理由
宮部みゆきの「理由」読了。
理由
最近の流行に乗ったのか、超長編。新聞連載小説と言うこともあって、特定の盛り上がりがないままに話は進んでいく。
「競売物件」、「占有屋」といった、普通の生活者にはあまり馴染みのないキーワードを中心に、複数の家族へのルポルタージュ形式で話は進んでいく。それぞれのルポが非常に詳細で、逆に全体のテーマを見失いがちになってしまうのが難点。しかしページ数が多いだけに中身は濃厚である。
そして、宮部みゆきの特徴の一つ、「悪者が出てこない」というのもいつも通り。悪者はどこにいるのかは実際に読んでもらえばわかるのだが、読後感としては名作「火車」にも通じるところがある。これをマンネリと取るか、安心感と取るかは読者次第といったところか。
さらにもう一つ。殺人者がどうなったのか、この処理も彼女独特の手法で処理されている。このことも火車を思い起こさせる要因かも知れない。
最後の数ページによって、現代社会の抱える問題点を鋭く指摘しているが、それを解決したり、解決する方法を提示するのではなく、ただ現象として指摘するにとどめている事によって、読後に独特の不安感のようなものを残す。
しかし、この作品で直木賞というのは解せない。長さは彼女の作品随一だが、個人的にはもっと面白い本、感動する本を彼女は書いてきていると思う。この本を彼女の代表作として良いものなのだろうか。長くて、抑揚のないストーリーに飽きてしまう読者も少なくない気がするのだが。代表作と思って彼女の小説群の中からこの本を手に取り、途中で挫折して、以後、宮部の本を手に取らない読者がいたとしたら、ちょっと気の毒だと思う。評価は☆1つ半。
あとがきで宮部は「読者の一人一人にそれぞれの「理由」が残りますように」と述べているが、「読み終わるのに半年もかかってしまったのは、凄く長い小説だったからだ」というのが、僕に残った個人的「理由」(^^;
いや、決してつまらなかったわけではないんですよ(^^;?
Posted by buu2 at 01:40│
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理由
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宮部みゆきは、時代小説から本格ミステリー、はたまたファンタジー小説まで
様々なジャンルを書きわけている。
才能ある作家なんだろうなあと思う。
公式サイト「大極宮」によれば、か
『理由』by宮部みゆき【やっぱり本が好き〜LINの読書日記〜】at 2004年08月13日 10:59
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