2021年07月20日

竜とそばかすの姫

細田監督の最新作。高知の田舎町に住む学生たちとネット内のバーチャル世界を描いている。

全体としては、なかなか上手に仕上げているのだが、あちこちに舌っ足らずのエピソードが見えてくる。特に足りないのが、ベルがネット内での人気者になっていくところ。なぜか瞬時に有名人になっていた。そして目立った活動も見えてこない。ここまでで「ボヘミアン・ラプソディ」一本分の映画があってもおかしくない。また、竜の登場も唐突。最後まで観ても竜がどうやって自分の拠点を築いていったのかが見えてこない。また、全ユーザーの中から特定アカウントを探し出そうとするあたりも描写が足りなく感じた。

上映時間は121分なので、あと30分は延ばせたはず。ただ、121分でも、これまでの細田作品の中では最長。日本テレビ放送網から「CM込みで2時間20分内にまとめてくれ」という強い圧力がかかったのかも知れない。アニメでディレクターズカットってあまり聞いたことがないけれど、そういうバージョンがあるなら観たい。

日テレの圧力といえば、タイトルからもそれを感じる。「◯◯と◯◯の◯◯」というタイトルの付け方はそれだけで「また馬鹿の一つ覚えかよ」と感じてしまうのでやめて欲しい。

ストーリー上の謎はラストの救出部分。あれだけ味方がいたら、ほかにいくらでもやりようがあったはず。それこそお母さんのようになってしまう可能性だってあったのだから。

設定はある程度ご都合主義だったものの、良く考えられていた。歌に違和感なく歌詞が表示される設定になっていればもっと良かったと思う。作画とか演出とか美術とかも良かったと思う。

ちょい役のお姉さんたちやお母さんなどでどこかで聴いたことがある声だなぁ、と思っていたら、あちこちで聴いたことのある人たちだった。

ちょっと期待が大き過ぎたかな?評価は星2つ。