2021年07月06日

夏への扉 -キミのいる未来へ-

ハインラインの名作SFが原作。原作既読。

「どうせひどい出来だろう」とたかを括って観に行ったのだが、前半はわりと上手に撮っていた。古い時代の場面をくすんだフィルターをかけるなど、超ありがちで陳腐な演出には目をつぶっても良いかな、と思ってしまった。脚本(脚色)も、ハインラインのご都合主義なところをうまく改変して、違和感のない展開にしていてまぁまぁ悪くない。展開や次のセリフが読めてしまうのも原作を知っているからかもしれないと好意的に受け取っていた。

だんだん怪しくなってくるのは、未来に行ってから。「その行動はおかしい」「その設定は変」と感じる不自然な場面が増えてくる。それでも、必要以上に不自然なヒューマノイドの演技がなかなか上手で、その辺はちょっと感心した。そういうわけで、思ったよりまともじゃん、と思っていて時計を見ると残り30分。これは掘り出し物か?

しかし、最後の最後で、映画はぶち壊し。何がまずかったって、主演男優の演技。他の役者は多少難がある役者がいても何とか演じきっていたと思うのだが、主演がダメでは厳しい。染谷翔太あたりを主役にキャスティングできていたら印象はもっと全然良かったと思う。ラス前までは勢いでなんとかなっていたのだが、最終盤のセリフで聞かせなくてはならない場面になって「あーーーーーー」となってしまった。

冒頭の三億円事件の犯人逮捕のくだりが大した伏線になっていなかったことにがっかり。

評価は星1つ半。