複数の銘柄豚から選ぶことができたので、東京Xのヒレを選択。
まず、肉。写真の通り低温調理だが、ヒレ肉は火の通しが足りない。これは肉が東京Xだからで、東京Xはある程度加熱しないと旨みが出てこない銘柄なのだ。こうしてレア系に仕上げてしまうと、ジューシーではあるものの味が不足して、ソースでは肉の味が消滅してしまうし、わさび醤油だとわさびに負けてしまう。かといって普通の塩だと文字通り味気ないカツになってしまう。したがって、わさびを入れないストレートの醤油で食べるよりないのだが、こうすると今度は揚げ油が前面に出過ぎる。要は「東京Xを使うならもう少し火を通さないと」ということである。銘柄によって調理方法を変えるまでの腕はまだないのかもしれない。
火の通しが甘いことによるデメリットはもう一つあって、肉汁で衣が濡れてきてしまう。過去のとんかつ職人たちはこうならないように苦労してきていて、そういう長年の工夫に対する敬意が感じられない。
弱点はさらにもう一つあって、ご飯。厨房に大きな釜が二つあったので、この釜で炊いているのだと思うのだが、せっかくの釜炊きでもそこまで美味しくない。これはおそらく炊飯の手順のせいなのだが、僕が自分で炊いたご飯の方が美味しい。
味噌汁とキャベツと小鉢は悪くなかった。
次は東京Xとは別の銘柄を食べてみたい。本には載せても良いけれど、特選には及ばない。近所の蘭亭ぽん多の方が一枚上手である。