多分世界で最初のとんかつ評論家　元木一朗のブログ

キャラメルボックスのBLACK FLAG BLUES（ブラック・フラッグ・ブルーズ、マーズ・バージョン）鑑賞。

すでに一度観ているのだが、これはヴィーナス・バージョン。

今回の公演はダブルキャストで上演されている。ダブルキャストにも２通りあって、俳優陣の顔ぶれは一緒で配役がシャッフルされているものと、俳優陣が大きく変わっているものがある。今回は後者。

ヴィーナスは劇団によると「食べごろぎりぎり」のキャストらしい。今回のマーズはもぎたてといったところ。

この手のダブル・キャストは、劇団としては同じ舞台設備を使って公演数を増やす事ができるので固定費削減につながるが、役者にとっては拘束期間は長いのに舞台に立つ本数は減ってしまうので、給料的に厳しくなるはず。

ただ、本当の厳しさは「他の役者と比較されてしまう」という面だろう。これはなんとも避けがたいことで、それなりのリスクを覚悟の上で、ということになるのだろう。つまり、そのリスクを「前向きに次へのステップにつなげる」だけの自信の表れ、あるいは制作サイドの役者への信頼の裏返しとも言える。

以下ネタバレ注意。

キャラメルボックスの舞台はこれが３回目で、正直、経験は浅い。キャラメル初心者なので、役者の個性とか、さっぱりわかっていない。そんな状態で勝手なコメントを書いていることをまずお断りしておく。

さて、まず舞台冒頭でのダンスシーン。このシーンは明らかに前回の舞台より質が高い。これは公演後半になって演技が熟成されたのか、若手中心であるために体が動いているのか、理由は不明。前回の感想では「全員でのダンスシーンとかはややばらけてしまったりする」と書いたが、今日はそんなことは全くなく、「おや？違うね」と思わされた。

さて、それ以後もほとんどが前回のヴィーナスとの比較になってくる。まずマリナ役の女優さん。決して悪くないのだが、ヴィーナスに比較するとどうも「母」を感じさせられる部分が弱い。それから良介役。彼もヴィーナスに比較するとやや弱い気がする。良介はもともとあまり活躍する場が少なく、その少ない出番の中で大きな存在感を示さなくてはならない難しい役どころだが、ヴィーナスの方が印象が強いと思う。一番の見せ場はラストなわけで、そこの演技はヴィーナスが上だと思った。一方、海賊のレイ。こちらは今回の方が格段に僕の好み。まぁ、僕の好みというのは決して一般的とは言えず、ポイントとなるのは動きでも表情でもなく、「声」なのだ。声が出ていて、しかも声に表情がある点で、非常に際立っていた。それからダイゴ。彼も本作のほうがポイントが高い。というか、今パンフレットを見てみたら、ダイゴと良介はヴィーナスとマーズで役者を交換してたようだ。つまり、大内さんという役者さんが、岡田さんという役者さんより僕の好みだったということね（あくまでも主観ですので(^^;）。砂記役は難しいところ。役者の個性が出ていたというよりは演出に忠実に演技していた感じを受ける。神林役はマーズの人の方が存在感があった。あと、アリツネ。これはヴィーナスの方が良かったかな。いや、マーズがダメだったというより、マーズではレイに食われちゃってた気がする。その他の役者さんにもそれぞれ感じたところはあるのだが、砂記役と一緒で演出に忠実というか、大きな特色があったとは感じられなかったので省略。あ、ジョージ役は同じ人がやってたけど、同じように良いアクセントになっていたと思う(^^

うーーーーーん、どっちが良かったか、と言われると、なかなか難しいのだが、僕はヴィーナスの方が好き。というのは、物語の中心であるマリナと良介が僕の好みだったから。マーズのレイは凄く良かったと思うんだけど、レイが強すぎてバランスが崩れてしまっている気もするんだよね。

ちなみに役者の風貌や体型に合わせて微妙に本も変わってます。あと、二階席に行くときは踊り場に色々仕掛けがあるので、これをチェックすると良いかも。

二度目でも面白かった。☆２つ半。東京公演は火曜日まで。その後８月末に福岡、９月上旬に大阪で上演されます。

以下余談　今日は時間が切迫しているシーンでカードを落とすハプニング。すぐに拾ったのでことなきをえたが、アレが客席に落ちていたらパニックだったかも。なんといっても、BGMが流れているシーンだったので、引き伸ばすわけにいかなかった(^^;

余談２　カーテンコールでレイ役の人がCDで歌ってるから買ってくれ、って言ってた。今日はダイゴ役と並んでいい感じだったので、折角だから買ってあげようと思ったんだけど、売り場に行ったら二種類おいてあって、どっちを買えば良いのかわからなかった。ということで今日は見送ってしまった(^^;５を買えば良かったんですか？それとも６を買えば良かったんですか？？？？