2024年07月17日

山本大貴 油彩画集

山本大貴さんの作品を勉強することにした。ということで、画集を購入。

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勉強といっても描くのではない。買うのである。

山本大貴油彩画集 Reminiscence
山本大貴
芸術新聞社
2020-10-22



  

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2023年04月28日

はじめの一歩の森川ジョージって

絵が下手になってない?

以下は最近のページ

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参考までに、35巻の一場面。

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スクリーントーンや描き込みが減っているというのもあるかも?でも、1417話の表紙の顔とか、中の千堂の顔とか、なんかおかしく感じる。  
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2022年10月26日

ダイヤのA 完結にあたり

今日発売された少年マガジンで「ダイヤのA act II」が完結した。

この作品は高校野球をテーマにした漫画で、同じくマガジンで連載されていたテニス漫画「ベイビー・ステップ」に似た能書きスポーツ漫画だった。双方の心情や背景までこだわり、対決を濃密に描いてきたところに最大の特徴があった。

したがって、当然のように対決に時間がかかり、なかなか勝負がつかない。また、投手力を中心にした作品なので点が入りにくい。それでも勝負が白熱するので、異常なくらいに一点差勝負が多い。また技術的に最新の情報をふんだんに盛り込んだおかげで、登場する主力選手は誰もがドラフト一位で指名されてしまいそうな完成度を誇っていた。

描く方もすっかり疲れて、描くことがなくなってしまったように感じる。ベイビー・ステップが編集部サイドの打ち切りで終わったのに対して、ダイヤのAは作者のアイデアと気力が枯渇したようだ。

リアリティを重視しているので、びっくりするような秘技は生まれず、また、選手のほとんどはファインプレーはする一方でエラーはほとんどしないというリアリティの欠如が両立していた。

長い連載の中でとりわけ大量のページが割かれたのが稲城実業のエース成宮と青道のキャッチャー御幸の対決で、この両者が3年生の夏の都予選決勝で対戦したのがクライマックスとなった。これでようやく一つ片付いた。

一方で片付いていないことはいっぱいある。特に青道のエース争いはまだまだ決着には程遠い。主人公の沢村は同じチームの降谷とのエースの座を巡る競争に完全に打ち勝つことができず、最後はエースナンバーを背負ってはいるものの、出番はむしろ降谷よりも少ないくらいだった。また、都以外にも強敵は存在して、ラスボスと言っても良い北海道の巨摩大藤巻高校には負けたままでの連載終了となってしまった。

さぁ、これからは成宮に勝った御幸の最後の夏が始まる、というところで連載が終了してしまったのはなんとも拍子抜けである。あしたのジョーで言えばホセ戦の第一ラウンドのゴングで終了したようなものだ。主人公は2年生なので、国体、秋の都大会、明治神宮野球大会、春の選抜甲子園、夏の都予選、夏の甲子園、国体と、まだまだ大会がある。それなのに2年生の夏の都予選で終わってしまった。高校生活の半分も終わってないのに、である。

作者が「燃え尽きたよ、真っ白に」と思うならそれもやむなし。しかし、作品の続きは誰もが楽しみにしている。週刊誌での連載にこだわらず、いつか描けるようになったら描いて欲しい。内容も全部描かず、スター・ウォーズのオープニングクロールのように文字ですっ飛ばしても良いと思う。

ノーヒッターでの甲子園優勝はもう現実となっているし、プロ野球では継投での日本シリーズ優勝が現実となっている。また、二刀流すら現実になってしまった。リアリティのある野球漫画を描くのは大変だと思う。一年に一回の集中連載などでも良い。「大会はコロナで中止になりました」みたいなのだけ避けてくれれば、引き続き応援したいと思っている。

#ベイビー・ステップも続きを読みたい。クラウドファンディングと電子出版を複合して、続きを描いてもらうことはできないだろうか。  
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2022年02月05日

エリアの騎士 一気読み

連載していた時に全部読んでいたけれど、一気読みしてみた。

まぁ無難なストーリーだけど、ラストはかなり駆け足で打ち切り感がある。とはいえ、リーグ戦を全部描いていくのは大変だし、スーパープレイにも限りがあるので、スポーツものの漫画としては描き切った部類だろう。

思うのは、まず、漫画家の画力がちょっと不足している。もうちょっと上手だったら良かった。

ストーリーはあだち充の「タッチ」みたいにかなり早い段階で超絶優れた兄が亡くなって、残された弟と共通の幼馴染のヒロインがラブストーリーを展開するあたり、既視感が強い。とはいえ、お兄さんが弟に憑依してスーパープレイを繰り広げるところはタッチとの違いを見せている。どうせなら、ヒーロー物のように、弟が困難にぶち当たって絶体絶命になるたび、お兄さんが降りて来て超絶ゴールを決める内容にしていけば良かったのに、と思う。

名作とは思わないけれど、ただなら全巻読んでも後悔しないと思う。  
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2022年01月31日

福島武山作品集「赤の極み」

ギャラリストによっては僕のことを「九谷焼のコレクター」と認識している人もいるけれど、実際、九谷の焼き物は多分僕のコレクションの中で一番多いと思う。その、いっぱい持っている九谷焼の中で、さらに一番いっぱい持っているのが福島武山さん一門の赤絵作品だと思う。

その武山さんが作品集を出したので、買ってみた。

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最初から最後まで見てみると、武山さんの描いて来たテーマの幅広さに驚く。これも良いなぁ、あれも良いなぁ、と思いながら見たのだが、やはり一番好きなのは弁天様だな。

https://www.amazon.co.jp/gp/product/4875866283/ref=as_li_qf_asin_il_tl?ie=UTF8&tag=returnofthema-22&creative=1211&linkCode=as2&creativeASIN=4875866283&linkId=77c71df588c25d60cd177d51a89b831e  
Posted by buu2 at 11:30Comments(0)福島武山

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2021年12月18日

三重野慶画集

写実画家三重野慶さんの画集を買ってみた。

https://www.amazon.co.jp/gp/product/4875866232/ref=as_li_tl?ie=UTF8&tag=returnofthema-22&camp=247&creative=1211&linkCode=as2&creativeASIN=4875866232&linkId=2f5f96a7f73854a3e9345c784836cb05

写実画家としては森本草介が好きで、最近の作家の作品も数枚持っているのだが、その写実絵画の一つの到達点と感じるのが三重野さんである。

写実画は、どこまで描くか、どこまで100点を追求するかの世界だと思う。たとえば僕はデジタルで写実画を描いて楽しんでいたことがあるのだが、

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「まぁ、こんなもので良いだろう」と妥協するところがある。作業に飽きてしまうのだ。技術があるのが前提で、あとはどこまでやるかである。僕の場合はイラレを使っているので、特別な技術は不要で、要求されるのは根気だけである。

そういう状況で絵を描いていて、僕は「ここまで写真に近づけるなら、最初から写真で良いのでは?」と考えるようになって、イラレで写実画を描くのをやめた。

イラレで描くのと、油で描くのでは、作業の難易度が全く違うと思うのだが、まずそこの技術が興味深い。例えば一本の髪の毛。同じ色な領域は一センチたりともなく、ミクロン単位で少しずつ変わっていく。この髪の毛の色を表現するとき、イラレならグラデーションを指定すれば良い。しかし、筆に置いた油絵の具は、少しずつ色を変えていくことが難しいはずだ。細かく色を変えて、レイヤーを重ねるように塗り重ねていくのだろうか。あるいは、下にベースの色を配置して、別の場所から別の色を伸ばしていくのだろうか。どういう手法を使うのかはわからないけれど、イラレの作業よりずっと微妙で難しそうである。

次の興味は、絵を描くにあたって写真を撮っているようなので、その写真と、完成した絵の相同性にある。写真を100点満点の到達点に設定して、そこに向けて描いていくのか、あくまでも参考資料として写真があるのか。この画集の中にあるエッセイや対談には、ちょっとだけヒントが書いてあったのだが、正確なところはわからなかった。

描き手としては、写真とは全く異なる手順で作品を仕上げるので、作品の位置付けも変わってくるはずだ。一方で、鑑賞する側はどうなのだろう。「まるで写真みたい」と感じてしまうなら、それは写真で良いはずで、ではそれが絵画である意味はどこにあるのか。正直なところ、この画集を読んでみても、その答えは見つからなかった。絵を見て、それにまつわるテキストを読んでも、鑑賞する側にとっての「立ち位置」は明確にならなかった。

ちょっと言葉を変えてみる。これだけの絵になれば、作品と画家の関係が通常よりも濃密なことは簡単に想像できる。そして、絵の対象、モデルと、画家の関係も濃密だろう。モデルと作品の関係性の濃淡はわからないけれど、画家を中心として点対象の位置にあったとしても、モデルと画家、画家と作品の位置が極めて近ければ、モデルと作品の位置も近いと想像できる。そうした密度の濃い三者の中で、鑑賞者は作品とどういう関係を持てば良いのだろう。写実画が99%ぐらいの純度ならともかく、その純度が99.9999%になってきたとき、鑑賞者は自分の立ち位置を確保できるのだろうか。

「写真みたい」以外の感想がでてくるのか。少なくとも僕は、実物を見てみないとわからないようだ。  
Posted by buu2 at 21:04Comments(0)読書

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2021年09月08日

ダイヤのA、ダイヤのA act2 一気読み

週刊少年マガジンを読まなくなったのはベイビーステップが打ち切りになったときなので、この作品はわりと最近まで読んでいたのだが、コロナで暇だったので全巻一気読みしてみた。なるほど、なかなか面白い。良い作品を普通に褒めてもつまらないので、ダメなところを列挙していってみる。

まず、一つ目。話の展開が遅い。第一部47巻、第二部今日現在で28巻の超大作にもかかわらず、最新話でも主人公が夏の甲子園の地区大会を戦っている。そろそろ決勝戦で、勝てば甲子園の夏の大会である。秋季大会から春の甲子園のことを考えると、今はちょうど折り返し地点である。

一年生夏
一年生春
二年生夏 <イマココ
二年生春
三年生夏

折り返し地点で75冊。これは大変だ。あしたのジョーが全20巻のところ、すでに4倍近い。しかし、今からのスピードアップは困難だろう。寺嶋裕二47歳。デビュー2作目を描き終える頃には還暦を過ぎているかもしれない。

二つ目。長すぎる連載期間ということもあるのだが、途中で制度が変わってしまい、あれ?となる。具体的には、ボールカウントの表記。連載開始時はストライクが先だったのだが、今はボールを先に書く。途中で変わってしまったので、漫画もいつの間にか変更していて違和感がある。

三つ目。言葉が変。「そうゆうわけで」とか、ら抜きとか。

四つ目。背景が白い。スクリーントーンすら貼ってなくて真っ白な背景のコマが多い。

五つ目。試合中にときどき差し込まれるスタンドの絵がいつもほとんど同じ。アシスタントの腕が悪いのかな?

