
どうせ地雷だろ、と思って斜に構えながら観に行ったのだが、意外や意外、予想よりもずっとまともだった。以下、ちょっとネタバレだけど、どうせみんなストーリー知っているんだからイイよね?
まずいきなりの宇宙戦。あぁ、沖田と古代守のところから行くのね。正統じゃないか。それでその戦闘シーン。おい、エピソードIIIをパクったな?というシーンだけれど、迫力はエピソードIIIの9割減。まず音楽がねー。エピソードIIIは、どん、どん、どん、という低音でいやが上にも盛り上がっていくわけだけど、ヤマトは軽い、軽い。そして戦艦。これがまた軽い。あのさー、パクるなら、もっと頑張ってパクろうよ。相手はもう何年も前の作品ですぜ?技術の進歩を考えればヤマトの方がかっこ良くて当たり前でしょ?うーーーーん残念すぎる。何しろ、戦艦の質感が異常に軽い。もう、エピソードIVの戦艦よりも軽い。もっとさ、なんというのかな、戦艦らしく、そう、アニメの戦艦みたいにカッコ良くできないかな。そんで、何故かガミラスの戦艦は随分と原作と違う。あー、マトリックスの影響ですか?それともエイリアン?ま、どっちでも良いんですが、原作のガミラス艦がカッコ良いのに。それにしても、「前回は通用したのに今回はダメです」「どんどん改良しています」って、なんだよ、それ。相手は14万8000光年の彼方から遊星爆弾をぶち込んでくる科学力の持ち主だよ?かたや、ワープもできず、せいぜい火星のあたりをうろうろしていたくせに、相手の進歩に追いつけないって、ちょっと設定が破綻してない?ま、良いけど。先は長いからね。この程度で突っ込んでいたら映画が終わる前に疲れちゃうよ。っていうか、記憶力が足りなくなるから、じっと我慢。
で、国連宇宙局か何かの長官がいきなり「日本人のみなさん!」って、お前、世界イコール日本かよ!いや、考えてみたら確かに日本人ばっかりだけどさ。
そして、いきなり暴力沙汰を起こす古代。なんだ、この乱暴者。あ、でも、ヤマトの古代もそうだったっけ。許す。それにしても、随分と地下生活の質感が軽い。いや、もうちょっと、ブレードランナーでも、マトリックスでも良いから、あのあたりを参考にできなかったのかなぁ。
そして、ヤマト発進のシーン。見せ場なのに、飛んでくるミサイルが随分とのんびりしている。あのさ、超大型ミサイルが飛んできて欲しいわけ。そして、そこで撃つのは波動砲じゃないでしょ!もう、序盤からいきなりスペシウム光線とか、印籠とか、そんな感じ。ここはさ、主砲だよ、主砲。それで、反動でヤマトがぐぐぐぐって傾くのが格好良いんじゃん!
あー、アニメのヤマトの発進シーンは格好良かったなぁ。でも、この映画はダメ。いきなり波動砲だもの。「先生、急ぎ過ぎです!」って感じ。あと、波動砲も、波動エンジンを接続するところだけはまぁまぁなんだけれど、波動砲の効果音が!だめ。あの、独特の音が良いんじゃん。それは主砲にも言えるんだけど。ってか、主砲も軽すぎ。そんな、くるんくるん回っちゃだめでしょ。もっと、ぎぎぎぎっぎぎっぎって感じがないと。
で、キムタク。しっかり筋トレしてカッコは良いけど、なんか、何やっても一緒だね、この人。検事とかやっても一緒だし、うーーーん、芸の幅がないんだろうなぁ。ま、良いけど。黒木メイサは結構可愛い。
それでヤマトが発進したと思ったら、すぐにワープ。おい、ワープ、簡単すぎないか?いや、その前に、なんだ、その第一艦橋は。狭い!狭すぎるぞ!第一艦橋!なんか、四畳半か潜水艦みたいじゃないか。もっと、バーーーーーンと広くてさ、真ん中に3Dのホログラムレーダーがあるんだよ。そんで、正面には馬鹿でかいパネル。これじゃぁ、1/4サイズじゃん。それにしても、艦橋内の設備がまた安っぽいねぇ。なんだよ、これ。挙句にコード付きのマイクを手にとって指示してるし。あのさ、2199年でしょ?今から200年後だよ。コード付きのマイクですか?っていうか、なんか、キーボードとか溢れているし、各機材がコードレスじゃないんですけど。200年経っても僕たちはコードから解放されないんですか?大変だなぁ。で、写真を手に取って懐かしがるって、おい、お前ら、本当は1999年なんじゃないか?俺にはわかるぞ!っていうか、なんで舞台を1999年にしなかったんだ、いっそのこと。なんかさー、紙のファイルでマニュアル読んでいたり、なんだそれ、みたいな。せめてiPad使おうよ!
