2023年01月13日

イチケイのカラス

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冒頭から映画慣れしてないカットで始まる。あ、ドラマのつもりで撮っちゃったな、と感じる。全体的に奥行きがない画面作りで、この監督は多分映画を撮った経験があまりない。

たとえば階段から落ちるシーンがあるけれど、このシーンが挿入されている意味がない。民放のドラマのように、タダで観ていて、いつ観るのをやめるかわからない相手なら興味を惹き続けるために挿入することもあり得るけれど、映画では無駄でしかない。

また、設定もちょっと首を傾げたくなるものがあった。キーになる物質の影響が凄すぎてご都合主義。こんな物質が存在するわけがなく、これではちょっと、という感じである。

一方で脚本は悪くなく、違和感のあるセリフはほとんどない。ただ、「職権を発動します」の決めセリフはみんなが期待しているので、もう少し先送りにして観る側の期待値を押し上げて欲しかった。ジョーズはなかなかサメが出てこないから傑作だったのだ。あと、(聞き間違いでなければ)「艦対地ミサイル」なんか想定できるのだろうか。

とはいえ、脚本は難点が少なく、監督がもっと良ければ脚本がもっと活きたと思う。

役者はなかなか良いメンツを揃えていた。あーーー、この歌舞伎役者誰だっけ、と思い出している途中で、あ、羽場裕一?と思ってしまい、羽場ってまだこんなに若いの?と思っていてエンドロールを見たらやっぱり歌舞伎役者だった。

もっと良い監督だったらもっと良かったのに。当たり前だけど。評価は☆1つ半。もったいない。