六つ目。なかなか話が進まない。大事なことなので二回書いておく。

総じて、面白いのだけれど、長い。先行事例としては水島新司の「ドカベン」があるのだが、ドカベンには秘打白鳥の湖とか、通天閣打法とか、あり得ない技が色々出てきたことに対して、ダイヤのAは至極まっとう。ただし、レベルはめちゃくちゃ高い。敵も味方もほとんどエラーをしないし、主人公はプロでも滅多に目にすることのないコントロールの持ち主だ。まぁ、漫画だからだけど。

野球の最新理論を盛り込んでいるのは良いのだが、連載期間が長いので、色々おかしくなっているところが残念。実世界で10年ぐらいかけて起きてきた変化がわずか一年半の高校野球に詰め込まれている。

最後は夏の甲子園で沢村が完全試合で優勝するのかな?でも、完結するのは10年以上先だよね・・・。  
Posted by buu2 at 16:59Comments(0)読書

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2021年08月12日

星落ちて、なお

僕が一番たくさん作品を持っている画家は河鍋暁翠である。陶磁器だともっとたくさん持っている作家さんがいるけれど、画家さんだと、暁翠に間違いない。「暁翠?誰それ?」という人がほとんどだろうが、河鍋暁斎という画家の娘である。

その河鍋暁翠を主人公にした小説が出版されたと知って、さっそくAmazonで購入した。



澤田瞳子さんという作家さんは寡聞にして知らずにいたのだけれど、読み始めてみるとリズムが良くて非常に良い文章を書く作家さんだった。また、多くは取材を通じて明らかになった事実をもとにした創作なのだろうが、色々なエピソードを違和感なく読むことができる。そのまま暁翠の伝記を読んでいるようだ。こんな才能のある作家さんに書いてもらえて暁翠さんも喜んでいるだろうなと思っていたら、本作が直木賞の候補になっていると知って、これは獲るだろうなと思った。

僕は暁翠の作品が好きで色々収集している人間なので面白いと感じて読み進めるのは当然かもしれないのだが、そうした背景を抜きにしても、明治末期から大正にかけて活躍した女流画家を主人公にした時代小説としてとてもできが良いと思う。

とはいえ、本作に登場する暁斎、真野暁亭、吉田暁芳(登場はほんの少しだが)といった作家達の作品もいくつか持っているので、他の人よりも一層楽しめたのは間違いない。舞台が神田、本郷、上野あたりで、土地に馴染みがあるのも良かった。いくつかの好条件が重なったおかげで、最初から最後まで楽しむことができた。

良い本だったな、と思っていると、案の定、直木賞を受賞した。初版本は貴重かも?

ということで、受賞の記念に暁翠のコレクションの一部をいくつか載せておく。ただし、掛軸の真贋は不明である。

掛軸
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版画
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Posted by buu2 at 10:54Comments(0)読書

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2021年04月03日

鬼滅の刃 全23巻一気読み

これ、面白いのかな?

ストーリーには特に文句はないのだが、ストーリー以前に漫画のフォーマットとしていくつか問題がある。まず、絵が下手。ところどころで主体と背景がごっちゃになって、良く見ても何を描きたいのかわからない場面がある。

次に、ネーム。ゴシックとボールドを多用しすぎて、いつも怒鳴っているような雰囲気である。特に序盤。またセリフが多すぎて見開きがほとんど真っ白になってしまっているページがあった。

戦闘のラストでやられた側の設定について長々と説明があるのもテンポが悪い。

なお、ざっと読んだだけでも日本語の間違いが二箇所あった。

構成としてもラストバトルが長すぎるし、せっかく炭治郎が成長したのに、ラスボスとの戦いでそれがほとんど活かされていない。

作家さんというよりは、出版社の編集者の実力不足という気がする。

評価は☆1つ。すぐ手放す。  
Posted by buu2 at 01:41Comments(0)読書

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2021年01月04日

ギャラリーフェイク35巻

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相変わらず安定して面白い。

コロナのような最新のトピックスも上手に取り込んでいて、とてもできが良いと思う。☆二つ半。これからもずっと連載を続けて欲しい。  
Posted by buu2 at 23:30Comments(0)読書

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2020年08月25日

牟田陽日作品集 美の器



牟田さんの作品集が発売になったので、早速購入してみた。

紙質が良く、発色も良い。撮影も被写界深度を深くしていて、全体がみやすいように工夫されている。

牟田さんはこれまでに幾つかの技術的変革を迎えている。六本木のイケヤン★展(2015)あたりで始めた下絵の導入、うつわノートの展示で大々的に導入した赤絵(2016)、館・游彩で始めた油絵的表現(2016)、などがそれらの例だが、最初のうちは作品からも試行錯誤が窺われて、「これは今回は見送ろう」と思ったこともある。しかし、いつの間にか、きちんと自分のものにしている。特に下絵は非常にうまく消化したと感じる。

#私見です。「もっと前からやってたヨ」と言われるかも?

新しいことに挑戦するのと同時に引き出しに仕舞われてしまう技術もあって、「以前はこういうのも描いていたのにね」とちょっと残念に思うこともあるのだが、捨ててしまったわけではなく、突然思い出したように復活させてみたりする。それはゼットンとか、キングジョーとか、ペギラとか、過去の怪獣が良い具合に登場してくる「ウルトラマンZ」を見る楽しさみたいなものだ。

美術の世界から工芸の世界に入ってきて、工芸の枠組みから美術へ発展しつつあるところが面白く、この作品集を見ていると特に美術方面での動きが良くわかる。

おそらくこれからも一度仕舞った技術を引っ張り出してきたり、新しいことを始めたりするだろう。その気まぐれっぷりが牟田さんの魅力である。一方で、そういう牟田さんの行ったり来たりの中で、自分の好みの作品を見つけていくことも僕にとっては大切で(何しろ、牟田さんの作品は2014年ぐらいに比べてかなり高くなっているし、金銭的に購入可能であっても、抽選で当選するという別のハードルがある)、そのための貴重な資料になる。

一品物の陶芸作品は個人蔵になるとなかなか見る機会がないので、こういう書籍が販売されることは本当に嬉しい。

なお、僕が最初に牟田さんの作品を買ったのは2014年の10月。

牟田陽日さんの猪口
http://buu.blog.jp/archives/51456206.html

確か15000〜18000円ぐらいだったと思うけれど、ロクヒルと六本木の駅を二往復して散々悩んだ末に購入した。その時は、陶芸作品に1万円以上払うなんて、清水の舞台から飛び降りるような話だった。わずか7年弱で色々変化したものだが、この時までに知っていた作家さんの井上雅子さん、川合孝知さん、田畑奈央人さんはみんな今でも好きだし、実生活で使っているものも少なくない。その後に知って、今でも好きな若手は実はそれほど多くない。第一印象でビビっとくるものなんだと思う。そういう意味でも、ほとんど知識のない僕に高いハードルを越えさせた牟田さんの才能というのは凄いのだろう。

この本で、牟田さんの作品は一層入手が困難になりそうだ。今までいろいろ買っておいて良かった。  
Posted by buu2 at 15:07Comments(0)牟田陽日

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2020年08月22日

牟田陽日作品集 美の器



ようやく牟田さんの作品集が送られてきた。紙質、発色が良く、被写界深度の深い撮影で、全体像を把握しやすい。牟田さんの作品は360度、ぐるっと見てみないと面白さを堪能できないのでありがたい。一通り見てみた限り、掲載された作品はアート路線の作品がほとんどで、工芸色は薄い。牟田さんはアート領域から工芸の世界に飛び込んだ人で、徐々に工芸の殻を内側から砕いて巨大化し、工芸の破片を纏った美術に進化してきた。そういう牟田さんの今を表現すると、こういう構成になるのだろう。

僕が見てきたこの5年ぐらいでの牟田さんの進化の例をいくつか挙げてみると、六本木のイケヤン★展(2015)での下絵の導入、うつわノートの個展での大々的な赤絵の導入(2016)、館・游彩のグループ展(2016)での油彩のような表現の導入などで、いつも新しいことに挑戦してきた印象がある。その挑戦の最初の段階では、「今回はまだちょっといけてないので、買わないでおこう」とペンディングにしたこともあるのだが、油断しているとあっという間に自分のものにしてしまう。特に下絵の導入は非常にうまく消化していて、以後の牟田作品に厚みを出したと思う。器用さはもちろん持ち合わせているのだが、基礎的な勉強をしっかりやっているのだろう。キュビズムの作家が普通の絵を描かせても上手なのに通じるところがあるのではないか。

今回の作品集は2015〜2016年の試行錯誤の期間から後のものが多く、時系列で並べていないので、そういう進化の過程まではなかなか読み取れない。しかし、進化の過程でこっそり引き出しに仕舞われていたはずのかつての表看板も、時々顔を覗かせている。それはゼットンとか、キングジョーとか、ペギラとか、過去の怪獣が良い具合に登場してくる「ウルトラマンZ」を見る楽しさみたいなものだ。そういうところは5年以上前からのファンには嬉しいところである。

牟田さんの器は、今や高価すぎて使い難いこともあるけれど、名称が器であっても、使うというよりは絵を描くための素材となってきている。創作の過程を見ていないので、まず描きたい絵があって、それを実現できる形を作るのか、まず形があって、それに合った絵を描くのかはわからない。ともあれ、形と絵が融合していて、用途はそれほど重視されていない印象を受ける。牟田さんは、基本的に絵と色で勝負するタイプの作家さんだと思う。だから、活躍の場を九谷にしたのかもしれない。

とはいえ、牟田さんが形状を軽視しているわけではない。牟田さんの作品は歪んでいることが少なくないのだが、蓋物の蓋はぴったりはまるので、適当に作っているのではない。牟田さんの感性ではその形が必然なのだろう。そして、その形の上に、きちんと自分の意匠を表現する技術を持っている。やってみればわかるのだが、平らではないものの表面に絵を描くのはとても難しい。形状が不規則であればなおさらである。でこぼこの面に、筆で太さが均一の線を引くのは至難のわざである。

絵でいうと、犬などの四つ脚動物を描けば応挙、龍を描けば暁斎、鯨を描けば国芳、波を描けば北斎、鶏や花を描けば若冲といったいった具合に、過去の巨匠の影響が大なり小なり見て取れる。最近の作品からは特に若冲の影響が強いと感じる。きっと、色々な名作をじっくり鑑賞しているのだろう。もちろん、作品にするときは物真似ではなく、牟田さんなりに消化して、自分の作品に昇華している。科学も、医学も、芸術も、過去に学ぶのは恥ずかしいことではない。名作の技術や表現を細かく分解し、牟田流に再構築しているのだろう。僕は具体的に何人かの巨匠の名前を挙げたけれど、見る人によれば全然違うかもしれないし、牟田さん本人から「違いますよ」と言われるかもしれない。

