「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」のレビューは先日書いた通りなんだけれど、今回はネタバレしつつ、ここが納得いかないということを書いてみる。本当にネタバレなので、まだ観てない人はさようなら。
さて、ここからが本番。まず、有権者の皆様に知っておいていただきたいのは、僕がダニエル・クレイグの007が大好きだということであります。007シリーズはショーン・コネリーから観ているけれど、ダニエルの007が一番好き。スピルバーグのミュンヘンからいきなりジェームズ・ボンドだったので、最初に聞いた時は「え???」と思ったけれど、実際に観てみたら☆3つだったのであります。
カジノ・ロワイヤル
http://buu.blog.jp/archives/50289464.html
そのダニエルが、一度は前作「スペクター」で降板すると表明したにも関わらず、その降板宣言を翻しての本作だったのであります。そして、今やスパイ映画の二大看板のもう一つになっているミッション・インポッシブルと同じように、往年のキャストを変更して、「これぞ現代の007」という形を作り上げてきました。その状態でのダニエルの降板は残念ではあっても、一人の役者としての卒業を祝いたい気持ちでいたのであります。
そして、公開初日の初回で鑑賞したのであります。普段は映画を観ないのかな、と思うようなおじさんが隣でずっとブツブツ言っていても、オープニングタイトルの曲が終わる前にトイレに行く客がいても、とにかくダニエルの007の最後をじっと見守ったのであります。
納得いかん!!!!!
まず、一つ目。007に子供ができたこと。
子持ちのボンドはおかしいでしょ。それは、ダース・ヴェイダーがアストン・マーチンに乗っているぐらいに不似合い。おかしい。これまで何人のボンド・ガールと濡れ場を演じてきたのかは数えてみないとわかりませんが、40や50ではとどまらないはず。そして、ずっと避妊に成功してきたのであります。そんなボンドが、ダニエルの最終作で避妊に失敗するなどあり得ません。それは、シャアがザクに乗って散歩しているときに転ぶくらいにあり得ないのであります。そこで、ボンドに子供ができてしまったことを、新・3大「007 ノー・タイム・ノー・ダイ」のここが納得いかないの1つとさせていただきます。
次、二つ目。007が死んだこと。
ボンドは不死身のはずです。死ぬなんてあり得ません。宇宙空間に全裸で投げ出されてもなんとかする奴のはずです。ボンドが死ぬなんて、ゴルゴ13があっち向いてホイでR 2-D2に負けるくらいにありえない話なのです。ない、ない。これだけはない。そこで、ボンドが死んでしまったことを、新・3大「007 ノー・タイム・ノー・ダイ」のここが納得いかないの1つとさせていただきます。
最後に三つ目。最終作なのに、子供ができたことも、死んだことも、はっきりさせなかったこと。
これは「逆襲のシャア」とか、古いところでは「あしたのジョー」などで見られる最終回の仕上げかたの一つであります。あしたのジョーなどは僕が小学生の頃から論争があって、死んだなんて思いもしなかった僕は同級生で今はNHKの解説員(多分)をやっている友井くんにも「バカだな、死んだに決まってるじゃんか」と言われてしまったことをまだ覚えています。こういう、生死不明の終わり方は良くない。颯爽と、スポーツカーで走り去るのが007なのであります。そう、カリオストロの城のラストのように、爽やかにメンバーたちが退場していくラストにできたはずなのであります。この終わりかたでは、少なくとも僕はダニエルによる次回作を期待してしまいます。僕達は、「絶対死んだと思うけれど、もしかしたら生きていたかもしれない」という著名人を何人も知っているではないですか。織田信長とか、明智光秀とか。そういう生死不明は、歴史上の人物だけで十分なのであります。せめて、創作の中ではきっちりケリをつけて欲しかったのであります。
そこで、ラストなのに肝心なことに完全にケリをつけずに終了したことを、新・3大「007 ノー・タイム・ノー・ダイ」のここが納得いかないの1つとさせていただきます。
ご静聴ありがとうございました。
ネタバレってしつこく書いたのに読んじゃった人はご愁傷様であります。