2024年05月07日

本物の乾山を見抜くコツ

鑑定団に出たので、複数から「どうやって見抜くの?ヤフオクだとどれが本物?」と訊かれたのだけれど、そもそもヤフオクで勉強しようと思うのが間違い。本物を知るには本物を見るしかない。

僕は乾山の焼き物を真似するために、繰り返し乾山の展示の図録(特に「乾山の芸術と光琳」)を見て、模写して、作陶した。

カットされちゃったけど、

「どうして本物だと思うのですか?」
「だって、図録も散々見たし、サントリー美術館にしても、出光美術館にしても、琳派展があれば見に行くし、とにかく本物を何度も見てますから」

というやりとりがあった。今回でいえば、ちょっと自信がなかったのは乾山の「乾」の字のへんとつくりが離れすぎていることで、そこに目を瞑れば偽物と感じるところがなかった。

本物を見分けるコツは、本物を見ること。偽物なんて見なくて良い。図録も、美術館の展示も、まず間違いなく本物だから、それだけ見ていたら良い。そうすれば、理屈じゃなく感覚でわかってくる。だから、「本物を偽物と言うことはあっても、偽物を本物と言うことはない」と言った。これもカットされちゃったけど。

ただし、自信過剰はだめ。いつも謙虚で、慎重じゃないと。僕たちは藤田玲司じゃないんだから。だから人のために鑑定はしない。自分のためにだけ、真贋を見極めて、自分のお金で買う。金儲けじゃない。好きだから買う。

これが本物を見抜くコツです。