コレクターの好みは変わっていく。同時に、作家の作風も変わっていく。この、好みと作風が交差する瞬間に「購入」という行動が発生する。そのあと、コレクターの好みの変化と作家の作風が一致して同じ方向へ変化していく保証は何もない。僕の好みと牟田さんの作風が交差したのは約6年前だろうか。これから牟田さんがどこへ向かうのかは分からないのだが、僕が日本にいなかった3年間を中心に、牟田さんの今を知ることができて、とても良い作品集だった。最近の牟田さんの個展ではいつも開店即完売なので、牟田さんの今の作風を受け入れる人は大勢いるのだと思う。そういう人たちにとっても、コレクションの方向付けと目の保養という2つの意味で、役立つ作品集だと思う。また、一品物の陶芸作品は個人蔵になるとなかなか見る機会がないので、こういう書籍が販売されることは本当に嬉しい。

才能、技術、閃き、努力を俯瞰できる本になっていた。そして、この気まぐれな作家が、これからどんな方向へと向かうのか楽しみにさせてくれる一冊だった。

以下余談である。

僕が最初に牟田さんの作品を買ったのは2014年の10月。

牟田陽日さんの猪口
http://buu.blog.jp/archives/51456206.html

確か15000〜18000円ぐらいだったと思うけれど、ロクヒルと六本木の駅を二往復して散々悩んだ末に購入した。その時は、陶芸作品に1万円以上払うなんて、清水の舞台から飛び降りるような話だった。わずか7年弱で色々変化したものだが、この時までに知っていた若手の作家さんは吉島信広さん、井上雅子さん、川合孝知さん、田畑奈央人さんあたりで、みんな今でも好きだし、実生活で使っているものも少なくない。第一印象でピンとくるものなんだと思う。そういう意味でも、ほとんど知識のない僕に高いハードルを越えさせた牟田さんの才能というのは凄いのだろう。
  
Posted by buu2 at 15:16Comments(0)牟田陽日

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2019年05月05日

ギャラリーフェイク 1〜4巻

別に何か理由があるわけではないのだけれど、ギャラリーフェイクを読み直したくなって、全34巻をまとめて古本で購入してみた。

途中までは家にもあるはずだが、探し出すのが面倒だし、少なくとも全巻は揃えていないので、バラバラに探すよりは通しで買ってしまった方が手っ取り早いという判断である。

それで、読んでみると、想像通り、すごく面白い。リアルタイムで読んでいたときよりも数段楽しめる。なぜかといえば、自分に美術の知識が増えているから。登場してくる海外の街にも行ったことがあったりして、懐かしかったり、事実をそれらしく上手にフィクションに取り入れているところに感心したりである。

文字が多いので、読み進むのに時間がかかるのは仕方がない。当分、暇な時間を効果的に潰すことができそうだ。  
Posted by buu2 at 00:20Comments(0)読書

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2019年02月07日

騎士団長殺し

まとまった時間が取れたので、成田で買って積んでおいた村上春樹の騎士団長殺しを読んだ。初版で買っておいて、文庫版が発売されてから読み終わるってどうよ、という感じである。

内容は「喪失」と「再生」を扱った、いつもの村上春樹。「世界の終わり・・・・」から続く、複数の話が同時並行して進む表芸ではなく、単一の話が進んでいくスタイル。

ちょっと面白いなと感じたのは、映像化が非常に難しい内容になっていたところである。古くは宮本輝の「星々の悲しみ」などが同じ趣向の作品になると思うのだが、映画化は不可能とも思える。ただ、殊能将之の「ハサミ男」ですら映画化してしまった過去があるので(作品の質はともかく)、日本映画界も侮れないところがあるのだが。ともあれ、映像化は非常に難しいと思うので、読書じゃないと楽しむことができない。

本作の主人公は絵描きである。彼を中心にして、少ない登場人物が限られた場所で人間模様を繰り広げていく。登場人物たちは大人から子供まで村上春樹調に語るので、多少の違和感を持つのだが、これはまぁいつものことかもしれない。

ただ、ちょっと3.11に結びつけたあたりはちょっと強引な印象を持った。それから、本作は、村上春樹の、おっぱいに対する並々ならぬ情熱を感じた。

読み終えてもいくつかの謎は残されたままだが、読後感は決して悪くない。ただ、「海辺のカフカ」までの名作感は持たなかった。10年ぐらい経てば、また違った感想を持つのかもしれない。



  
Posted by buu2 at 14:59Comments(0)読書

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2018年12月13日

海街Diary 9巻



海街Diaryも9巻で完結となった。別に無理に完結しなくても良かったんじゃないの?とは思うものの、良い終わり方で良かった。

番外編でのすずの描写が「昔サッカーやってた人」だったのがちょっと残念で、そのあたりは「BANANA FISH」のように狙いすぎな感じがしないでもない。

吉田秋生としても、一つの作品に必要以上に縛られることなく、終わらせたかったのかもしれない。全巻通しで考えてみても、良い作品だったと思う。  
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2018年02月20日

殊能将之 未発表短編集


僕が、出版されるほぼ全ての小説を読んでいる数少ない作家の一人が殊能将之である。ただ、初版でこの作家の作品を読むのはこれが最後だと思う。なぜなら、殊能氏は、5年前に




というつぶやきを最後に、この世を去ってしまったからだ。この本は、彼の死後、段ボール箱の中から発掘された未発表短編小説を集めたものである。

「犬がこわい」「鬼ごっこ」「精霊もどし」の3編と、ハサミ男の秘密の日記」の合計4作が収録されている。どれも簡単に読み終わるので、殊能氏の作風を簡単に感じることができるだろう。豊富なミステリーに関する知識をベースにして、読者の期待と予想の上を行こうとする彼の企みが伝わってくる。面白いとか、面白くないとかではなく、彼の逝去が本当に惜しまれる。「精霊もどし」の秘術が欲しくなる。  
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2018年01月31日

ビブリア古書堂の事件手帖

日本へ帰ってしまう在米日本人による引越しセールで見つけたので、購入して読んでみた。

まず最初に気になったのが、「一回忌」という言葉の誤用である。通常、一回忌という言葉を使うことはない。一周忌(死後一年目)、三回忌(死後二年目)、七回忌(死後六年目)と続いていくものである。一回忌とはすなわち葬式のことで、葬式から一年後についてのみ、一周忌という言葉を使う。これは日本の常識で、身近の人間を亡くして法事を主催したことがあれば、誰でも知っていることだ。そこを間違えて、文庫の20版まで刷っているのに修正されていない時点で、作家も、編集者も、日本の文化に対して大した常識を持ち合わせていないことがわかってがっかりする。この本は、古書という、日本文化の一部に関する深い造詣がメイン・テーマなのに、である。そうやって、冒頭の25ページぐらいで「ろくでもない」と感じてしまうと、どうしても粗探しをしながら読むことになってしまう。

登場人物たちの言動や行動はそこここで不自然で、「こんな会話はしないだろ」とか、そんな行動は必要ないだろ、とか(たとえば、首から下げている鍵を取り出すにあたって、わざわざパジャマの一番上のボタンを人前で外したりはしないだろう。外さなくても取り出せるし、取り出せないなら後ろを向いて、人目を避けるのが自然だ)、病院の屋上で一悶着あった描写の最中に、なぜか留置場の面会室に場面がかわってしまっていたり、とにかく書き方が雑なのだ。これらは、通常なら編集者から赤ペンが入ることがらで、作家目線からはちょっと考えられない話である。作家は、書いている時点では自分の文章を客観的に読めないし、言葉足らずで、自分では説明しているつもりでも、実際にはそうなっていないことも良くある。だから、作家が下手というよりは、編集者の能力不足である。僕は編集者ではないけれど、仮に編集者なら、間違いなく指摘する。

推理ものなのに、推理が雑な点も少々いただけない。因果関係が間違っているのではないけれど、たくさんある可能性を残したまま、主人公が犯人を断定してしまうので、とても不自然な印象を受ける。

推理小説としては二流。ただ、古本に関する豆知識としては、悪くない。まだ直してないなら、今からでも遅くないので、一回忌という記述だけでも直して欲しいものである。評価は☆1つ。

  
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2017年12月16日

ベイビーステップ 47巻を読んで 少年マガジンの編集部は馬鹿と判明

突然連載が終了したベイビーステップ。アニメ化されたり、順調だと思っていたのに突然どうしたんだろう、作者急病?などと心配していたのだけれど、最終巻となってしまった47巻の末尾にヒントが。作者勝木光氏のコメントが書いてあったのだけれど、そこには

色々事情もあり
主に私の力不足
ここまでになってしまい残念
できればデ杯も描きたかった


という文字が並んでいた。これはつまり打ち切りということだ。少年マガジンの編集部は馬鹿だな。これからどんどん売り上げを落としていくと良いと思う。すでにマガジンを購入するのはやめていて、ベイビーステップの単行本を買うだけになっていたのだけれど、これで当分、もしかしたら一生、マガジンを手に取ることはないかもしれない。


  
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2016年06月14日

猿の目

陶芸コレクション仲間のキングかすさんに書名を教えてもらったので購入してみた。



月刊誌の連載をまとめたものなので、分量は少なめ。しかも、猿之助氏が途中で骨董の収集に飽きてきてしまったようで、文章とコレクションの関係性も徐々に失われていく(笑)。最初の勢いで全部書ききれたら良かったのにと思うのだが、長期間の連載だとこういうこともあるだろう。

文章は齢不相応に大人びていて、ちょっと(かなり)背伸びが感じられる。ここは編集者の意向が強く反映されているのかもしれない。猿之助氏自身は自分でも素人と認めていて、背後に相談役がいることもきちんと表明している。この相談役が有能なのか、なんなのか、僕は全く判断がつかず、この本で取り上げられている器についても半分以上はその価値がわからない(笑)。ともあれ、そこは日本の伝統芸能に携わる人なので、良い相談役には恵まれているだろうし、実際に良い骨董に触れる機会も僕とは比べ物にならないくらい多いはず。そうやって、違いのわかる目が育っていくのだろう。

陶芸については猿之助氏以上にど素人なので本書の良し悪しもまたわからないのだが、さっと読めてしまう本なので骨董ファンと猿之助ファンには良いかもしれない。ちょっと高いけど。  
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2016年05月19日

帰りの荷物 その1

日本に来て買った本。


ちょっとボキャブラリーに不安があるから。


英文法も忘れがちなので、米国人から馬鹿と思われないように復習。


実際にDCにいると、スペインなまりの英語が多く、綺麗な発音は学校の先生とか、非常に限られた人だけ。マイ・フェア・レディの教授ではないが、きちんとした発音に慣れておきたいので購入。

米国に住んでいるだけだと、英語力の向上は限定的。でも、上達しようと思うならこれ以上ない環境なので、どうせなら効率的に勉強したい。


コレクター仲間のかすさんが教えてくれた本。物を見て、物を作るだけでは限界がある。しかも、今はその機会が少ない。ということで、先達の知識も拝借。


猿の眼の隣にあったので、ついでに購入。

今の世の中の良いところは、勉強しようと思えばいつでもできることだね。  
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2016年02月04日

