その他について言及すると、ストーリーはまぁまぁ面白かった。ただ、時系列を逆にして「◯時間前」と遡っていく効果はイマイチ不明だったし、やるならやるでコメントで説明するのではなく状況やセリフで観客が理解するやり方にして欲しかった。
箱がそれほど大きくないこともあるが、役者の声は十分。役者の質には差があるのだが、アラが目立つほどではなかった。演技には後述する問題点があったけれど、それは演技力ではなく演出の問題である可能性が高い(そういう演出にせざるを得なかったという可能性もある)。
舞台上で音楽監督を兼任する秦さんが色々いじっているのを見せてしまう構造も、凄く効果を出しているわけではないけれど、ちょっと面白かった。ここが秦さんの見せ場でもあって、麻雀で言うと国士無双の13面待ちでオープンリーチをかけるような感じだろう。脚本家としての自虐ネタもあってちょっと面白かった。
秦さんの脚本の大きな弱点である「はぁ?」という口癖も今回は一度きりだった。ついでに言えば、ら抜きも一度きりだったと思う。
一番良く思ったのは役者が声を揃えて同じセリフを喋る場面。昔、鴻上尚史の第三舞台が紀伊國屋ホールで頻繁にこれをやったのだが、何を言ってるのかさっぱりわからなかった。そんなものなのかなと思っていたら、今日はそれが超明瞭だった。
逆に一番のマイナス要素は怒鳴るシーンが多すぎること。豪速球は時々だから効果がある。良い役者はちゃんとスローカーブと豪速球を使い分けられるので、なるべく普通の球で押して、本当に必要な時だけ豪速球を投げて欲しい。そうしないと、見てる方が疲れちゃうし、舞台に注目できなくなる。大きい声で押しつければ客はそっぽを向く。逆に、小さな声なら「何を言っているのか聞き逃さないように」と耳をそばだてる。
ピアニシモで歌ってください
ピアニシモで歌ってください
大きな声と同じ力で
ピアニシモで歌ってください
出典:中島みゆき「ピアニッシモ」
全部見てないので評価はなし。でも、気持ち的には☆2つ。