あとさ、ヤマト、身軽すぎ。スターデストロイヤーとかさ、分かっていても衝突しちゃうんだよ、急に進路を変えられないから。それをさ、ヤマトはボクサーみたいに、ひょいって、敵の攻撃を横転して避けるって、なんなの(笑)。あんな勢いで横転したら、中にいる人たちみんな即死するぞ。だって、ものすごい加速度だよ、あれじゃ。もう、「巨大な戦艦」の質感が皆無。見た目も皆無だけれど、挙動も皆無。
ワープが終わったと思ったら今度は波動砲。もう、波動砲安売りしすぎ。あのさ、全編の中で一発でも良かったと思うよ、波動砲。
で、またワープしたと思ったら、もうなんか、銀河の辺境に行ってるの!おい、ちょっと待て、反射衛星砲はどうしたんだよ!!日本が誇る超有名兵器、反射衛星砲はどうした!それがなかったら空間磁力メッキはどうなるんだ??おーーい!頼むよ、マジで。
で、コスモゼロが何故かX-29のような前進翼になっているんですけど、なんで?っていうか、コスモゼロ、ペコっておじぎするのはこれはマクロスのパクリ?
そして、第三艦橋。切り離したら下に落ちて行くのはなぜ?宇宙空間なのに、なんで下に落ちるの?やめてよ~、ギャグを盛り込むのは。
と思ったら、今度はいきなり古代と雪のラブシーン。すいません、おもいっきり突然だったので、おもいっきり笑ってしまいました。あ、でも、ここは笑うところですよね?僕は間違ったこと、してないよね?だって、雪は、仲間を見殺しにしたことをものすごく悩んでいたんだよ。彼女の部屋へ上司がやってきて、いきなりキスって、そりゃないだろ。その上、キスしたとたんにワープって、なんだそりゃ。あぶないよ、戦闘班長!!!!ワープはそんなに簡単じゃないんだから!!頭ぶつけちゃうよ。前歯折れちゃうよ!
さーーーー、お遊びはこのへんで、いよいよドメル将軍の出番ですね?と思ったら、もうイスカンダルかよ!はやっ!!!近いぞ、14万8000光年!!!!なんか、まだ1時間ぐらいしか経ってないような感じ。普通ならまだ名古屋ぐらいだよ。もうイスカンダル?と思ったら、この星がガミラスかよ!双子の星じゃないのかよ!ってか、そういえばデスラーとスターシアは?あれ?古代守は???
あ、全然別キャラにしたと思って油断していたアナライザー、すげぇ。トランスフォーマーでも見て勉強したのかな?
なあんて思っていたら、今度は真田さんの名台詞、「俺達が向こうへ着いたらおまえは帰れ」って、うわーーーーーー、なんでそれが出てくるの?それは「さらば」の名台詞じゃん!しかも、アニメのほうが格好良いし。声優って偉大だねぇ。「俺達が向こうへ着いたらおまえは帰れ」・・・カッコいいいいいいいいい!!!!でも、映画のセリフ回しは駄目だ。もっと、アニメ見て勉強してくれよ。そこは見せ場なんだから。そして、なぜか斉藤の仁王立ち登場。で、ばたっと倒れるんだけれど、やっぱ軽いよ、軽い。もっとさ、がっしりした奴、いなかったのかなぁ。
あ、それで、ドメル将軍はいないのにドリルミサイルもどきはあるんですね。そんで、その、波動砲に食い込ませたドリルミサイルもどき、なんで外さないの?なんでそのままなの?
なんか、ここらあたりから、設定だけヤマト、セリフはさらば、という感じになってきて、やれやれ感が強くなってくるのだけれど、頑張れ、俺!ここまで頑張ったんだから。
そして、本当なら感動するはずのラスト。だめだ、笑っちゃう。お前、なんで雪をテーブルの上に乗せるんだよ。意味ないし。で、写真を胸に押しこむの。せめてUSBメモリにしてくれよ。情報量、全然違うから。
え、それで、子供できちゃったの?あの、例の、ワープの時?はやっ!っていうか、あんな狭い艦内でやるなよ!
終了。ええええーーーーー、デスラー、出ないの?マジ?デスラーが「ガミラスに下品な男は不要だ」って言わないヤマトって、「坊やだからさ」のシャアが出てこないガンダムみたいだぞ。リサイタルをやるジャイアンが不在のドラえもんみたいだぞ。助さん格さんがいない水戸黄門じゃん!
えっと、音楽は良かった。あと、全体も、思ったよりもまともだったなぁ。もっと、全然ダメだと思っていたんだけれど。で、これ、TBSなんだ。ヤマトなのに。日本テレビだったらなぁ。もっと、さらに良かったかも?っていうか、これはやっぱ、ILMに協力を仰ぐべき作品だったよ。
どうでも良いけど、山崎努って、クロサギでも、おくりびとでも、いつももぐもぐやっているよね(笑)
原作を離れて評価すると、ダメな役者(主役は本当にひどい)、ダメな特撮(本当にひどい)、ダメな設定(本当にひどい)、ダメなストーリー(特に後半)、ダメな音響効果(本当にひどい)、音楽だけは普通、という感じ。
ということで、評価は☆ゼロ。でも、予想よりはずっと頑張った!と思う。褒めるところは・・・・特にない。一番頑張ったのは、一度しか観てないのにこれだけ突っ込んだ僕だな。