工芸未来派―アート化する新しい工芸

牟田陽日さん、見附正康さん、水元かよ子さんと、作品をいくつか所有している作家さんが掲載されているので読んでみた。



冒頭で工芸とアートの違いについて書いてあったのだが、僕とは随分考え方が違う。僕の考え方は、工芸とは線をまっすぐに引くとか、細い線を同じ太さ、濃さで引くとか、細かいパターンを描くとか、より丸く仕上げるとか、そういった技術的なアプローチの延長にあるもので、アートは作家の感性を主張するものだと思う。また別の角度から、購入者の立場から考えると、工芸品とは「使うもの。壊れたら、捨てるか、あるいは直して使い続けるもの」で、アートとは「見て楽しむもの。壊れたら価値は激減するもの」である。

僕の持っている作品を例にすれば、この見附さんの作品は工芸品色が強い。




この作品を見附さんのところに持って行って、「これと同じものを作って欲しい」とオーダーすれば、多分似たものを制作してくれるはずだ。それは、見附さんの技術がそういうカラーだからである。ただ、見附さんにアート色がないかと言えばそんなこともない。壊れたら価値は激減するはずだ。

あるいは、児玉みなみさんなども工芸色の強い作家さんである。




彼女の場合、自分の気に入った色を出すために、作陶を繰り返している。おそらく、気に入った色を安定して出していくことが彼女の目標なのだろう。

作家の目指すベクトルには結構違いがあって、それは話してみればわかる。「この作品が凄く気に入ったので、同じようなものをもう一つ作ってもらえませんか?」と聞いてみれば良い。工芸志向の強い作家さんであればあるほど、「良いですよ」と快諾するはずで、一方でアート志向の強い作家さんであればやんわりと断るはずだ。「その作品はそのときの状況が生み出したもので、その状況を完全に再現できない以上、同じものは作れないし、そもそも作りたくない」と考えると想像する。

また別の視点で美術家と工芸家を分けるとしたら、村上隆氏の工房で指示を出している村上隆氏が美術家、彼の指示に従って制作にあたり、村上氏の思想を表現することに従事しているのが工芸家である。これは、研究の現場でのサイエンティストとテクニシャンの関係に似ている。こうして分解していくと、美術家の方が工芸家よりも立場が上と考えられてしまい、その延長線として、アートと工芸を背反する概念と捉えてしまうのかも知れない。

とはいえ、工芸とアートは、独立して背反している概念ではないはずだ。アートの手段として、工芸領域で突き詰めた技術が活用されることもあって、「これは工芸品」「これは美術品」とわけて考えることはナンセンスだと思う。本書の「アート化する工芸」というサブタイトルはそういう意味もあると思うのだが、前述のとおり、「工芸」の定義が僕とちょっと異なっていたため、書籍の内容もそれほど魅力的ではなかった。というか、言われなくても知ってるよ、みたいな。

若手作家について短時間で調べてみたい人の最初の一歩には良いかも知れない。でも、芸術作品って、実際に観てまわらないとダメだと思う。本で写真を観ても、作品の善し悪しは伝わらない。昔から言うでしょ、百聞は一見に如かずって。  
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2015年09月20日

まだ安倍自民党を支持している人がとりあえず読んでおくべき本



最初に書いておくけれど、池上さん自身は客観的に見ると左よりで、解釈もそのカラーが出ている。なので、完全にフラットに憲法を解釈したいと思うなら、また別の人が書いた解説書をあわせて読んだほうが良いかも知れない。でも、大筋では間違っていないので、憲法が何なのか理解していない人(つまり、安倍自民党を支持している人)にはちょうど良い入門書になるだろう。

憲法が国家にとってどういう位置づけにあり、日本国憲法に何が書いてあるかを理解した上で、まだ安倍自民党を支持するというのならそれもまた良し。古くはヒトラーであっても大衆の支持の上に独裁者となったのだから。  
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2015年08月29日

河鍋暁斎



三菱一号館美術館の河鍋暁斎展が前半と後半の2つに分かれていたので、間で読んでみた。

なるほど、面白い内容なのだが、後半をたっぷり割いて記述された暁斎の描き方は文章なので非常にわかりにくい。それとこの本の構成が、本文と図表、注釈の配置が不親切なものとなっていて、読みにくことこの上ない。もっと読みやすくできたはずなのに。  
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2015年06月09日

約40年続けた習慣の終了

マガジンを買うのを辞めて、スピリッツも卒業した。

これまで読んできた少年漫画誌は、最初がブラックジャック、ドカベン、エコエコアザラクが連載されていたチャンピオン。ちょこっと999のキングを読んだ時期もあったけれど、チャンピオンの衰退によってサンデーへ。うる星やつらなどを読みつつ、みゆきが掲載されていたビッグコミックを併読。さらに、月2回発行のスピリッツで軽井沢シンドロームとかめぞん一刻などを読み始めた。このころはAKIRAなどが掲載されているヤンマガ、夏子の酒のモーニングなど、週に4冊ぐらい漫画誌を読んでいたのだが、やがてまた週2冊程度になった。ここ数年はスピリッツと少年マガジンの2冊が定期購読だったのだが、つまらない漫画、下手な漫画が増えてしまい、半分も読まずに捨ててしまう状態だった。

この一年ぐらい、少年マガジンで読んでいるのは「エリアの騎士」と「ベイビーステップ」の2本。ただ、両作品とも最近はテンポが遅く、毎週読んでいてもなかなかストーリーが進まない。これなら単行本を電子書籍で購入して三ヶ月に一度、一気に読んだほうが良い。「はじめの一歩」に至っては、展開が遅いとかいうレベルを超えていて、すっかり飽きてしまった。それでも買い続けていたのは映画の試写会応募のチケットが付属していたからなのだが、電子化されてそれもなくなり、なんかもう良いかな、と。

スピリッツは「あさひなぐ」「商人道」「気まぐれコンセプト」「じみへん」ぐらいは読むのだが、「ベイビーステップ」のような面白さはない。先週、買い忘れて、惰性で買っていることに気がついてしまった。大体、月曜日に買っても、読むのは週末なのだ。「もう次が出ちゃうので、早く読まなくちゃ」といった具合である。今週も一応どうしようかな、と考えたのだが、あさひなぐの試合の結果さえわかってしまえば、買う必要もなさそうだ。

別に、自分がおとなになったというわけではなく(笑)、単に漫画のレベルが下がった気がする。絵が下手な漫画家が多い。加えて、ちょっと面白いと思うと、すぐに展開が遅くなる。誰もが認めるであろう「あしたのジョー」は、当時凄く長いと思ったけれど、それでも20巻、一番長いホセ・メンドーサ戦ですら、単行本一冊に収まっている。最近はミステリー小説でも同じ傾向があるけど、冗長で長すぎるんだよ。だから飽きちゃう。人気の出た作品を延々と継続するのが出版社的には模範解答なんだろうけど、漫画も小説ももうちょっとテンポ良くできないものかなぁ。

なんか、最近の漫画って、「次はどうなるんだろう!」とワクワクする感覚が希薄なんだよね。今、それを感じるのは「ベイビーステップ」だけ。

何はともあれ、2015年の6月に40年くらい続けてきた生活習慣をやめることにしたので、備忘録として書いておく。  
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2015年02月26日

週刊少年マガジン電子版を買ってみて気がついたこと

今週号のマガジンははじめの一歩が最初から著者の都合で掲載されていないので、はじめの一歩は掲載されていないくせにリアル版と同じ価格で販売されている電子版を買ってみた。

#わかりにくいかな。「はじめの一歩」は、作者森川ジョージ氏の都合により、電子版には掲載されていないのです。詳細はこちらなど。

【はじめの一歩が電子版マガジンに載ってない!】浦沢直樹・井上雄彦・森川ジョージの選択
http://matome.naver.jp/odai/2142044023097315101

「はじめの一歩」は、コミックは電子版があるんですけどね。色々謎です(笑)。

http://www.amazon.co.jp/dp/B009KYCG0E/

さて、本題。マガジンを買ってみたら、読んでいるのはベイビーステップ、エリアの騎士の二つだけだと気がついた。今更だけど。これなら、ちょっと我慢してコミックが出てからまとめ読みするのでも全然問題ない。映画の試写会応募も応募券が必要なくなったことだし、もう本誌を買う必要は全くなくなった気がする。  
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2015年01月21日

Kindle for PCが一般和書でも利用可能に!

これまで、漫画と洋書だけしか読めなかったKindle for PC(windows版)が、ようやく一般の和書も読めるようになった。とんかつ名店絨毯爆撃も、こんな感じでバッチリ読める。

kindleforpc


WindowsのPCはもちろん、Windowsタブレットでも利用できるので、Kindle本の読者も広がりそうだ。アプリはここでダウンロードできる。

http://www.amazon.co.jp/gp/feature.html?ie=UTF8&docId=3078592246

このブログの右サイドに僕の既刊がずらっと並んでいるので、これまで「Kindle本は読めないから」という理由で入手を踏みとどまっていた方は、この機会に購入をご検討下さい。

ちなみに売れているのは下の二冊です。

 
  
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2015年01月07日

週刊少年マガジンの罠

週刊少年マガジンの電子版がいよいよスタートというニュースを読んだ。

講談社、「週刊少年マガジン」などコミック誌を発売日同日に電子版で配信
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20150105_682386.html

そいつは素晴らしい!と思って講談社のサイトをチェックすると、「はじめの一歩」は不掲載という文字がある。

maga


まぁ、今さら一歩でもないだろ(いや、かつては名作だったけれど、今は無駄に長くて話が進まないし、二つのベルトをかけて宮田と一歩がダブルタイトルマッチをやる頃には東京オリンピックも遠い過去になっているぐらいだろう)とは思うものの、電子版とリアル版の違いも検証する意味で、リアル版も買ってみた。

すると、リアル版にもはじめの一歩は掲載されていなくて笑った。

正直に言えば、一歩が掲載されているかどうかよりも試写会の応募券がどうなるかの方がずっと大事なのだが(^^;  
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2014年09月01日

「とんかつ名店絨毯爆撃: 美味いとんかつが食べたければ2,000円以上用意しろ!!」発売中!

構想から一年以上、「とんかつ名店絨毯爆撃: 美味いとんかつが食べたければ2,000円以上用意しろ!!」発売中!!



