが主目的の映画なのかもしれない。
評価は☆半分。ただし、ツッコミどころ満載なので、ツッコミたい人には良い獲物である。