三菱一号館美術館で河鍋暁斎展。ここに前回来たのは去年の夏のヴァロットン展なので、一年ぶり。サポーター会員になろうかというアイデアが一瞬頭をかすめたのだが、10,000円という年会費を天秤にかけて廃案とした。トーハクやサントリーの条件と比較してあまりにも不利なので、今回も普通にお金を払って観た次第。
今回の展示は前半と後半で主要な展示の一部が入れ替えられるのだが、小さい美術館だからある程度は仕方ないと納得すべきところかも知れない。この、サントリーやトーハクが収入倍増を狙って鳥獣戯画をネタとして導入した悪習がこれ以上広がらないと良いのだけれど・・・。入れ替えるなら、二度来なくちゃならない。首都圏在住ならそれでも良いけど、地方在住ならたまんないよね。どうしてももっとお儲けたいなら、料金を高くすれば良いだけのこと。ま、近所に住んでいるなら前半でざーーっと観て、本で色々勉強して、後半でしっかり観る、みたいなのもありなんだろうけど。
さて、そんな前後半一部入れ替え制の前半である。生物たちをきっちり観察して描写しているところがまず凄い。今ならデジカメとフォトショップがあるのである程度写実的な絵を描くのはそれほど難しくないけど。それを擬人化して表現している絵も凄い。この辺は鳥獣戯画の昔から日本人のお家芸的なところがあると思うのだが、その伝統を究極まで突き詰めた感じ。そして、その延長で描いている化け物達も異常に魅力的。うまい人は何でもできちゃうんだなぁと感心する。ってか、基礎がしっかりしていて、それを応用する想像力がないとできないよなぁ。
自分で描くときの参考にしようと思ってみていくと、柳の表現なんかも面白かった。本当なら暗くなっているはずの箱の奥を白にして、それでも違和感ないあたりの発想の転換とかもすげぇなぁ、と。
なんか、色々凄かった。
「画鬼・暁斎—KYOSAI 幕末明治のスター絵師と弟子コンドル」
2015年6月27日(土)〜9月6日(日)
月曜休館(但し、7月20日と8月31日は開館)
#前期:8月2日(日)まで/後期:8月4日(火)から
三菱一号館美術館