絞りに絞った名店が29軒。「特撰」の12軒は押しも押されもせぬ名店たち。そして、とんかつ文化を支え続けてきた「老舗」7軒。さらにはとんかつの今を感じさせてくれる高級とんかつ店を10軒。この一冊で、ほぼ100%、日本のとんかつの名店を知ることができます。

この本のために食べた主なとんかつ屋のラインナップは下記のとおりです。

かつぜん(銀座)、梅林(銀座)、あんず(銀座)、かつ銀(銀座)、万平(淡路町)、勝漫(淡路町)、やまいち(淡路町)、ポンチ軒(小川町)、丸山吉平(新御徒町)、すぎ田(蔵前)、丸五(秋葉原)、とん八亭(上野)、とんかつ武蔵野(上野)、ぽん多本家(御徒町)、蓬莱屋(御徒町)、かつ吉(水道橋)、清水屋(池袋)、とん太(高田馬場)、成蔵(高田馬場)、あげづき(神楽坂)、かつ味(新大久保)、王ろじ(新宿)、さき亭(新宿)、キムカツ(恵比寿)、ぽん太(恵比寿)、とんき(目黒)、椿(成城学園前)、福よし(表参道)、まい泉(表参道)、豚組食堂(六本木)、豚組(西麻布)、むさしや(浜松町)、とんかつ燕楽(新橋)、とんかつ河(新橋)、檍(蒲田)、丸一(蒲田)、鈴文(蒲田)、とんかつ燕楽(池上)、福長(都立大)、かつ玄(羽田空港)、勝烈庵(横浜等)、恵亭(横浜)、かつくら(新横浜)、馬酔木(横浜)、豚食健美 優膳(茂原)、いち川(朝霞)、かつ膳(川越)、力(甲府)、美味小家(甲府)、とんかつ山本(京都)、福幸亭(軽井沢)、献立家 弥栄(軽井沢)、マンジェ(大阪府八尾市)

この中から、さらに厳選したので、名だたる有名店からさらに半分近くを削ぎ落した形です。

本格とんかつに絞って一冊にまとめたガイド本は史上初かも知れません。Kindle本を読むことができる方は、是非お買い上げくださいm(_ _)m

#本の性質上、ほとんどが東京の店になっています。あしからず、ご了承ください。
#本エントリーは当面ブログのトップに掲載されます。最新記事はひとつ下になります。

<重要なお知らせ>
2014年6月16日、第三版に改訂しました。それ以前の版をお持ちの方は、下記のリンクから直接Amazonにオーダーしていただければ幸いです。ご面倒をおかけして恐縮ですm(_ _)m

#Amazonには読者の皆様へ告知メールの送信をお願いしたのですが、この程度のアップデートではそういう対応はできないそうです。

Amazonカスタマーサービス
https://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/contact-us?

以下、Amazonからのメール内容を転載しておきます。

1. https://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/contact-us の「1. お問い合わせの種類を選択してください」において、「Kindle」を選択します。

2. ご使用しているデバイスを選択します。

3. 「2. お問い合わせの種類を選択してください」の「お問い合わせ内容」で「Kindle本」を選択します。

4. 「詳細内容」において修正版ダウンロードの項目がございませんので、一番近いと思われる「購入したコンテンツをダウンロードできない」を選択します。

5.「3. お問い合わせ方法を選択してください」でご希望のお問い合わせ方法をクリックし、お問い合わせを開始します。
最新版コンテンツをダウンロード希望との旨をカスタマーサービスにお伝えください。

お問い合わせのためにご選択いただく項目が実際の内容と異なっていたとしても、弊社カスタマーサービスにおいて、内容から判断し、正しい部門にて対応させていただきますので、ご安心ください。
  
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2014年02月14日

東京ウォーカー「100人が選ぶ最強ラーメン」

今、本屋さんで売っているTOKYO Walkerで「ラーメン好き100人が選ぶ最強ラーメン」という特集記事があるんですが、僕も100人のうちのひとりとして、都内の4店を推薦しています。




こういう企画に協力する場合、一番考えるのが「独自性」で、なるべく他の人が推薦しないような店を挙げるようにします。今回は、ざっと見た限りでは誰ともかぶっていない様子。4店をどの店にしたのかは東京ウォーカーを買って確認していただくとして、「ここも載せたかったなぁ」という店をあげておくと、神保町の「辣椒漢」です。この店はかなり辛口なので、誰が食べても満足、という店ではないと思い、今回のリストからは外しました。

ちなみに、取材拒否店を一軒推薦していて、これも本当は反則。「マスコミに掲載されることによって不自然に客足が伸び、店のペースを乱されたくない」という大変もっともな主張を無視することなので、できればやりたくないのですが、個人的に現在都内ナンバーワンの店なので、無作法を承知で挙げさせてもらっちゃいました。

    

2014年01月12日

日本の知らない風力発電の実力

以前、「遺伝子組み換え食品との付き合いかた」を出版してもらったオーム社から出た風力発電に関する本である。

「風力発電って、日本では色々駄目だしされているけれど、実際は結構いけてるよ」という内容。以前、僕も自著「総統閣下はお怒りです」の中で「原子力で発電している分を全部風力発電にすると、海岸線が風車だらけになって大変なことになる」という主旨のことを書いたんだけれど、この本はそういう考え方にも明確に反論している。

要は、「全部」と考えることがナンセンス、ということ。出来る範囲でやれば良い。比率を高めていくことを考えれば良く、いきなり全部代替しようとなど思わなければ良いのである。ただ、重要な事は、そこにファーストプライオリティを置くことである。「まぁいいや」と考えてしまうと、「ぜひとも原子力で」と考えている既得権者たちにつけこまれる。

海外の国々も、海がないとか、山がないとか、島国であるとか、様々な自然環境にあって、でも、それぞれがきちんと風力発電への依存率をアップさせてきている。そうした中、日本は完全に風力発電後進国になっている。なぜかって、それは原発があったからである。

しかし、原爆を二発も落とされ、深刻な原発事故まで起こしている国が、主要国の中で最も原発導入に熱心というのもいかがなものかと思う。日本人は、もう少し風力発電の実力を知っておくべきだろう。海外の動向を知り、風力発電のメリット、デメリットを知った上で、それでもなお原子力で、というのなら、それも一つの見識ではある。しかし、多くの人は、この本を読むだけで、「あれ?日本の発電のあり方は、ちょっと遅れているんじゃないの?」と思うに違いない。

風力発電が万能というわけではないし、何から何まで風力発電で、というのはナンセンスである。しかし、もっと大幅に導入されてもおかしくないし、たくさんの風力発電所が設置されることによって発生するメリットも少なくない。大事なのはバランスだ。

原発容認派の人たちも、その多くは「とはいえ、できれば原発はない方が良い。徐々に減らしていくことができるなら、それに越したことはない」と思っているに違いない。ただ、じゃぁどうしたら良いのか、という具体的な案を持っておらず、強硬に原発を推進しようとしている人たちに対しては反論する術を持たないケースがほとんどだと思う。そういう人たちは、まずこの本を読んで、知識を持っておくと良いと思う。

例えば、「風力発電なんて、風が吹かなければ役に立たないじゃん」と言われた時、どう反論するのか。答えは簡単。「全国的に無風なんてありえない。風が吹いている場所で発電すれば良い」である。これは、「一つの風力発電所で常時安定して発電し続ける必要性は、必ずしもない。多くの風力発電機が存在すれば、発電量の凸凹は平準化される」ということである。こういった、言われてみればなるほど、という話がたくさん書かれている。風力発電の今を知っておくことは、多くの日本人、選挙権を持っていて、今後の電力行政の方向について意思表示しなくてはならない人たちにとって必要なことのはず。現代の日本人の基礎知識として、まずはこの本を一読しておくべきだろう。

#本書はオーム社より献本されたものです。

    
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2013年06月19日

スピリッツの「オチツケ!」で3回目の採用

スピリッツのオチツケ!の第十四臼で僕の投稿(ペンネーム:とも)が採用され、5ポイントいただきました。これでトータルは16ポイントになりました。全体のランキングはどのくらいなんだろう。それにしても、「手始め」の称号が50ポイントって、NHKのケータイ大喜利に比較して随分ハードルが高くないか(^^;???  
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2013年05月23日

やってみてわかった!これが一番簡単!Kindle出版

月刊元木一朗の今月の新刊が発売されました。



あんまり売れないだろ、と思っていたら、すでにAmazonKindle有料本のランキングで672位と、結構売れているようです。

目次はこんな感じになっています。

●本書の目次
はじめに

第1章 KDPとは
1.KDPを取り巻く現状
2.KDPで何が実現できるのか
3.KDPが実現できないこと
4.KDPの時代
5.最初の一歩、ガイドライン

第2章 準備
1.アカウントの取得
2.米国納税者番号(TIN)を取得
3. IRSフォームW8-BENをAmazonに送付
4.最速の裏ワザ、代行業者に依頼する

第3章 電子書籍の特長
1.インターネットとの連携
2.容易な改訂

第4章 本を執筆する
1.ファイル形式別の執筆方法
2.効率的な執筆手順
3.最速の裏ワザ、livedoorブログを使う
4.ファイルサイズを小さくする

第5章 本を出版する
1.出版の手順
2.トラップ(わな)

第6章 改訂
1.改訂とは
2.改訂の作業
3.改訂後の手続き
4.読者の皆さんの作業

第7章 価格の決め方
1.KDPのロイヤリティオプションと設定可能な価格帯
2.Kindle本の市場規模
3.100円で売るべきか、300円で売るべきか
4.情報の価値
5.価格の変更について
6.この本の価格について
7.安ければ良いのか?

第8章 販売実績から見たKDP
1.「コラーゲン食って肌がぷりぷりになるわけねーだろ」の販売実績
2.なぜ売れたのか?
3.KDPのマーケットサイズ
4.自分たちの居場所は自分たちで作っていく

終わりに
1.表紙のデザインについて
2.フェイスブック・ページ
3.改訂について


「自分で本を出版してみたい!」と思っている方がいたら、ぜひお買い上げください。  
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2013年04月20日

週刊アスキーが電子化

素晴らしい。



スピリッツと少年マガジンも早く電子化して欲しい。漫画はバラ売りでも良い。読みたい作品は決まっているから。  
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2013年04月06日

64(ロクヨン)



長文を読ませるだけの筆力はさすがと思うけれど、扱っているテーマがともかく地味である。警察組織の内部抗争みたいなものが延々と描かれていくので、犯罪ではなく組織について書かれた人間ドラマになっている。著者の最も得意としているフィールドなのはわかるけれど、警察の広報と新聞記者のやり取りがずっと続いていくので、推理小説っぽさが希薄である。

主人公がつんぼ桟敷に置かれている設定なので、必然的に読者にも情報が与えられず、主人公によってミスリードされていく。その、構成に自由度がないところが少々腑に落ちない。

未回収の伏線が色々とあるのだが、それらが全部回収されないあたりは潔いというか、逆に全部回収されちゃったらそれはそれでおかしいよな、と思う。このあたりは続編の含みを持たせたのかも知れない。

相当に練りこまれていることは感じさせられるのだが、「耳触りが良い」といった違和感のある表現もいくつか見受けられ、この点では宮部みゆき作品などと比較して、ちょっと質が低い印象だった。

犯人の人物像が直接的に語られず、小説を通してもそれが全然見えてこないところもマイナスポイントだと思う。

「警察の秘密」と「犯人の手がかり」の2つについてのアイデアはそれなりだと思うけれど、過去に読んだいくつかの傑作ミステリに比較すると、かなり軽い(物理的には重い)感じがする。

評価は☆1つ半。  
Posted by buu2 at 15:45Comments(0)TrackBack(0)読書

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2013年04月02日

オチツケ!第九臼に採用!!

