2021年09月09日

アキラ

アキラのUHD版が発売されたので、買って観てみた。



僕にとってのオールタイム漫画ベスト10には絶対に数え上げる本作だけど、映画版には正直あまり良い印象を持っていなかった。もちろん劇場で観たし、レーザーディスクも持っていて、当時最先端の6チャンネルサラウンドで何回も観ていたけれど、それでも映画の評価は高くなかった。理由は簡単で、漫画版のストーリーの方が格段に良かったからだ。特に、気持ちの良い終わり方は非常に印象的だ。100点満点の漫画の前では、90点の映画も物足りなく思えてしまう。

でも、せっかくUHD版を観ることができる環境なのだから、と思って観てみたのだが、映像作品としては傑作だった。漫画と映画は切り離して評価すべきだろう。30年前の作品とはとても思えない演出で、去年制作と言われても違和感がない。映像、演出、音楽、音響などはとても良いと感じた。

一方で、ストーリーはどうなんだろう。漫画と切り離せば、さっぱり理解できなくても不思議ではない。アキラとは誰なのか、超能力者たちはそれぞれ何ができて何ができないのか、春木屋のマスターや山形はあっさりと退場していくし、ミヤコに至っては存在自体が意味不明だ。他にも無駄に消費されてしまった設定がいくつもある。内容が、漫画を読んでくれていることを前提としていて、映画と漫画を切り離してしまうと理解が厳しい。強く感じるのは、2、3時間の映画に押し込むには、内容が多すぎるということだ。結局、漫画版とは全く異なるストーリー展開を強いられ、それでも消化不良の内容になってしまった。

オリジナルコンテンツが不足している今なので、漫画版のストーリーに忠実にアニメ化すれば大ヒット間違いなしだと思うのだけれど、日本の経済状態では無理なのかな。

評価は☆2つ半。