上映館が少なすぎるだろ!と思っているうちに終わってしまった本作。日本より外国での評価が高くなるといういつもの現象のおかげで特別上映する館が増えて来て喜ばしい限り。
舞台俳優・演出家の男性が妻を亡くしてから再生していく様を描いている。劇中劇として「ワーニャ伯父さん」を取り入れている。原作は村上春樹の短編。なので、村上春樹の原作とワーニャ伯父さんを読んでおくと楽しみが増加するけれど、読んでなくても大丈夫、問題ない。
喪失と再生は村上春樹の定番だが、それをとても上手に映像化している。ここまで良く練られた脚本は邦画としては稀有。とにかく上質で、ここ数年の邦画の中ではトップだと思う。
「これはどうなの?」と感じるのは登場人物たちがタバコを吸いすぎなのと、冬に広島から札幌まで車で行ってしまうところぐらい。あとはすんなり頭に入ってくる。
とても静かな映画なのでハリウッド映画っぽいうるささが皆無。これでも海外の映画祭でちゃんと評価されたのは良かった。
脚本だけでなく、監督と俳優も良い。これだけ揃えば当然傑作となる。評価は☆3つ。