もろもろあって、

スピリッツのオチツケ(またひとつ、あらたなペンネームが生まれた件)
http://blog.livedoor.jp/buu2/archives/51381889.html

「とも」のペンネームで投稿しているスピリッツの「オチツケ!」ですが、今週号の第九臼にまた僕の投稿が掲載されました。

ochitsuke9


これで第五臼の4点とあわせ、合計で11点獲得となりました!

パロディが好きなら、これとか、どうぞ↓
   
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2013年03月30日

殊能将之氏死去

ミステリー作家・殊能将之氏死去 「美濃牛」「鏡の中は日曜日」発表
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130330-00000556-san-soci

多分、全ミステリの中で一番好きだし、「好きなミステリ小説を3つ挙げろ」と言われたら絶対に含まれるのが「ハサミ男」なので、殊能さんが亡くなってしまったのはとても残念。ミステリが大好きで、でも、最近のミステリの状況に納得がいかず、その状況を揶揄するような作品を書いていて、ミステリへの愛情が作品から伝わってくる作家だったと思う。Twitterでの最後のつぶやきは「んじゃまた」。

殊能将之氏のTwitter

ハサミ男は傑作なので、もしまだ読んでない人がいたらこの機会に是非。ひとつの優れた才能が失われてしまったことがわかると思います。


  
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2013年03月27日

『コラーゲン食って肌がぷりぷりになるわけねーだろ』がついに書籍に!!

このブログが『「コラーゲン食って肌がぷりぷりになるわけねーだろ」社長のブログ』というタイトルだったのはいつのことでしたっけ?5年ぐらい前でしょうか?良く覚えておりません。そして、とうとう、書籍に!感慨深いものです。

世の中には、テレビのバラエティ番組の特集で「バナナが体に良い」とか、「しいたけが体に良い」とか、「パイナップルを食べると痩せる」といった話を聞いて、次の日に早速買いに行って、3日ぐらい食べて、「効果がない」と食べるのを辞めてしまった人がたくさんいると思います。コラーゲンも同じで、「肌に良い」とか聞いて、健康食品売り場でコラーゲン入りの食品を買っている人がたくさんいるんだと思います。そんなあなた!コラーゲン入りの健康食品を買う前に、この本を買ってみてください。たったの99円です!!

漫画を読むだけでも問題ないですが、漫画を楽しむために、補講をつけてあります。ノーベル賞科学者がトップの理化学研究所の元広報担当者である僕が(といっても、今は理研とは全然関係ありませんが)、非常に簡単に「科学的とは」「コラーゲンの科学」「プラセボ効果」「コラーゲンを塗ったらどうなるのか」について説明しています。

スーパーでアボカドを買って、帰宅して包丁を入れてみたら真っ黒で食べられなかった、という経験がある人が多いと思います。この本はアボカドです。切ってみて真っ黒だったら申し訳ありません。99円ですから諦めて下さい。でも、凄く美味しいかも知れません。99円で、今後の人生が大きく変わるかも知れません。だって、もうコラーゲン入りの食べ物を買わずに済むかも知れないのですから。

さぁ、まずは、一冊、お買い上げ下さい。よろしくお願いいたします。

  
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2013年03月25日

電子書籍がやばすぎる

Kindle本を出版していることもあって、今、少年マガジンでイチオシの「ベイビーステップ」を買ってみたのだけれど、



これはヤバい。面白いのは前からわかっていたんだけど、

参考:無音の漫画「ベイビーステップ」

電子書籍で1巻だけ買ってみようと思ったのに、気がついたらもう20巻まで読んでしまった。すぐに手に入って、その場で読めてしまうのが便利過ぎる。もう、ほとんどの本は電子書籍で良いな。

オススメ↓

(大事なことなので二回言いました)  
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2013年03月05日

ラーメン屋絨毯爆撃 山手線各駅停車編 発売!!

絨毯爆撃シリーズ第二弾、「山手線各駅停車編」が発売されました!!



山手線の各駅について1軒ずつ、オススメのラーメン屋を紹介しています。東京で暮らすラーメン好きはもちろん、観光や出張のお供にもぜひどうぞ。

掲載店は大崎:The Outsiders、品川:なんつッ亭、田町:むらさき山、浜松町:東京らあめんタワー、新橋:銀笹、有楽町:はしご、東京:トナリ、神田:磯野(再評価)、秋葉原:青島食堂 秋葉原店、御徒町:麺屋武蔵 武骨、上野:一蘭、鶯谷:七麺鳥、日暮里:ぶらり、西日暮里:ひだまり、田端:にじゅうぶんのいち、駒込:ガンコンヌードル、巣鴨:Japanese Soba Noodles 蔦、大塚:昭和歌謡ショー、池袋:まるきゅう、目白:さんかく、高田馬場:渡なべ、新大久保:優創、新宿:しろ八、代々木:いそじ、原宿:ラーメンゼロ PLUS、渋谷:真武咲弥、恵比寿:AFURI、目黒:しみる、五反田:江戸前煮干中華そば きみはんの各店です。

Google Maps直結のリンクを設置しているので、ネット接続環境下なら、その場でお店の場所もわかります。「今、山手線の駅の近くでラーメンを食べたい」と思ったとき、全く迷わずにお店にアクセスできます。

電子書籍の特徴を生かして、今後も最新情報をアップデートしていく予定です。もちろん、購入者の方々は無料で最新版にデータ更新可能です。

Kindleダイレクトパブリッシングが可能にした、「低価格」「即時性」「ネットとの融合」をお楽しみいただけます。  
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2013年02月07日

一般図書の電子化

KDPの現状を知る意味で、一般図書から電子化されたものを購入してみた。買ってみたのはこれ。



内容はもちろんだけど、電子書籍としてのできにも注目して読んでみたい。というか、もう読んでる。2%だけど(笑)。  
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2013年02月05日

スピリッツのオチツケ(またひとつ、あらたなペンネームが生まれた件)

ビックコミックスピリッツに、時々掲載される「オチツケ」というコーナーがある。「時々」なのは、毎週なのかな、と思っていたら、掲載されない週があったりして良くわからないのだ。

さて、年末に、このオチツケで投稿募集があった。

ochitsuke


クマのプー太郎を愛読していたこともあるが、総統閣下シリーズや、最近ではブラよろのパロディとか、僕の根源的なところはこの手のパロディ作家的な部分にあるので、当然、応募したわけである。

連載が不定期なので、「いつ掲載されるのかなー」と思っていたら、今週号がこのテーマの掲載だった。さっそく読んでみたら、僕が応募したネタとそっくりの内容が掲載されている。

13_02_05_2293


「からめましましやさいあぶら」は二郎の呪文だが、ラーメン評論家としての自分と、パロディ作家としての自分を非常に高い次元で融合した傑作のつもりだったのだが(ただし、自己評価)、投稿者のペンネームは「とも」という正体不明の奴になっている。僕はこれまでに「諸星段」とか、「魔人ブウ*」とかのペンネームを使ってきたけれど、数年前に全部やめて、「元木一朗」で通している。今回も、実名で投稿したはずだ。では、この「とも」さんはどこの誰だろう?たまたま、似たような投稿をした人がいたのだろうか?「それにしても、これは面妖な・・・」と思いつつ、自分が投稿したメールを確認してみた。




ochitsuke2


こ・・・これは・・・!!!

僕としては、本名、ペンネームともに元木一朗のつもりだったのだが、「ペンネーム:とも」と認識されてしまったようだ。

こうしてまたひとつ、あらたなペンネームが生まれた・・・。

#とりあえず、4ポイント獲得しました(^^  
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2013年02月02日

「ラーメン屋絨毯爆撃 池袋編」第二版をお持ちの方へ(確定稿)

「ラーメン屋絨毯爆撃 池袋編」は第三版に改訂されました。現在のところ、Kindleダイレクトパブリッシングは自動的に改訂されませんので、「ラーメン屋絨毯爆撃 池袋編」第二版をお持ちの方は、お手数ですが、以下の手順でAmazonに改訂を申請して下さい。

1.Amazonのカスタマーサービスページにアクセス
https://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/contact-us?

2.タブで「Kindle」を選択

3.利用しているデバイスを選択
一つしか選択できないので、複数のデバイスを利用している方は、メインで利用しているデバイスを指定して下さい。サブのデバイスのデータも自動的に更新されます。

4.問い合わせ内容を選択
ちょうど良い選択肢がないので下記のように設定してみました。

お問い合せ内容:Kindleコンテンツ
詳細内容:Kindleコンテンツの管理、転送
さらに詳細を選択して下さい:購入したコンテンツをダウンロードできない


5.詳細を入力
下記の内容で記述してみました。このままコピペしてご利用下さい。
以前、下記のKindle本を購入しました。

ラーメン屋絨毯爆撃 池袋編 2013年版 [Kindle版]
ASIN: B00AVKKRIE

第三版に改訂されたので、最新版を再ダウンロードしたいと思います。

なお、新しいバージョンにアップデートすることによって、現在保存しているハイライト、ブックマーク、メモおよび読み終えた最後のページ番号が削除されることを十分に理解、了解した上で、最新版のダウンロードを申請します。


6.メール送信ボタンを押す


7.更新
デバイス上でKindleを立ち上げると、自動的に更新されます。私の場合、約2時間ほどでAmazonさんが対応してくれました。

##まだ購入されていないかたは、今買うと、すぐに第三版です!


第三版の主な変更点
 ○流星ラーメンの評価を最新版に更新
 ○麺舗十六の評価を最新版に更新
 ○麺屋武蔵 二天の評価を最新版に更新
 ○えびそば一幻の評価を最新版に更新
 ○岡崎 池袋西口劇場通り店を追加
 ○九州じゃんがら 西武池袋店を追加
 ○営業時間早見表を変更  
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2013年01月19日

Kindleダイレクト・パブリッシングの一般化に必要なこと

昨日の「総統閣下はお怒りです」(日の出テレビ)では、Kindleダイレクト・パブリッシング(KDP)を利用して本を出版する方法について喋ったんですが、ラストで「どうやって売っていくかが今後の課題」と締めくくったわけです。



昨日は時間切れでここで終了でしたが、じゃぁ、その課題解決にはどんな手法があるのか、考えてみます。

その1 読者の拡大
「使ったことがない」「買ったことがない」という人は、そのままでは電子書籍ユーザーになりません。彼らをこちら側の世界に引き込まなくてはなりません。一度買ってしまえば、「なんだ、簡単じゃないか」ということになります。

そのためのトリガーとしては、電子書籍でしか売ってないビッグタイトルが複数必要です。

まず、「しか」という部分が大事で、一般書籍として販売されていれば、保守的な日本人の多くが「高くても、一般書籍で」と考えると予想します。それともうひとつ、「複数」というのも大事です。なぜなら、書籍のターゲットはピンポイントで、電子書籍は特にそれが顕著だからです。逆に言えば、万人受けする宮部みゆきや東野圭吾は、現段階では電子書籍のみで出版する必要など全くないわけです。電子書籍になっているものは電子書籍である理由があって、それは「大衆ウケしそうにない」「あまり売れなさそうだ」というものです。ただ、その判断を下したのはあくまでも出版社や編集者であって、彼らが売れないと思ったのに(あるいは売れると自信が持てなかったり、会社の上司を説得できなかったり)バカ売れ、みたいな本が何冊も出てくる必要があります。

僕としては、「ノマドと社畜」などはそういう本の代表だと思うので、何度もプッシュしているわけです。ちょっとでも興味があれば、買ってみてください。Kindleを持っていなくても、スマホやiPadで読めてしまいます。内容はもちろん、フォーマットとしても「あぁ、電子書籍って、こういう感じなのか」というのがわかる本なので、最初の一冊として好適です。




その2 サポーターシップの醸成
サポーターシップという言葉があるかどうかわかりませんが、以前、カーリング関連でこんなことを書いたことがあります。

B to Cの関係をどうやって再構築していくか
http://blog.livedoor.jp/buu2/archives/51219044.html

ここで書いたのは、「消費者とスポンサーの新しい関係を構築していく必要がある」ということです。電子書籍に関しては、著者と読者の新しい関係が必要になってくるはずです。なぜなら、現状の電子書籍の著者はほとんど全てが弱い存在で、誰かの支援が必要だからです。じゃぁ、誰がどうやって支援するのか、ということになるのですが、基本的に、支援者は読者だけです。読者が、「この本、面白い」と感じたら、どんどんレビューを書いて、知人に教えて、その販売を支援する必要があります(もちろん、面白くなければ支援する必要はありません)。売れなければ、たとえその本が良い本だとしても、次の本は出版されないのです。

このあたりについて、わかりやすく卑近な例を考えてみます。誰かが、「元木さんには、次は横浜のラーメン本を書いて欲しい」とつぶやいたとします。もちろん僕はやる気はあります。でも、横浜までラーメンを食べに行って、それを書籍化するためには、当然お金が必要になります。一般書籍であれば「取材費」として出版社から交通費と食費ぐらいは出してもらえますが、電子出版では誰もお金を出してくれません。僕の自腹になるわけです。そのとき、横浜の本を読みたいと言っている人は、何ができるのかって、とりあえずは池袋の本を買って、そのレビューを書く、あるいは知人に勧めることが最大の支援になるわけです。

以前の日本では、こうした馴れ合い体質、ムラ社会気質が一般的でしたが、今の日本の都市部ではすっかり希薄になりました。こそこそ悪口を言い、足を引っ張り合うような陰湿なムラ社会気質は相変わらず残っているのですが、なぜか相互に助け合うような気質は失われてしまったような気がします。電子書籍の一般化を加速するには、こうした古き良き時代の精神が必要なのではないかと思っています。

#間違っても、「行政の支援」などは考えないでください。

一人ひとりが、「この人の本をもっと読みたい」「この人の本をもっと多くの人に読んでもらいたい」と考える必要があるのです。多くの人が気がついていませんが、今まではその役割を出版社や本屋さんが果たしていました。KDPの世界には、その役割を主体的に果たす人がいません。読者の私たち自身が、その役割を果たす必要があります。

ちなみにKDPでは、アフィリエイトの紹介料率が10%と、かなり高めに設定されています。めいろまさんの本を僕のサイトから買ってくれた人も結構いるのですが、その紹介料は1,500円の本と変わりがありません。


その3 新しい「本作り」の拡大
KDPは、改訂が物凄く楽という特性があります。今のところ、24時間で改訂できます。僕の本も、すでに第2版になっていて、年内に数回の改訂を予定しています。また、価格の更新も楽です。そこで、「この本を読んだけれど、もっと良い物にしてあげますよ」という人が出てこないかなぁ、と考えています。これまた卑近に自分の本で言えば、「池袋のラーメン屋のラーメンの写真、もっといいものがあるので、全部取り替えませんか?」とか、「Google Maps直結も良いけど、イラストもあった方が良くないですか?」とか、「掲載店の配置がわかる大きな地図を作りましょう」といった提案があっても良いよな、と思うのです。僕が同意した場合、それらのコンテンツに僕がお金を支払って、次の改訂の時にそれを掲載すれば良いのです。いわば、事後編集です。僕の負担があまりにも大きければ、それは価格に上乗せしてしまえば良いのです。「今度の改訂ではこれこれしかいじかの大幅増訂があったので、価格は100円アップです」といった感じです。

#ここで手を挙げてくれるのは、個人のみならず、既存出版社でも全く問題ありません。例えば、「元木さんのラーメン本を写真と地図でサポートします。かわりに、一般書籍としてウチから出版させて下さい」みたいなオファーでも大歓迎なのです。

##あるいは、もっと前段階でのアプローチもありなはずです。「今回の一連のKDPに関するエントリーで一冊書籍にしませんか?」みたいな感じです。

また、KDPでの出版にあたっては、「編集者」が絶対的に不足します。本を出したことがない人はわからないでしょうが、編集者とは、校正をやるのみならず、全体の構成を再構築したり、資料を集めてくれたり、本を作る上で大きな役割を果たしてくれる人です。昨日の放送でも触れましたが、今回の池袋ラーメン本でも、実は編集者を探しました。結果的に見つけることができず、自分で全部やらざるを得なかったのですが、良い編集者と組むことができていれば、本のクオリティはもう1ランク上がっていたかも知れません。著者と編集者を結びつけるような仕組みがあったらなぁ、と思います。

#著者にとって編集者とは非常に大事なのですが、誰でも良いというわけではありません。著者からすると、自分の文章にあーでもない、こーでもない、とケチをつけられることになるので、お互いの信頼関係が非常に大切になります。「やりましょうか?」「お願いします」という、簡単な関係ではないのです。  
Posted by buu2 at 11:14Comments(0)TrackBack(0)読書

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2013年01月17日

ヘンな日本美術史

日本美術の「ヘンなもの」を紹介しながら、美術史を語る本。



美術史どうこうというよりは、「あぁ、この絵はこういう見方をすれば良かったのね」という、美術館賞マニュアル本。「なるほど、言われてみればヘンだな」と思うこと数回。

しかし、山口さんがまじめに語っている部分は、「へぇ」とは思うし、勉強にはなるものの、視点が天才的すぎて良くわからない。長嶋茂雄の野球理論を読んでいるような感じである。あぁ、やはり山口さんは天才なんだな、と思った。

評価は☆2つ。  
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2013年01月12日

メイロマさん( @May_Roma)の「ノマドと社畜」を読んで、内容以外でわかったこと

書評ではないので、別エントリー。Kindleについて、下記のようなことがわかった。

●(それほど)著名人じゃなくても本が出せて、売れる

●分量が少なくても良い

●図表がなくても良い

だけど、一番大きいのはこれだ。

●既存出版社との協力が可能

メイロマさんの本を出したのは朝日出版社。既存出版社は取り次ぎとの関係などあって、なかなか電子出版に足を踏み入れにくいところがあるんじゃないかと思ったのだが。出版社と著者の関係がうまく構築できるなら、電子出版>一般書籍という流れも作れると思う。これまでは書籍化にあたって「編集者の目利き能力」が要求されたけれど、これからは市場による目利きが可能になるかも知れない。

出版業界は日本でも最も古い体質の業界の一つで、お先真っ暗だなぁ、などと思っていたのだけれど、意外と早く、新しいバランスを構築できるのかも知れない。これからの出版社の編集さんは、電子書籍をどんどん読んで、新しい才能を見つけるようになるのかも知れない。


さて、僕は引き続き、次の本を書く作業である。蓄積したコンテンツは山ほどある。手法も手に入れた。あとは、本にするだけである。20日ぐらいまでに次の本を出せたら良いのだけれど。


#ところで、朝日出版社はブックマン社の親会社で、ブックマン社は僕の「総統閣下はお怒りです」を出版してくれた会社である。だけど、今回メイロマさんの本を取り上げたのは全くの偶然で、ステマじゃないからね(笑)。

このブログの関連エントリー
ノマドと社畜 谷本真由美
http://blog.livedoor.jp/buu2/archives/51378579.html

Kindle本を書いてみてわかったこと
http://blog.livedoor.jp/buu2/archives/51378419.html

「ラーメン屋絨毯爆撃 池袋編 2013年版」発売開始!!!!
http://blog.livedoor.jp/buu2/archives/51378027.html

Kindleダイレクトパブリッシングによる出版の状況2(メモ書き)
http://blog.livedoor.jp/buu2/archives/51377933.html

Kindleダイレクトパブリッシングによる出版の状況(メモ書き)
http://blog.livedoor.jp/buu2/archives/51377598.html

   
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ノマドと社畜 谷本真由美( @May_Roma)

自分でKindle本を作ったのはいいけれど、他の人の事例も見てみたいな、と思って、メイロマさんの新刊を買ってみた。



分量的にはそれほどでもなく、文字数的には2万文字ぐらいだろうか。ちゃんと数えてないけれど。1時間ほどで読了可能。以下、レビュー。

○書籍として
分量が少ない。しかし、実際の書籍の場合、編集サイドからの「1500円で売りたいが、そのためにはもうちょっと増量する必要がある。あと1万文字ぐらい書けないか」というオーダーによって増量することがままあり、シェイプアップされていると見るべき。

実際にノマド的な立場(?)にいる僕からすると、特に付け加えることもなく、さっと読めてちょうど良いんじゃないかな、と思う。

体裁はイマイチ。一方で誤植は非常に少ない印象。

電子書籍だと、このくらいの分量でこのくらいの価格、という、ひとつの目安になる本だと思う。

○内容について
●全体
ノマドがどうこうよりも、ノマド的な働き方が日本社会に浸透していくことが、日本社会の活性化、成長につながるんじゃないかと感じた。城繁幸さんが砂漠に水を撒き続けているのを見ていて絶望的な気分になっていたのだが、この本を読んで、希望を得た。ただし、著者はノマドを応援しつつ、日本社会のノマド化には疑問を持っている様子。

●パーツ
>契約社会

「契約社会」についての記述は正確。日本は平気で約束を破る社会で、ノマドが厳しいという現実がある。ここ数年だけ考えても、うちの会社が関わった会社・組織で契約違反と考えられるケースが3つもある。もちろん破ったのは相手方。

>ノマドになりたい人

ノマドになりたいという人が日本社会にそんなにたくさんいるのか、正直、実感がない。

本書で扱われている「ノマド」とか、あるいはベンチャーの社員というのは本来公務員や大企業の社員よりよっぽど高い能力が要求される。「大企業に就職できなかったから」という理由でノマドをやったり、ベンチャーの職員になったりするようなオッチョコチョイはどの程度いるのだろう?

>日本でも不景気によってノマド的人材のニーズが増える可能性がある

早くそうなって欲しい。僕が三菱総研時代、会社に言ったのは「独立しても食べていけるような専門性が身につく仕事をしていきたい。そのための勉強や努力はいくらでもする。一方で、ジェネラリストとしてやっていく気はない。翻って現状を見ると、やっている仕事は飛行場整備の仕事、高速道路の仕事、割引制度、自治体の水産業振興プランの策定、環境アセスメントのマニュアル作りなど、自身の専門であるバイオとはかけ離れている。こんな状況なら、この会社にいる意味がない」ということ。上長、人事部に再三このことを伝えても全く効果がなかったことから、当時最も権力のあった副社長に直談判し、理研への出向となった。以後、理研から経産省バイオ課課長補佐、産総研発医薬品ベンチャー社長を経て、今ではノマド的な立ち位置にいるわけだが、その立場から見ると、日本のサラリーマンは終身雇用を前提とする代わりに、会社の言いなりになって、自分の人生そのものを売ってしまっているような気がする。

僕の今の生活は、経済的には決して豊かとは言いがたいけれど、先日の東工大の同窓会では、年収1,500万円以上の同窓生たちが口をそろえて「元木のような生き方が羨ましい」と言っていた。でも、じゃぁ誰にでもそういう生き方ができるのかといえば甚だ疑問であって、あぁ、なるほど、この本はそういうことを言いたいのね、と思った。

>ノマド的働き方が広がると、新卒一括採用はなくなっていく

なるほど、ボトムアップ的に解消するのであれば、それが一番望ましい。

>インターンシップ

僕はインターンシップは企業による若手労働力の詐取だと思っているのだけれど、英国ではそれがもっと厳しいらしい。このあたりは、まだ一般的ですらない日本においては、優良企業がお手本を示していくべきなんだと思う。でも、実際は、海外の悪癖を真似ることになるんじゃないかと危惧する。特に、サッチャー時代の「古い」新自由主義を経験している英国ですら階級の固定化が常態化している(本書の中では「能力主義を推し進めた結果、階級が固定されてしまった」と記載)のでは、うーーん。その点、日本はある程度機能している学歴社会なので、まだ少し望みがあるかも知れない。

参考図書:資本主義と自由
参考映画:鉄の女の涙 マーガレット・サッチャー

>会社員なぞ甘ったるいもの

つい先日、Facebookで知人が「エクセルの関数がわからず、一日悩んだ」と書いていたのだが、その悩みのレベルは異常に低く、正直「これで給料をもらえるなんて、究極の勝ち組だよな」と感じた次第。でも、それは彼女が悪いんじゃない。甘ったるいのは間違いないというだけ。本人にその自覚があるかどうかはわかんないけれど、もし自覚があるなら、恥ずかしくてそんな内容は書けないと思う。少なくとも、僕なら書けない。

>ノマドは孤独

そんなあなたにTwitter(笑)

>ノマド志望者は馴れ合いたがる

そのとおりだ(笑)

>厳しい親方に学べ

以前、うちの会社を辞めた人が、辞め際に「もうちょっと優しく指導して欲しかった」と言っていたのだが、愛情はあるつもりだったのだよ(笑)

>ゴルゴ13

註釈は要らないだろ(笑)

色々勉強になりました。勉強したあとは、こっちも買ってください!!

  
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2013年01月11日

Kindle本を書いてみてわかったこと

○出版に関するハードルは滅茶苦茶下がった
 >現在、料理本、映画本、ラーメン本(他地域、および英語版)などを企画中

○加筆、修正が非常に楽

○著者は、7インチタブレットおよびネット回線との連携を念頭に入れる必要あり

○マイクロペイメントの都合で有料メルマガに移ったコンテンツメーカーたちは、再びブログに戻ってきた上で、ブログコンテンツをリライト、編集した上でのKindle本化に進むのではないか

○出版社の余命は急速に縮まったのではないか

○今後の出版者(社)の役割は、大量の駄本の中から良本を見つけ出してくる、目利き能力

○編集者のニーズはアップするはず

○Kindleには、望みたい改善ポイントが結構ある
 >データ更新の告知方法、iOSへの対応、本のカテゴリ設定、献本機能など

○livedoorブログのePub書き出し機能は素晴らしい

○コンテンツメーカーは、粗製濫造になる前にその分野での第一人者としての地位をものにしたい

○書籍化を前提とするなら、現在の携帯カメラの機能は物足りない

○KDPの売りのひとつに「Wordで作れる」というのがあるけれど、Wordで作るのは得策ではない
 >Sigilはかなりオススメ、ただし、他のアプリは試していない

あと、下記のサイトは結構良い情報がある。九州地方のIT関係者は彼の雇用をちょっと考えるべき。あと、Kindle本を出版したいけれど、電子書籍化に関する知識や能力にハードルを感じている人は、彼に"有料で"相談するという手もある。一冊3万円ぐらいでどうか?

忌川タツヤのKindleは友達さ!

とりあえずKindle本ランキングで1位を目指すので(笑)、ぜひこちらをお買い上げ下さい。よろしくお願いいたします。

  

2013年01月09日

「ラーメン屋絨毯爆撃 池袋編 2013年版」発売開始!!!!

Kindleダイレクトパブリッシングを利用して、ラーメン本を出版しました。今回は池袋のラーメン屋さんを徹底解説。詳細解説は43店舗。ネット接続中ならGoogle Maps直結で地図もバッチリ。さらに、「今やっているお店」が一目でわかる魔人ブウ*式早見表つき。毒舌でバッサリ切り捨てておきながらも「そこまで言われると食べてみたくなる」という感想もいただきました。池袋でラーメンを食べるなら、これ一冊あればあとは何もいりません。さらに、この本のために書き下ろした特別コラム「ラーメン20年」も読めます。これだけてんこ盛りで、価格はKindleならではの300円!!!既存の出版ルートでは不可能だった地域限定も新しい!!!



購入可能な端末は次の各機種です。

Kindle Paperwhite
Kindle Fire
Kindle Fire HD
Kindle for iPad
Kindle for iPod Touch
Kindle for iPhone
Kindle for Android

実はすでに第二版です。初版は色々と不具合があったのですが、それらもクリアされました。ぜひ、お買い上げ下さい。

○書籍情報
初版 2013年1月1日発行

第二版 2013年1月8日発行
主な変更点
 ○Word版からSigil版へ変更
 ○一部の端末で写真が表示されない不具合を解消
 ○コラムを一本追加
 ○営業時間早見表を変更

○重要なお知らせ
初版をお買い上げになった方は、Amazonに「新版に更新して欲しい」と連絡をする必要があるようです。詳細は下記のウェブサイトをご覧ください。僕からも申請は出しましたが、最大で4週間もかかるようです。

参考:内容が増補・更新された最新版のKindle本を再ダウンロードする方法  

2013年01月06日

Kindleダイレクトパブリッシングによる出版の状況(メモ書き)

ここまでの作業
○準備
 ●米国EINを取得(所要期間約45日)
 ●AmazonにEINを郵送で連絡
○“Amazonご推奨の”Wordを使って書籍作成
○本の特徴は下記
 ●地図リンクがある
 ●画像が多数ある
○作ったものの、Wordでの目次制作が煩雑で面倒
○Amazonが用意してくれているプレビューアーで表示確認 > とりあえず、オッケー
○とりあえず、出版申請
○Amazonより著作権についての確認あり(すでにブログでオープンにしている記事などが含まれていたため。申請から24時間内)
○著作権の帰属について説明(メール)
○販売開始(24時間内)
○知人のAndroidスマホで購入して内容のチェック
 ●表紙が表示されない
 ●写真が一部表示されない > プレビューアーでは問題なし
 ●文章も重複があって、不備がある > Word上では問題なし
○著者のところに出版者の名前が表示される
○PDF版への移行を検討 > 地図リンクがつながらず、断念
○表紙を作り直し
○表紙のみをアップ > 約12時間で反映
○Sigilによる制作を検討
○作業開始
○Sigilにバグが多い(多分、HTMLの知識がないとうまく修正できない)
○Sigilによる第二版に向けて作業中 ←イマココ



現時点でのトラブルに関する知見
○Wordからの直接変換は手間がかかる割に不備が多い > Sigilで作業中
○プレビューアーで確認しても動作しないことがある
○Sigilもそこそこバグがある

ワンポイントアドバイス
○表紙は先に用意したほうが良い
○パラグラフレベル(ポイントドットシステム、ウェブ上ならh1、h2とか)は先に考えておいた方が良い
○ネット内のKDP出版に関する情報は「テキストばかり」なら役に立つ
○ハイパーリンクがない書籍ならWord→PDFで作るのが多分楽(ただし、読者に対して不親切である可能性が大きい)

現状で不明な点
○iPadのアプリで購入する方法がわからない(Androidアプリからは簡単)
○Kindleで地図へのリンクが動作するかわからない
○第二版が無料でアップデートされるかわからない(まだやってないので)

検討課題
○Android携帯の購入とそれによる動作確認
○Kindleによる動作確認(プレビューアーでの確認では現状不十分)

参考にした資料
Kindleダイレクト・パブリッシングの解説(公式)
epub形式の電子書籍作成フリーソフト「Sigil」 ダウンロードから使い方まで

感想
色々大変だが、最初のうちは仕方ないだろう。書籍の体裁によって、「こういうのが良い」というのがわかってくるはず。Kindleの対応は素晴らしく早い。というか、普通レベルなのかも知れないが、これまでAppleの超のんびり体制(更新に2週間とか、クリスマス休暇で一週間ストップとか)にすっかり慣れてしまったので、年末年始(というか、元日)でも24時間以内に対応とか、「えっ?」という感じである。

この記事が「参考になった」という方は、ぜひ、上記の書籍をお買い上げ下さい(笑)。今後のアップデートなどもリアルタイムで見ていくことができるかも知れませんし、そもそも、どういう不備が発生しうるのか、ケーススタディできますよ!  
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2013年01月02日

ラーメン屋絨毯爆撃 池袋編 2013年版(プレ告知)

Kindleダイレクトパブリッシングを使ってラーメン本を書いてみました。



まだ表紙すらないんですが(汗)、発売は開始されています。池袋のラーメン屋についてはほぼ網羅しているはずです。

#なお、初版本はテスト販売です。実際に購入してみて、不具合がないことを確認したのちに正式告知させていただきます。  
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